著作権とTPP交渉

欧米では著作権は著作者の死後70年の国が多いです。今回のTPP交渉参加国の約半数は保護期間が70年のようです。

日本は著作権の保護期間を70年に延長するかどうかまだ決定はしていないようです。 甘利利明経済再生担当相は記者会見で著作権保護期間の延長について否定しました。

これは、著作権の保護期間を延長すると米国の著作権の保護が長くなり、著作権料を支払う期間が長くなり、その分多くの著作権料を支払うことになります。

つまり、著作権については貿易赤字になっているため、著作権の保護期間を延長すると、日本の著作権の貿易収支が赤字になるため、保護期間を延長するメリットがないそうです。

日本の漫画等のコンテンツを今後は輸出して外貨を稼げるようになるので、クールジャパンという計画があったようですが、マンガではまだディズニー等には勝てる程の著作権料が稼げないのでしょう。

くまのぷーさんの著作権料は全世界で1年間に1000億円の印税を稼いでいるそうで、70年となれば50年に比べると単純計算で1兆円の印税が余分に入ることになります(現在半数の国が50年とした場合)。

そういう意味では日本はまだ著作権料を稼ぐコンテンツについては世界のフロントランナーとは言えないようです。

特許権も含めた知財収入はアメリカでは年間1218億ドルだそうで、日本の税収の4分の1に相当します。日本もこの位の知財収入を得たいところですが、実態は2億円位の赤字だったと記憶しています。そういう意味では日本ももっと知財で外貨を稼げるようになれる力はあるように思います。

特許出願公開前の包袋閲覧

ライバル等の特許出願の審査状況を見るためには、出願公開されていれば包袋(ファイル)閲覧請求をすれば、簡単に取れます。電子出願端末からであれば、請求から30分もすれば閲覧可能になります。これは、特許庁から電子ファイルが送られてくるのでそれを見ることができる、ということです。

しかしながら、出願公開される前はこの包袋閲覧はできません。なぜなら、それができれば、誰でも出願公開前の発明内容を知ることができるからです。もちろん、出願番号を知っている必要がありますからそれを知らないと、現実には不可能なのですが。

ですから、出願公開前には、他人の特許出願の出願書類を見ることはできません。が、例外としては、出願人とその出願の代理人であれば、出願書類を閲覧することができます。これは常識的に考えても当たり前です。

出願人自身が閲覧請求する場合でも、出願書類に押印した印と同じ印で包袋閲覧請求をする必要があります。出願公開前の閲覧は非常に厳密に管理されているそうです。当たり前ですね。

もちろん、印鑑変更届を提出した場合は、変更後の印鑑で手続する必要があります。

出願の代理人でない弁理士が出願公開前の特許出願書類を閲覧するためには、出願人の委任状をもらう必要があります。この委任状には、出願人が出願書類に押印した印と同じ印を押してもらう必要があると考えます。

紙で出願した場合も電子化されているので、出願人か代理人であれば電子出願端末から包袋閲覧請求をして閲覧することが可能です。

ただ、国際特許出願(PCT出願)が国内移行しているかどうかを調べることはできたような記憶があります。日本の出願番号が付いているかどうかは電子端末から見ることができる、と聞いたことがあります。その場合でも、国内移行した出願の出願番号が見れるだけで、書類は見れません。

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特許査定を阻止するための情報提供 刊行物等提出書

自社製品が侵害するおそれのある特許を検索していると、まだ特許にはなっていないが、審査請求されている特許出願が見つかることはよくあります。

そのような場合に、自社製品の実施に障害となる可能性の非常に高い特許については、情報提供をして特許になるのを阻止することができます。

これは、刊行物等提出書というのを提出して、特許性がないことを主張するものです。新規性や進歩性を否定する文献とその理由を書いて提出します。電子出願端末でも提出できます。

そしてこの刊行物等提出書は匿名でも提出することができます。

ですから、もし、特許化を阻止できなかったとしても、以前情報提供したからライセンスしない、というようなことを言われることはありません。

もちろん、本人名を明らかにして情報提供して特許化を阻止したのが明らかであれば相手もライセンスしない、と言い出すおそれがあります。そういう意味では匿名でやっておけばそういう険悪な関係にならないのでよいと思われます。

また、会社であれば、情報提供をしたことがわかると、足元を見られて高額のライセンス料をふっかけられるおそれもあります。そういう意味でも匿名でやることが多いと思います。特許事務所名は出しても問題ないとは思いますが。

 

イラストレーターで書き出した図面の特許出願明細書への挿入

インターネット出願端末で、電子出願ソフト1.82までを使用した場合、イラストレーターで図面を作り、それからグレースケールでjpegで書き出して特許出願明細書の図面として添付するとなぜかエラーになっていた。

これは、イラストレーターでグレースケールで書き出しても、図面の属性がカラーのままになっているからのようだ。

そこで、ペイントに貼り付けてプロパティで白黒にすると、今度は模様が入ったり、余計な線が出たりして、そのままでは図面として使えなかった。

なので、最後の手段としては、白黒でプリントアウトして、それをスキャナーで読み取り、PDFからコピーしてjpegに変換できるソフト(例えばパワーポイント等)に貼ってjpegに変換する、というのをやっていたのでとても手間がかかっていた。

ところが、最近では、イラストレーターからグレースケールで書き出した図面でも出願ソフトのversion1.9では自動的にグレースケールに変換してくれるのでエラーにならなくなった。以下のような警告が出るだけである。

警 告  JPEGイメージを8ビットグレースケールに変換しました。変換結果を確認してください。

そういう意味では今度のバージョンアップで図面に関してはかなり使い易くなった。カラー写真の多い出願も一気に変換できればいいのだが、まだそれは試していない。

特許出願人または特許権者の住所(名義)変更手続き

出願人や権利者の企業が住所を変えることは、創業間もないベンチャー企業ではよくある。あまり多くはないが、個人の出願人も住所を変更する場合はある。

ベンチャー企業の場合、例えば、インキュベーション施設の小さな部屋から始め、その後、同じ施設の大きな部屋に移ることもあれば、もっと大きな別の建物の施設に移ることもある。さらには、関東から関西へ移転、などということもある。

すると、新しい住所で以前と同じ識別番号で特許出願や商標出願をすると、住所が違う、という補正指令が来る。

その場合、住所又は居所の誤記であれば、手続き補正書で住所又は居所の記載を補正すればよい。

住所が変更になっている場合は、住所(居所)変更届を提出する。この住所(居所)変更届はなぜか紙でしか提出できない。

そこで、住所(居所)変更届に代理人欄を設け、押印し、最後に【その他】の項目に、「特願●●●●ー●●●●●●●●の代理人である。」と記載して、特許庁長官宛郵送する。

それとともに、上申書に、「平成●●年●月●●日付で、住所変更届を提出しました。」旨記載して提出する。上申書は電子出願端末から送信できる。

住所変更届は特許庁に提出した時点で効力を生ずる。

しかしながら、登録されている権利(特許権、商標権など)については、1件毎に表示変更手続きが必要になるのでかなり面倒である。

住所変更以外に、譲渡による名義変更の場合は、財産権の変動なので、登録免許税として収入印紙3万円を添付して特許権移転登録申請書を提出する。この際、譲渡証書や譲渡の定めのある契約書等権利の移転を証する書面を添付する必要がある。

また、登録された権利の移転登録の効力は登録により生じる。そのための方式審査や決済手続、特許原簿への登録作業などがあるので、移転登録申請から1ヶ月程度はかかると考えておいた方が良い。また、補助金申請等の場合は、締切までに登録されるように必要に応じて早めに手続する必要がある。

特許・商標の基礎セミナー7/30夜、秋葉原で開催

ちょっと思うところがあって、特許・商標に関する基礎セミナーをやることにしました。

以下の要領で行います。特許・商標の初心者~中級者程度を対象にしたセミナーです。

2013年7月30日19:00〜21:00

  • 東京都千代田区外神田3-14-3福栄秋葉原ビル8F秋葉原ケープロジェクト会議室
  • 特許・商標の基礎知識に関するセミナーを開催します。
    私がこれまで大学や企業相手に有料で行ってきたセミナーの中から基本的で興味深い話題をお話します。特許ではiPS細胞特許の事例、商標ではいわゆる家元ビジネスでの商標登録の有用性について説明します。特許、商標について全く知らない人でも理解できるように説明しますので、ご興味のある方はお気軽にご参加下さい

    質問が多いようなら講義よりも質問コンサルセミナーになるかも知れません。

    セミナー予定(質疑応答含め約2時間程度)
    特許制度の概要
    特許になる発明とは?
    売れる発明とは?
    ライセンスで5000万円以上稼いだ戦略
    iPS細胞特許の日米欧の審査・権利範囲比較
    商標制度の概要
    商標登録しないリスク
    家元制度と商標登録
    質疑応答

    場所
    日 時:7月30日(火曜日)19:00-21:00
    場所:  秋葉原ケープロジェクト会議室
    東京都千代田区外神田3-14-3福栄秋葉原ビル8F
    03-3574-7876
    http://goo.gl/TBW8a
    特 典:希望者には無料相談付(後日スカイプ又は対面)
    参加費:2千円
    講 師:弁理士 大平和幸
    懇親会:有(希望者のみ、実費3千円~5千円程度)

    お申込みは必ずこちらのフォームからご登録下さい。(参加ボタンを押しただけでは参加確定となりません)
    https://1lejend.com/stepmail/kd.php?no=181001

特許権や特許出願を放棄するかどうかの判断

研究者などから発明届が出されれば、知財部員はそれを出願するかどうかの判断が求められます。出願後も以下のように様々な判断を求められます。

特許出願をすれば、1年以内に国内優先権主張出願をするかどうか、国際特許出願(PCT出願)をするかどうか、パリ優先権主張を伴う特許出願をするか、の判断をする必要があります。

台湾など、PCTに加盟していない国で権利化するためには、1年以内に直接パリ優先を主張してその国に出願する必要がありますから、それに関する判断も必要です。

そして、国際特許出願をした場合は最初の出願日から30か月以内、つまり、2年6か月以内に、国内段階に移行するかどうか、移行手続きするとすればどの国に移行手続きするかの判断が必要になります。

特許出願日から3年以内に審査請求をするかどうかの判断も必要で、審査請求をしたら、次は拒絶理由が来たら応答して権利化するか、放置して権利化を諦めるか、の判断が必要になります。

さらに特許査定が出たら、登録料を支払って登録するかどうか(これは通常は登録しますが)、登録後はその権利を維持するか、捨てるか(放棄するか)の判断も必要になります。

これらの判断は知財部単独ではできず、その特許を使用しているか、使用予定の事業部にも聞く必要があります。知財部としては、拒絶理由に対して、解消できるかどうかの判断はしてその情報は伝える必要がありますが、事業計画については事業部が専門ですから最終的な判断は事業部長になると思われます。

こうした出願後の様々な要否判断はタイミングを間違わずにやる必要があります。チェック漏れを防止する意味で、半年前、3ヶ月前等2回以上の検討をするのがよいと思われます。特に外国で現地支社が管理している場合などは手続に時間がかかる場合もありますから。

また、複数の部署が関わる判断の場合は十分協議できる時間も必要です。そのためにも期限の半年前位に事業部の方に問い合わせておき、3ヶ月前に再度問い合わせて最終的な判断をもらう、というのが個人的にはよいと考えます。

そして、知財部と事業部間で判断が違う場合は、基本的には事業部の意向が優先されると思われます。

それでも、知財部が将来他社にライセンスできるとか、基本技術なので技術的にいずれ使用される可能性が極めて高い、と判断すれば知財部長の判断で権利を維持する場合もありうるでしょう。

特許権を放棄するか、維持するか、の判断で全社的な視点を持ち、この事業部では放棄でいいという判断でも別の事業部ではその技術が必要、ということに気づくなど、会社全体にとって利益となる判断ができれば知財部もプロフィットセンターになれるかも知れません。

発明、特許のアイデアの出し方

特許申請につながる発明、アイデアの出し方について、私のフェイスブックのグループで議論しています。

アイデア発想法、USIT, TRIZ, valur engineering、イノベーションのジレンマ、面白い特許(出願)等について議論する予定です。

ご興味のある方はフェイスブックにログイン後、以下のURLをコピー・ペーストしてリターンを押して下さい。

https://www.facebook.com/groups/674884989195216/

参加者は、企業の知財部、企画部、大学の教員、(元)発明者、マーケッター、コーチ、フリーター等様々なレベルがいます。

ですので、特許出願につながる発明のアイデアの出し方以外に、一般的なイノベーションのアイデアの出し方等についても議論しようと考えています。

ただ、正直なところ、あまりに広く集まりすぎたので、議論をどこに絞ろうかと検討中ではあります。

ご興味のある方はフェイスブックで、「アイデア・発見・発明で世の中をよりよくする会」で検索しても出てくると思います。

現状公開設定にしていますが、20人を超えたら非公開設定にしますので、ご興味のある方はお早目にご覧のうえ、ご興味があれば参加申請をお願いします。

企業の方も参加されていますので、秘密保持、利益相反等の問題については自己責任でお願いいたします。

また、ソニーで1兆1000億円以上の発明製品を開発した著名な発明者の方にもご参加いただいてます。それ以外にもかなり高度な知識をお持ちの方も多いです。

特許出願依頼書の書き方

特許出願を知財部に依頼する場合は、通常は会社にフォーマットがあり、必要事項を記載します。

私が見たことがある会社の特許出願依頼書は以下のような項目があったと記憶しています。

発明者氏名、住所、発明を会社に承継する旨の記載、発明者押印欄、発明の名称、発明の内容、先行技術調査実施の有無、先行調査で見つかった文献リスト記載欄、出願期限、学会発表予定、費用負担部署、関連契約の有無、共同研究先、委託研究先、添付書類、特記事項など

そして、一番上に、承認者の欄があり、発明部署の所属長、特許部長、事業部長等の承認者の押印欄がありました。

添付書類としては、特許出願明細書案、論文原稿、学会発表予定の資料または学会発表した資料、共同研究契約書の写しなどが挙げられます。

多くの会社では上記のような項目を含めると思われます。他に、発明のポイント(苦労した点、従来技術との違い、予想外の効果など)も記載するようにしておけば発明のポイントを理解しやすく、弁理士にも依頼しやすいでしょう。

特許出願明細書案を添付する場合は発明の内容は簡単に記載してもよいでしょう。明細書案を読めば発明の内容はわかりますから。

発明者が作成した明細書案を知財部員が修正し、ほとんど完全な明細書を作成してから特許(弁理士)事務所に依頼してする会社もあります。この場合は、特許事務所はチェックする役割となります。これにより、会社知財部と特許事務所の弁理士のダブル・チェックが可能になり、より完成度の高い明細書になり、わずかな漏れ、抜けにより、大損害を被るリスクを回避できると考えられます。

私がいた知財部では、機械系のようにペラ1枚で特許出願明細書を特許事務所に依頼したことは機械系の特許出願でも無く、知財部で明細書を修正してから弁理士に依頼していました。

しかし、ある特許事務所で仕事をしたときは、機械系の発明の場合は、ペラ1枚で特許出願明細書を作成する場合もありました。その場合は、ペラ1枚から20ページくらいの明細書を作成するので、弁理士の腕の見せ所とも言えます。

弁理士に依頼する場合に、どの程度完成した特許明細書案を添付するかどうかは発明内容や会社の方針にもよると思われます。1件の価値が非常に高く、1つの特許で数百億円、数千億円の売上げを守る必要がある場合は、知財部員が明細書案を徹底的に練り上げてから自社出願あるいは特許事務所に依頼します。

これは、弁理士の場合はヒアリングに1~数時間しかかけませんが、知財部員は何度も発明者とコミュニケーションし、明細書の修正も何度もやり取りをして、深く理解できるので、知財部員の方がはるかに深く技術を理解しているためです。

それでも、弁理士がその分野の専門家であれば、知財部員と同程度、場合によってはそれ以上に本質を理解できる場合もありますが。

いずれにしても書誌事項は最初にもれなく記載してもらうのは後々のことを考えるととてもいいと思う。

特許申請すれば技術が漏れる?

特許申請(出願)して特許権を付与されるのは、発明を公開した代償として一定期間独占排他的にその発明を使用できるようにするためです。

ですから、公開していない発明については当然特許権による保護は受けられません。

ところが、お客様の中には、できるだけ技術は秘密にして欲しい、しかし、できるだけ広い権利を取って欲しい、と言われる方がおられます。これは上の、公開の範囲が保護範囲というのと矛盾した欲求で、できるだけ隠せば、それだけ権利範囲は狭くなるのが一般的です。

最近よく問題になるのが、日本特許を中国や韓国、台湾が見てマネする、ということです。特許出願で発明内容を公開するわけで、その日本の特許出願が中国、韓国、台湾でも特許出願されていればいいのですが、それらの国で権利化しない場合、その国では自由に実施できてしまいます。

すると、日本のみ特許出願することで、中国、韓国、台湾の企業に無償で発明技術を教えているようなものです。そういう意味では、特許出願すれば、これらの国に技術内容が漏れる、とも言えます。

すると、せっかく巨額の開発費をかけて新技術を開発して日本で特許出願しても、特許のない中国、韓国、台湾では何の苦労もなく、新技術を無料で使い放題ということになってしまいます。

つまり、特許出願することでその技術が流出し、勝手に使われることになります。

この問題を解決するために、特許出願とノウハウの両方で押さえる、という特許出願戦略があります。

これは、発明にはA+B+Cの要素があるとして、A+Bのみを特許出願に記載し、Cについてはノウハウとして秘匿する、と言うやり方です。この場合にCがなければ最高の性能が出せないのであれば、Cを含んだ製品の競争優位性を保つことができます。

ただ、この競争優位性がイノベーションのジレンマに該当するようなオーバースペックである場合はこの戦略は機能しない場合があります。

いずれにしても、特許出願するということはその発明を公開するということですので、その公開範囲をどうするか?については十分戦略的に考えて特許出願すべきと思われます。この点でも特許出願戦略が重要になります。