弁理士同期会

今日は八重洲のビアカフェで平成13年合格の弁理士の同期会に参加しました。

話題は専らサムソンとアップルの東京地裁の判決でした。

今日出たので当然と言えば当然ですが。

皆の意見としては、タイミングが悪いね、ということでした。このタイミングで出ると、アメリカと日本で判断が分かれたような印象を与えてしまいます。

日本とアメリカではおそらく権利範囲が相当違うので、それに基づく判断であることを明確にし、アメリカの評決とは異なる点もきちんと説明するべきではなかったかと思います。

 

日本ではサムソンはアップル特許を侵害していないとの判決

東京地裁は、31日(本日)米国アップルが日本サムスンとサムスン電子ジャパンを相手取り、1億円の損害賠償を求めていた訴訟の判決を下した。

東海林保裁判長はサムスンによる特許権侵害を認めず、アップルの請求を棄却した。さらに、商品の輸入、販売の差し止めを求めた仮処分の申し立ても却下したそうだ。

この判決は米国とは全く異なる。米国では10億5000万ドルの損害賠償を認める評決が出、近いうちに判事の判断が下される予定だが、この場合は、サムソンはアップルの特許を侵害しているという判断だった。

しかし、日本では請求額も1億円と約1000分の1で、アップルもそれほど力を入れていなかったように思われる。

とはいえ、アップルにとっては、サムソンが非侵害という判決が出るのは世界戦略とイメージ上あまりうれしくはないだろう。

判決文を読んでないので何とも言えないが、日本の特許請求の範囲が米国特許よりも狭かったのではないかと推測される。

特許出願数と知財部員の数

年間数千件~数万件の特許出願をする会社もあれば、年間数十件、数件の出願をする会社もある。

しかしながら、その特許出願数と知財部員数は必ずしも比例しているわけではない。

例えば、某電気メーカーは数百人の知財部員を抱えているが、同じ位の出願をしている通信機メーカーは数十人、という場合もある。

すると、会社によっては1人あたり300件を見ることになり、とても詳細にチェックはできないだろう。ほぼ期限管理位のものだ。

これに対して、製薬企業等は年間100件も出していなくても、数十人の知財部員がいたりする。

1人年間数件~10件程度を担当する計算になる。

これは会社の方針でもあるので、何がいいか、悪いかという問題ではなく、オペレーションの問題だろう。

特許事務所を信頼して丸投げするのであれば、知財部員は少なくても回って行くと思われる。

逆に1件の特許が非常に重要な製薬企業等では知財部員がしっかり明細書をチェックして完成度を高めているか、自ら明細書を書くケースもある。

知財部員数をどうするかは経営マターだが、それも全社的なバランス、戦略を考慮してやればよい。知財があまり重要でない業界で多数の知財部員を配置してもコストパフォーマンスは悪いように思われる。そういう場合は、外部の弁理士事務所に管理まで含めて丸投げする手もあると思う。

特許出願戦略と研究補助金の審査会

私は以前、かなり高額(最高10億円程度)のグラント(研究費)の審査員をしていました。

そこで、特許出願、商標出願等に関していろいろアドバイスするのですが、しっかり対応してくる会社もあれば、ほとんど無視に近い会社もありました。

無視しても市場を独占できる戦略を持っているのであれば、無理に知財で独占する必要はないので、他の独占戦略を持っていれば私のアドバイスを無視されても私は別にどうということはありません。

ところが、対応しないか、非常に狭い範囲の特許権しか持ってなければ、せっかく苦労して実用化しても他の大手企業にマネされて大きな市場を取ることは難しいです。

そういう意味で、独占戦略が十分構築できていないのであれば、特許網(壁)を築いて他社の参入を防止すべきでしょう。

特許以外の独占戦略とは、ライバル他社を買収してライバルを無くする、価格競争をして競合が潰れるまで争う、製造コストを圧倒的に低くしてライバルよりも安くいい商品を販売する等いろいろな戦略が考えられます。

医薬品であれば、データ保護期間は特許が無くても独占できます。バイオ医薬ならジェネリックは製造方法まで同じである必要がある場合があるので、そういう場合は、製造に使用した菌株が秘密であればずっと独占できます。

そうした手段も全て考えた上で、特許で保護するのがベストであれば特許壁をしっかり築き、他社の参入障壁とすべきでしょう。

特許出願と弁理士倫理研修

昨日弁理士の倫理研修を受講してきました。これで研修単位5単位がもらえ、ビデオ受講と合わせて全部で10単位がもらえます。この倫理研修を5年毎に受講する義務があります。

昨日の倫理研修は講義を聞くだけでなく、ケーススタディを通じて、そのケースでは何が問題か、弁理士法、会則、倫理規定、広告規定等の何条違反になるか?等を議論して発表する、と言う形の研修でした。特許出願や商標出願、実用新案出願、不使用取消審判等の事案があり、バリエーションに富んでいました。

とてもありえないような設定のケースもあれば、実際の事件から作ったケースもあったりして、とても考えさせられるいい研修でした。

弁理士法3条には、品位保持、法令実務精通義務、構成誠実業務遂行義務が規定されており、それに対応した規定が、会則等に定められています。

その中で感じたことは、弁理士はかなり公共性を持った資格でもあり、常に自分の能力を向上させ続ける必要がある、ということでした。技術の進歩に対してもそうですし、法改正についても十分フォローして実務・業務遂行能力を高めておく必要があります。

そういう意味でも今後も研修会等に参加して法改正をフォローするとともに、得意分野はさらに伸ばし、新規分野・境界分野も研究し、様々な能力を向上させ、クライアント様の業績向上に少しでも貢献できれば、と考えています。

米国出願と米国発明法の改正

米国改正特許法(The America Invents Law)の施行が来月9/16に迫ってきました。新規性に関する規定は来年2013年の3/16ですが、それ以外の大部分の法律は来月16日から施行されます。

注意すべきなのは、新規性に関する規定が来年3/16日から適用されるので、それより前の出願の請求項についてはinterferenceの規定が適用されるということです。

そして、3/16以降の特許出願については、先願主義が適用されますので、3/16よりも前にした出願に基づいて優先権主張出願をした場合は優先権が有効な請求項についてはinterference(先発明)の規定が適用され、3/16以降の出願の特許請求の範囲(請求項)については先願主義の規定が適用されます。

また、従来は発明者しか出願になれませんでしたが、今回の改正により、譲受人や譲り受ける予定の名前でも出願できることとなりました。つまり、最初から会社や大学名で出願できるようになったということです。宣誓書等は従来通り必要ですが。

上記以外にもいろいろ注意点があるのでそれについてはこのブログでも徐々に書いて行く予定です。

 

動物医薬品の特許出願

バイオテクノロジーを使用したヒト医薬が先に開発され、その後、動物用医薬品が開発されるケースがある。

そうした場合、ヒト医薬の特許(出願)が先行技術となり、進歩性無しで特許出願が拒絶されるケースがある。

ヒトの方が研究開発が進んでいて、ヒトと同じ遺伝子産物で同じ手法で同じ効果が得られるケースも多いので、そういう場合は特許が取れないケースがある。

そうなると、データ保護期間のみでの保護になるが、バイオテクノロジー医薬の場合はバイオシミラーの問題があり、製造方法まで同一でなければ同じものとみなされない場合もある。

その場合は、データ保護期間が過ぎてもジェネリック薬が発売できず、実質的に独占を続けられる場合もある。

そういう意味では動物医薬のバイオテクノロジー医薬は特許無でもある程度の期間独占販売できる場合がある。

とはいえ、可能な限り、組成物とか製造方法等で特許が取得できるのであれば特許出願するに越したことはない。動物医薬はヒト医薬に比べ市場も小さく、ヒト医薬程には延命化の要請も少ないような印象はあるが・・・

ナポレオン・ヒル博士とエジソンの特許出願

ナポレオン・ヒル博士がディール・カーネギーから依頼されて成功法則をまとめた話は有名だが、その思考は現実化する、という本の中にエジソンやフォードがよく出て来る。

エジソンは言わずと知れた発明王だが、小学校中退にもかかわらず、多数の発明をした。最も有名なのは電球の発明だが、それ以外にも蓄音機とか直流電流の発電等多くの発明をしている。

エジソンの発明手法はちょっと変わっていて、発明品のアイデアは1ページ位書くとしたら、それによってどういう社会になるかについて10ページ位書いていたようだ。

つまり、将来の社会全体のビジョンと発明を結び付けて考えていたようだ。

それが潜在意識を活性化させ、多数の発明を生み、特許出願につながったと思われる。

よく、アイデアは、夢に出てきたり、風呂の中とか散歩中のような、ぼーっとしている時に降ってくると言われるが、潜在意識をうまく活用できれば発明を生み出す効率が上がると思われる。

アップルがサムソン電子に特許侵害訴訟で勝訴 

米カリフォルニア州連邦地裁は、米国アップル社と韓国サムソン電子社の特許侵害訴訟で、アップルの特許をサムソン電子が侵害したと認め、10億5100万ドルの損害を認定した陪審評決を発表した。

つまり、アップルがサムソン電子に勝訴したということだ。しかも開始から3日足らずで評決が出たので、陪審員は特に問題なくサムソン電子の侵害を認定したということだ。そしてサムソンン電子が主張していたアップルのサムソン電子特許の侵害については認めなかった。

さらに意図的侵害も認めたため、判事が下す損害賠償額が3倍に膨らむ可能性もある。

アップルの大勝利と言ってよい(サンタクララ法科大学院のブライアン・ラブ教授)との見方も出ている。

アップル弁護団は今後、サムソン電子の製品の一部の販売差止申請を予定しているという。

陪審団はサムスンがアップルの特許7件のうち、スクロール・マルチタッチやズーム・ナビゲートなど6件をサムスン電子が侵害したと判断した。

http://jp.reuters.com/article/technologyNews/idJPTYE87N05E20120825

韓国への特許出願

韓国出願を依頼されて、いくつか韓国特許事務所に見積もりを依頼したら、翻訳料込で14万円弱の見積りが来た。こういうのが複数来ていたのでその位が今の相場らしい。

中国への特許出願はページ数にもよるが、翻訳料込で24~30万円位なので韓国への特許出願は中国出願の約半分で出願できる。台湾への特許出願もかなり安いが。

欧米に特許出願する場合、英語への翻訳だと翻訳料だけで50万円~100万円かかるが、韓国、中国、台湾は比較的安価で出願できる。

そういう意味では今後はこれらの東アジア圏への特許出願も検討すべきと思われる。

特にマーケットの大きい中国には、製品を販売するのであれば出願しておいた方がよいと思われる。

製造技術については、台湾、韓国で製造される恐れがあれば、出願すべきと思われる。ただし、別の方法でそれほど品質を落とさず値段もあまり変わらないコストで製造できるのであれば、出願してもあまり効果は無いかも知れないが。