先行技術文献調査と特許出願

特許出願前に先行技術文献調査をするのは当たり前ですが、あまり特許調査に慣れていない方の場合は、どの程度やればいいか不安な場合もあります。

自分の選んだキーワードで本当に網羅的に先行技術文献を見つけられているか?は専門家でもかなり怪しいです。

なので、専門家でも1度調査し、その調査に基づいてキーワードを拾い出し、再度調査をするのが普通です。

そして、自分の専門分野であれば、このキーワードならあるはず、という土地勘があります。ですから、ヒットするはず、と思った文献がヒットしなければキーワードが悪いはず、と考えてキーワードを変えて何度でも、ヒットするまで検索します。

すると、本来ヒットすべき文献を見つけるキーワードにたどり着けます。

しかしながら、その分野の専門家でない人は、自分の思いつくキーワードでしか特許調査ができません。そのため、例えば、ビールであればビールしかキーワードが思い付きません。

ところが、ビールや発泡酒も含む概念である、麦芽アルコール飲料という名称で特許出願されている場合が実際にあります。

すると、この先行文献は出てこないわけです。そしてここに自分の発明と同じ内容が書かれていたらせっかく特許出願してもその先行文献により拒絶される場合がありえます。

そういう意味ではキーワードだけでは不十分でIPC(国際特許分類)やF-タームによる調査が必要になります。このあたりは調査の専門家でないとよくわからないので弁理士やサーチャー等に依頼するのがよいと思います。

そうやってしっかり調査しておけば、どうすれば特許になるか、のヒントも得られます。このような先行技術文献があるならこういう請求項を書けば特許になりそうだ、というのがわかります。

子供の発明の特許申請

子供が発明をして、特許出願をする場合、未成年者や成年被後見人は法定代理人によらなければ手続き、つまり特許出願をすることができません(特許法第7条第1項)。

ですから、子供の発明については、法定代理人である親の名義で出願することになります。

子供はおそらく審査請求料を支払えません。11万8000円+4000×請求項数だけかかりますから。

そういう意味でお子さんの発明について特許出願する場合は親が出願人になり、発明者にはお子さんの名前(+親の名前)を入れる、というのでよいと思います。

小学生がした発明で巨額の利益を有む場合も十分あります。中松義人さんは6歳のときにしょうゆちゅるちゅるをいうポンプを発明したそうです。

頭の柔らかい子供に発明をさせるのもいいと思います。

 

特許出願を依頼する際の契約書

特許事務所の弁理士に特許出願を依頼する場合、通常は料金表を提示され、そこに全ての料金が記載されているのが普通です。

つまり、特許出願手数料、方式補正料金、審査請求料、手続き補正の意見書作成、提出料金、補正書の作成・提出料金、審査官面接料金、登録時の登録謝金、特許登録料、拒絶査定不服審判請求料金、審判答弁書作成料金、審決取消訴訟料金、最高裁判所への上告費用、外国出願料金等全てが記載されているはずです。

しかし、最初に出願料金のみを説明する場合もあります。

そのような場合、後から、出願すれば特許になると思っていた、とクレームを言って来るお客様もいるそうです。私はまだそういうお客様には出会ったことがありませんが。

ただ、中間処理から依頼を受けて、登録査定が出たので登録謝金を請求したら、他の事務所では登録謝金を取らないところもあるので、無にしてくれ、と言われたことがあります。

これには唖然としました。というのは、登録謝金を取らない事務所があるとすれば、それは出願から受任している場合で、中途受任でゼロから発明内容を検討して、拒絶理由も検討し、意見書、補正書を提出するには出願書類作成に近い位の労力がかかります。

しかし、意見書、補正書提出の費用は通常は各々5万円で合計10万円程度です。それのみで中間処理ばかりやっていたのでは事務所の経営は成り立ちませんから、どの事務所も中途受任する場合は、中途受任の段階で、出願料と同じ位の移管手数料を取るか、登録時に登録謝金を取るのが普通です。

これは弁理士から見れば当たり前の感覚なのですが、お客様はそういう事情を知らないので、中間処理から委任して登録謝金は払わない、ということを言われたのでしょう。

そういう意味で、依頼する場合は、その後の費用を全て記載した料金表をもらって、移管費用、登録謝金等をきちんと確認すべきだと思います。弁理士も料金表を添付した特許出願契約書を交わすのがよいと思われます。

 

 

特許申請とiTRIZ

個人や中小企業様から特許出願の相談を受けた場合、この発明は進歩性が無いので特許にすることは非常に難しいです、と言わざるを得ない場合があります。

そういうと、クライアントさんはがっくり肩を落とされる場合があります。

しかし、進歩性が無いなら進歩性を作ればいいので何も落胆する必要はありません。

その場合に、TRIZの手法が使えます。

TRIZはロシアの海軍の特許審査官のアルトシュラーが開発した発明手法で、古典的TRIZには40の発明原理があります。この40の発明原理だけでもかなり使えます。

さらに76の発明解やそれ以外の方法もあり、いまではiTRIZというさらに体系的な発明手法が開発されています。

それには様々なフレームワークが大量にあり、そのフレームワークに合わせて考えて行けば発明がブラッシュアップされ、進歩性のある発明もできる可能性があります。

私はこのTRIZについて現在弁理士会の研修を受講中ですが、元々私自身が発明者だったので、非常に面白いです。

私の事務所から特許出願をされる場合は無料でTRIZによる発明の拡張を行い、進歩性の高い発明にしますので特許登録率がアップすると思われます。

さらに私の事務所では発明コーチングによる発明の発掘、特許マーケティングによるライセンシングによる特許のマネタイズ化にも取り組んでおります。

発明コーチングによる発明発掘から戦略マーケティングにより収益を得るまでを総合的に行える事務所は日本でも大平国際特許事務所だけだと自負しています。マーケティングの専門家でもあるので、売上アップコンサルティングも可能です。

動き、ホログラム、色彩、位置、音が商標登録可能に

特許庁は、音、色、動き、ホログラム、色彩を商標登録可能にする法案を来年の国会に提出する予定だという。

TPPの絡みもあり、海外で認められている音や色等について日本でも商標登録を可能にするためだ。

ただ、今回は、匂い、感触、味は改正案には含まれない。海外ではこれらも商標として認めている国もあるが、今回は日本では商標登録の対象にすることは見送ったという。

久光製薬は、「ヒサミツ」のメロディーを世界50か国で登録しているそうだ。ミントの香りもサロンパスの商標として使用しているという。

久光製薬の堤執行役員は、日本でもこれらが登録できるようになればすぐに登録したい意向のようだ。

来年法案が通ったらどういう審査基準になるか注目したい。

しかし、匂い(今回の日本の改正には入ってない)は言葉で表現するのがかなり難しいと思われる。ガスクロマトグラフィー(GC)のチャートで類比判断するのかも知れない。

 

特許微生物寄託制度

特殊な菌株を使って発明をした場合、その菌株が当業者が容易に入手できないものであれば、寄託する必要があります。

寄託には国内寄託と国際寄託があり、国内寄託は1年毎に毎年支払うのに対して国際寄託は30年間分を一括で支払います。

また、国内寄託は取り下げ可能ですが、国際寄託は30年間取り下げできません。

寄託すれば、ライバル企業もその菌株にアクセスできるようになります。それが嫌で寄託せず、特許出願しない、という選択もありえます。

その菌株がなければ、他社はその発明を実施できない状況であれば、特許出願せずに秘密にする、ということも検討すべきでしょう。

例えば、アサヒのスーパードライの酵母菌等は特許出願して他社に分析され、似たような株を育種されるよりも、特許出願せず、秘密に管理しておく方が無限に保護できます。

特許出願すれば20年で特許が切れますから、その酵母菌はライバル他社が使い放題になってしまいます。

そういう意味では、虎の子の菌株(植物、動物も含みます)については、ノウハウとして秘密にする、という考え方もあります。

しかし、その場合、ライバル他社が偶然別の場所で同じ菌株を見つけて特許出願したら、特許を取られてしまいます。先使用権という制度があり、事業をしている範囲は使用し続けられますが、新製品を出す場合等に支障が出るおそれはあります。

菌株寄託にはメリット、デメリットを検討し、メリットの方が大きいと判断すれば寄託して特許出願すべきでしょう。

特許出願が特許登録になるかどうかの判断

特許出願をした場合、これは難しい、これは特許になる可能性が非常に高い、等と弁理士も発明を評価しています。

しかしながら、先行技術文献が無い場合、これは特許にするのは非常に難しい、と思っていた発明があっさり特許査定となるケースはあります。

また、これはすごくいい発明だから絶対特許になる、と思って特許出願しても、学会の地方支部で違うマイナーな分野から同じ発見が発表されていてあまり広い権利が取れない場合もあります。

また、拒絶理由通知も、非常に難しい、と思って、拒絶理由の引用文献をしっかり読むと簡単に反論できるような記述がその文献内にあることもあります。

また、審査官が特許出願の請求項の構成要件を見落としている場合もありえます。

そういう意味で、これは簡単、これは非常に難しい、といった印象はあてになりません。やってみて初めて、これは意外に簡単だった、これは思ったより先行技術があって、大変だった、というように後になって簡単か、難しいかがわかるのが特許出願の審査です。

逆に言えば、こんなの特許になりっこない、と思っても、実際には簡単に特許になる場合もあります。要は具体的な調査結果に基づいて議論しなければ印象だけでは不正確になる、ということです。

特許発明は誰でもできる

特許は何となく敷居が高い、と思っている人はかなり多いと思います。

確かに特許の明細書や、特許法や審査基準は読んでも日本語か?と思う位複雑で例外だらけです。

特許法は、もともと民法の特別法として作られているので、原則はほとんどなく、例外ばかり集めたような法律です。原則は民法、刑法等に規定されていて、こちらの方がはるかにわかりやすいです。

なので司法試験に合格した弁護士さんも特許法はわかりにくい、と言う人もいるようです。

とはいえ、特許になる発明をするのには、特許法を知る必要はありません。特許法を知らない子供でも発明をすることができます。

以前、小学生の女の子が犬の糞取り用スコップを紙で作って特許を取得し、かなり稼いだということがありました。小学生の女の子でも発明をし、特許出願をして特許を取得できます。もっとも、小学生は未成年なので特許出願人の権利能力がなく、特許出願自体は親が法定代理人として出願することになると思われますが。

ドクター中松も5歳でしょうゆチュルチュルという灯油ポンプの発明をしたそうです。5歳といえば幼稚園児ですから、知識がたくさんある大人でないと発明ができない、ということはありません。幼稚園児でも知恵を出せば、大人が考え付かない発明もできる、ということでしょう。アイデアを出す力は子供の方があるかも知れません。

発明は、問題を技術的に解決すればいいので、誰でもできます。ただ、高度な科学的知識があった方がより短時間で発明できる可能性はあり得ます。

例えば、エジソンは電球のフィラメントを7000以上も試したそうですが、もし、科学的な知識を使って、論理的に探したとすれば、もっと少ない数の試験でもっといい材料を見つけたかも知れません。

つまり、理論なしでランダムに検索するランダム・スクリーニングも有効で、これは、子供でもできる発明方法、というわけです。

そして、物理学や化学などの理論を学んでおけば、ランダム・スクリーニングをしなくても、理論的に解決策が考えられ、より効率的に発明ができる、とも言えます。

そういう意味で、小学生低学年の生徒よりも、博士や修士の方がより発明をする速度は速いのではないかと思います。ただし、博士号を持っているからどんどん発明ができて、特許も出願するか?といえばそんなことはありません。ほとんど特許を出さない大学教授も大勢います。

要は、発明して特許を出そうという意欲があるかどうかの問題とも言えます。

ともかく、特許は難しい等と考えず、普通にアイデアを出せば特許になる発明はいくらでもできると思います。問題はそのアイデアをどう商品化し、どう売るかの方が重要だと思っています。

発明手法は、TRIZ、USITや、イノベーションのDNAに出ている方法などがあります。大平国際特許事務所では、発明コーチング&コンサルティングにより、発明者様の持つアイデアを引き出すことも可能です。

発明をしてみたいけど、どうしたらいいかわからない、という方には発明コーチングをお勧めします。ご興味のある方は以下からお気軽にご相談下さい。

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特許審査ハイウェイ(PPH)が世界30か国

経済産業省は、米国、欧州、韓国、中国等30カ国機関で特許出願や審査要件といった「運用ガイドライン」の共通化することで迅速に権利化する方針を固めたそうだ。

特許審査ハイウェイ(patent prosecution highway)を使うことで既に特許になった国の審査結果を利用して迅速に(多くの場合そのまま)特許化できる、という制度である。

多くの場合、特許になった国と同じ権利が成立するのだが、最近はそうでもない事例も出てきている。

例えば、山中伸弥先生のiPS細胞の製造方法の米国特許出願は、日本で最初に特許が成立し、PPHで米国で権利化しようとしたが、米国ではそれが非常に狭く限定された権利範囲となっている。

そういう意味ではPPHを使ったからと言って本国と同じ権利範囲になるとは限らない。

また、欧州のようにより広い権利が取れるケースもあり、そういう面から言えば、日本の狭い権利範囲に基づいてPPHをかけた場合、必ずしも有利に働くかは不明である。

しかし、欧州のように出願維持年金がかかる場合は、審査が遅れれば遅れるほど費用がかさむので、PPHを使った方が費用的には有利である。

今回、世界30か国で適用されるようになるとすれば国毎にPPHでやるか、通常審査でやるかその国の状況を見てから考えるようにするのがよいと思われる。

 

特許申請の図面は手書きでも受理されるか?

特許申請(特許出願)する場合、特許事務所ではCAD(イラストレーターなど)で図面を作成する場合が多いです。ベテランになるとかなり複雑な図面でも5分程度で作れる位の猛者もいます。それでも1図面3000円~5000円取るので、時給にすれば、36000円~6万円と弁理士よりも稼いでいたりします。

簡単な図面であれば、ワードやパワーポイントで作成することもできます。不要な線は図形を消すのはイラストレーターなら簡単ですが、パワーポイントでは線を切り取ったりはできないので、白い線や図形を被せることで不要な線を消すこともできます。

さらには、ペイント系のソフトでも図形を書くこともできます。これは手書きの図面に近いものになります。

それはともかく、特許出願や実用新案登録出願の図面については、手書きで図面を作成しても何も問題ありません。

ただ、提出する際に、白黒2値になるので、グレースケールだと見えにくくなる恐れがあります。白黒は明確にわかるようにし、グレーは使わない方がよいです。写真等の場合はグレースケールで添付する方法もあるのですが、原則は白黒2値になると考えて図面を作成されることをお勧めします。

ですから、手書きの図面はスキャナで取り込んでPDFファイルやjpgファイルで送ってもらった方がおそらく出願書類では見やすくなります。

写真に撮るとどうしてもグレーになって特許出願書類に変換する際に見にくくなるおそれがあります。PDFとかFAXであれば、そういう問題がないのでそちらをお勧めします。

高速液体クロマトグラフィーなどのグラフについては、スキャナで取り込めばいいのですが、それが難しい場合もあります。その場合、最後の手段として、手書きで似たようなグラフの曲線を作成する事務所もあるようです。

これは見方によってはねつ造を疑われかねませんのであまりお勧めできませんが、どうしても必要な場合は、トレースしたり、あるいは、目視で似たグラフパターンを書いても故意にピークを消したりしなければ問題になることは少ないと思われます。