特許出願とノウハウによる保護(オープン・クローズ戦略)

今日も理研の笹井副センタ―長が記者会見していましたが、STAP細胞の知的財産権の話もしていました。

STAP細胞については、ハーバード大学のバカンティ教授らが既に特許出願しており、公開されています。

ですから、基本的な概念ややり方は公開されているので、知的財産権が絡むのでノウハウは隠す、というのは本当にそうかな?と思ってしまいます。

まぁ、細胞培養の場合は、関東と関西で水が違うので、関東でうまくいった方法が、天竜川を越えるとうまく行かなくなる、などという噂もありますし、ピペット操作にしてもどのくらいの速さで流すか、キャピラリーの太さをどうするか?等の細かい可能性がある可能性もなくはないですが。文章で書きにくいノウハウもあり得ます。

そういう意味で、基本的なプロトコールだけを特許出願し、最もいい方法は隠す、という特許出願戦略はありますが、米国ではベストモード要件があり、自分の知る最もよい実施形態を書く必要があるので、バカンティ教授の特許出願には彼が最高と思う方法が書かれているはずです。(その後、ベストモード要件は、拒絶理由のみとなり、無効理由では無くなったので、実質ベストモード要件は問題にはならなくなりましたが)

小保方晴子さんがバカンティ教授を超えるノウハウを開発したのであれば、別ですが、そうでなければバカンティ教授の国際特許出願に全部書かれていると考えるのが自然でしょう。

とはいえ、最近の韓国や中国の状況を見ていると何でもかんでも特許出願するのは考え物です。韓国や中国は、日本の公開特許公報を見て、自国に出願されてなければ、合法的にそのままマネすることが可能です。すると、そういう発明については、技術を無償で教えてあげているようなものです。

せっかく資金を投入して発明をして日本では特許化したにもかかわらず、中国、韓国ではその発明を使い放題、ということになれば日本の競争力がなくなってしまいます。

では、どうすればいいのでしょうか?それは、発明を特許とノウハウの両方で保護することです。

このやり方を最近は、オープン・クローズ戦略と言います。オープンにする部分とクローズにする部分を分けて、特許とノウハウでそれぞれ保護します。

例えば、特許出願明細書には、基本的なことを書き、そこからの改良ノウハウについては、特許出願せずに秘密にする、というやり方です。

組成物の発明であれば、成分がA+B+C+Dからなり、A+B+Cでもある程度の効果があり、Dを加えればさらに効果が高くなる、という場合、A+B+Cで特許を取れば、A+B+C、A+B+C+Dも侵害として訴えることができますし、Dを秘密にすることで、製品の性能を他社よりもよくして、高い品質で差別化して売上げを伸ばすことが可能になります。

また、他社へライセンスする場合でもノウハウに関しては特許権が消滅した後もライセンス可能なので、ノウハウ部分については、理論的には永久にライセンス料をもらい続けることができます。もちろん、製品には寿命があるので、製品の寿命が終われば製造中止になるので、ライセンス料も得られなくなりますが。

上述の意味で、何を特許出願し、何を秘密のノウハウとするか?は十分戦略的に考える必要があります。それにより、日本製品の高い品質を特許で守りながら、高品質部分までは模倣できないようにすることが可能になります。