進歩性の低い特許出願

ある関西の研究所に出張して発明をヒアリングしてきました。

新しくてきれいな建物でうらやましい位でした。

最近は大学でもベンチャー向けに新しい建物を建てているところもありますが、それを思い出しました。

そこでも少し話したのですが、例えば、公知の遺伝子を公知の方法で導入した形質転換動物について特許出願した場合、進歩性がない、という拒絶理由が来ます。処理する動物自体も知られていて、導入する遺伝子も知られていて、導入方法も公知の方法であれば、通常は誰でも容易に思いつくからです。

その場合に、反論するには、その組み合わせ(構成自体)は通常の当業者(専門家)は思いつかない、組み合わせを考えることに障害となる理由(論文等)がある、その組み合わせには予想外の効果がある、等の進歩性があることを主張する必要があります。

例えば、特殊な目的の場合に予想以上に高い効果がある、とか、ある条件では予期しなかった効果があったなど、効果を主張することによっても進歩性を主張できます。

そういう意味では、予想外の効果がある範囲を確定できるように実験を組むのも一つのやり方です。つまり、効果を測定し、予想外の効果がある部分をきちんとデータを取ります。この場合、上昇中、あるいは、下降中の範囲までしかデータを取らない人もいますが、これは困ったものです。上昇中であれば、その途中で権利化しても、他の人がもっと上の部分で実施してもっといい効果が出たりするからです。

そういう意味で、上昇中、下降中なら、もっと先までデータを取って、ピークがわかるように取る必要があります。そうしておけばその効果のある範囲に限定することで進歩性が認められるケースがあります。

他にも、ちょっとした効果や工夫で特許出願の進歩性が認められるケースもありますから進歩性でお悩みの方はお気軽にご相談下さい。

既に特許申請済みの出願に対して進歩性がない、という拒絶理由が来た場合は、意見書だけでは拒絶理由が解消できない場合もあり得ます。

その場合には、上述のように数値範囲を補正することにより、顕著な効果がある部分のみに限定できるのであれば、そのような顕著な効果がある範囲に限定する補正をすることも有効な場合があります。

あるいは、付加的な要素が明細書中に記載してあれば、その付加要素を追加して、先行文献に対して進歩性が出るようにすることもできることがあります。その付加要素を追加することを当業者が思い付かない、あるいは、それを付加することで非常に効果が高くなったり、予想外の効果が出たりする場合です。

ただし、付加要素を追加すればそれだけ権利範囲としては狭くなります。すると他社がその権利をすり抜ける(エスケープ)のも容易になります。

つまり、補正して限定することで特許になりやすくなるのですが、それだけ権利が狭くなり、他社への抑止力は低くなる、というわけです。

ですから、補正する場合に一番いいのは、構成要件を追加したように見えて実質的には何も権利としては狭くなっていない、という補正だと思います。そういう補正も知恵を絞れば可能です。大平国際特許事務所でもそういう補正を考えるのが得意です。

つまり、補正する場合に、その要素を追加したために、他社が容易にエスケープできるような権利になるのでは、権利化する意味が少なくなってしまいます。

特に、自社実施する場合であれば、まだ、いいですが、ライセンスする場合には、エスケープ可能な権利だと相手先もライセンスを受けずに特許権をエスケープして実施してしまいますから、ライセンスは難しいです。

ただ、現実には、進歩性が低い発明だけど、権利化したい、あるいは、広い権利を取りたい、というご要望はかなり多いです。

個人発明家の方で、発明を特許申請するのが初めて、という方の場合は、ご自身ではすごい発明をした、と信じているのですが、非常によく似た先行技術があったりします。

そういう場合は、さらにその発明を改善してより優れた発明にして出願することをお勧めすることもあるのですが、多くの発明家の方はそれをされません。どうしていいかわからないのかも知れません。

しかし、発明は改良の連続、ともいえます。

どんなに素晴らしい発明をしても、どんどん改良発明が出てきます。企業にとっては改善は日常活動です。

パソコンにしても、iPhoneにしてもどんどん新製品が発売され、性能も上がっています。そしてそれらには発明が張り付いています。権利化されているかどうかは別として。

ですから、発明家にとって、改良発明をするのは日常的なルーチンワークであるべきです。

改善するためには、どうすればもっといい発明になるか?もっと便利になるか?使いやすくなるか?を考え続ければいいだけです。

そうした知恵を出すために考えることで頭が活性化しますし、高齢者の場合はボケ防止にもなります。

難しい問題を解決するほど、面白いものです。問題集でもそうですが、難問程解くのが面白い、とも言えます。ゴルフでもあんな小さな玉を小さな穴に入れるという難しさがあるからこそ面白いとも言えます。もし、ホールが大きな穴で誰でも簡単に入れられるようなスポーツであれば誰もやる気にならないでしょう。

野球でも打てば必ずホームランばかり、というのでは面白くも何ともないでしょう。

発明も同じです。難しい課題を解決するほど面白いです。発明を完成してもそれで終わりにせず、常に改善点を見つけ、改良発明をし続けるつもりで知恵を出されるとよいと思います。実際、完璧な発明などありませんから。

弁理士の仕事も難しい拒絶理由とか、異議申立事件とかの方がやっていて面白いと感じます。簡単に反論できる拒絶理由に応答してすぐに特許になっても当たり前過ぎて単なる事務作業のようなものです。

しかし、相手が必死になって特許を潰そうと異議申立をしてきた分厚い異議申立書を読み、取消理由に反論するのは、弁理士の仕事の醍醐味ともいえます。

また、大平国際特許事務所では、進歩性の拒絶理由についてはどんなに難しい拒絶理由でも対応できる自信があります(新規性、記載要件も大抵は何とかなりますが、希にどうしようもないこともあります)。

もし、他の特許事務所でこれは難しいから諦めた方がいい、と言われて諦めている案件があれば、ぜひ大平国際特許事務所にご相談下さい。

きっと、「えっ?あれが特許になったの?」と驚かれると思います。

難しい拒絶理由にお悩みの方はぜひご相談下さい。

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長い拒絶理由通知への応答

最近、長い拒絶理由通知を受けることが増えてきた気がします。日本では、引用文献も4~5件程度が多かったのが、最近では7~8件位のが増えた印象です。さらに技術水準を示す文献が5件位付いている場合もあります。

これは、研究者の数が増え、科学雑誌も細分化して種類が増え、論文が多くなったことも一因でしょう。一説には1年間に出る情報量が、その1年前より以前の有史以来の情報全てを合わせたものよりも多くなっているとも言われます。それほどの情報量が毎年新たに発生しているわけですから、拒絶理由の根拠が多くなるのも当然でしょう。

日本の拒絶理由通知で10ページ以上、米国の拒絶理由(オフィス・アクション、office action)では30ページ位のものもあります。引用文献の数も、通常は5~6程度ですが、8とか、10以上文献やホームページが引用されるケースもあります。項目数が20位あることもあります。

日本の拒絶理由通知は、日本の実務を熟知しているので、私にとっては長くても引用文献が多くても何も問題ありません。

問題は、海外の長い拒絶理由通知で、反復が多い拒絶理由通知です。例えば、5種類の中から任意の2種類を選んで使用するような発明の場合、組合せは5×4で20種類できます。審査官の中には、この20種類を網羅的に各組合せ毎に拒絶理由を打ってきたりします。もちろん、引用文献は構成に応じて組み合わせを微妙に変えています。

すると、項目数で20項目となり、引用文献もかなり重複しますが、項目ごとに微妙に変えてきて、何がポイントなのかよくわからず、なぜ、このような形で拒絶理由を打つのだろう?と考え込むときもあります。

それに、各組合せ毎に拒絶理由を打たれると、その組み合わせ毎に反論をする必要があり、各組合せ毎に、構成の容易性、効果の顕著性、商業的成功、long felt needsなどを検討する必要が生じ、非常に大変な作業になります。

もちろん、それらを一刀両断できるような要素がある発明であればいいのですが、非常に技術水準に近い発明の場合は、あらゆる組合せに先行技術があったりして、とても一発で特許になるような限定もできません。(追記:その後、このような非常に長いオフィス・アクションに応答したところ、一回の応答で特許になりそうです。拒絶理由が長いからと言って必ずしも特許にするのが難しいわけではない、と気づきました。)

そのような場合でも、発明者に聞くと、先行文献との違いがクリアになり、意外に簡単に特許になる場合もありました。

ただ、一番苦労するのが、特許査定率の低い審査官に当たって、しかも、審査官の言っていることが分かりにくい場合です。

アメリカの審査官は審査官毎に特許査定率が出ていて、平均より低い特許査定率の審査官に当たると拒絶される確率が通常よりも高くなります。

そういう審査官の拒絶理由はやはり、あまりクリアではなく、頭が十分整理されていないような印象を受ける場合もあります。クリアカットであれば、完全に論理で真っ向から論破できるのですが、あいまいな議論で拒絶査定を出されるのが一番困ります。

そういう場合は、RCE(再審査請求)ではなく、アピール(審判)に持って行けば、審査官が変わるので、特許査定率が飛躍的に上がったりします。

実際、拒絶査定率が9割の審査官の場合に、アピールに持ち込み、審査官が変わるだけで、特許査定率80%に跳ね上がったりします。

アピールする場合は、最終拒絶理由通知(final office action)の応答期間内に、特許公判審判部(PTAB : Patent Trial and Appeal Board)に、審判請求書(notice of appeal)を提出し、審判請求料を支払う必要があります。以前は審判請求料は630ドルでしたが、料金改定で800ドルになりました。

審判請求中にもRCE(再審査請求)ができるので、アピールの中で補正が必要になれば、RCEをかけて、補正して、再度審判請求する、ということも可能です。その場合に最初の審査官がまた審査するかはわかりません。同じ審査官だと、RCEしても拒絶され、再度アピールするしかなくなる可能性もあり得ます。

特に米国の場合は、審査基準を正確に適用せず、ディベート的に自分の説に固執する審査官もいるようです。そういう場合は、RCEを繰り返しても特許にならない可能性が高いですから補正や継続出願で普通の審査官なら特許になるレベルにした上でアピールに持ち込むのがよいと思います。

日本でも、審査官毎に特許査定率を出してくれればいいのですが、日本では、拒絶査定が来たら一律審判一択しかないので、米国のように再審査を請求して同じ審査官が延々と審査する制度はありません。その意味では日本の方がいい制度とも言えます。

ただ、個人的には、日本でも再審査制度があれば、無駄な分割出願をしなくていいので、制度的にはあった方がよいと思います。ただ、その際、再審査では最初の審査官以外の審査官を希望すれば、別の審査官に担当してもらえる制度にできれば非常に使いやすい制度になる気がします。

審査官の人によるバラツキは欧州でも大きいそうです。無審査国のフランスの審査官や、特許出願の非常に少ない国(たとえばリトアニアなど)から欧州特許庁European Patent Office: EPO)に審査官が来るので、出身国によって審査官のレベルに大きな差があります。

逆に言えば、甘い審査官に当たることもあるので、特許になりやすい面もあります。実際、日米欧の三極に同じ特許を出願した場合、欧州が一番広い権利が取れるケースも多いです。

審査官によってかなり違いがあることを理解して、どのように反論すれば特許になるか?は審査官により違うと思われますので、どうしても特許にしたい案件は審査官と面接して、審査官の拒絶理由の本当の意味を十分理解した上で、反論するのがお勧めです。

大平国際特許事務所でも、難しい拒絶理由の場合は、審査官と面接することをお勧めする場合が多いです。そうすることにより1回の意見書、補正書で特許化できる場合が多いです。

弁理士の仕事の醍醐味

情報量の増加は加速度的で、1年間に公表される情報が、その前年から人類史上全部を合わせた情報量を上回る、とも言われて久しいです。

そこまで情報量が多くなると、特許の審査においても、多数の先行文献が引用され、特許にできる隙間が非常に狭くなります。

つまり、先行技術の雨、あられをうまくかわしながら、特許にできる穴を見つけ、その穴を拡げて特許にします。常に広げられるとは限りませんが。

しかし、進歩性の拒絶理由に対して、その文献のみに限れば、拒絶理由は意外と解消できる場合もあります。やり方は文献と拒絶理由の内容ごとにケースバイケースですが、例えば、マイクロアレイ(金属やガラスが材料)とマクロアレイ(ニトロセルロース膜やナイロン膜系)の違いがあれば、うまく反論すれば特許になることもあり得ます。

こういう穴を的確に見つけるのが得意な人が科学者の中には一定数います。論理の穴をパッと見つけて鋭く指摘する人です。

そういう能力があれば、拒絶理由の穴も瞬時に見つけられると思います。大平国際特許事務所所長の大平和幸弁理士もそれが得意です。

例えば、図の脚注の1行だけで、拒絶理由をひっくり返したりもできる場合があります。

あるいは、要約ではこう書いてあるけど、本文やグラフを見たら、そうは言えない、というようなケースもよくあります。こういう場合は比較的簡単に拒絶理由を解消できます。

と、いうのも、日本の審査官も要約しか読まないと決めている審査官がいます。こういう審査官は本文を精読していないので、本文中に特許にできるヒントが見つかったりします。アメリカでも原則は拒絶理由の文献を全文は読まないようです(人にもよるでしょうが)。

だとすれば、審査官が読んでない部分に拒絶理由を解消できるヒントが見つかる可能性はかなり高いです。あるいは、その論文が根本的に間違っていることがわかる場合もあります。それは、その後のレビュー等にその方法は使えない、と書いてある文献を見つけることなどで立証できます。

そうした穴が見つかったら、それを突破口にして、反論の文章を作ります。このとき、審査官にもわかりやすいようにあまり複雑な論理にしない方がよいと思います。審査官がよくわからない、ということで、拒絶理由が解消していない、と判断されては元も子もありませんから。

このように、論文の穴を見つけ、それを適切に表現することで、非常に難しい拒絶理由に見えても、意外にあっさりと特許査定が出る場合もあり得ます。

それが正に弁理士の仕事の醍醐味です。それにより、クライアント様に非常に喜んでいただけるとこちらも頑張ってよかった、と思います。

大平国際特許事務所では、難しい拒絶理由に対応するのが得意です。どうしても特許にしたいけど、非常に難しい拒絶理由が来た、というような場合にセカンドオピニオンを出すことも可能ですので、お気軽にご相談下さい。他の弁理士の先生が匙を投げた案件でも大平国際特許事務所なら特許にできる場合もあり得ます。

以下のページから、ぜひお気軽にご相談下さい。

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出願明細書の書き方と品質の上げ方

特許申請の明細書を本気で気合いを入れて書くと、かなりいいものができます。世界最高レベルの明細書を書こうと思って書くと、やはり、普通に書くよりもさらに優れた明細書が書けます。

企業が依頼してくる特許出願には、非常に重要だから何としても権利化したい、という本当に事業にとって重要なものと、大学の先生との付き合いでとりあえず出願しておこう、というような、それほど気合いを入れなくても問題の少ない出願があります。

なので、企業としても、本当に重要な出願の場合は、これは非常に重要な出願だから、と弁理士に伝えます。そうすれば、弁理士も全力でいい明細書を書こうとしますからいいものができます。

もちろん、発明内容を見て、これはすごい、すごい発明だから、最高の明細書を書こう、という気になるような大発明は、企業様から重要、と言われるまでもなく、世界を変える発明ですから、弁理士としてもよりよい権利を取れるように、細心の注意を払って明細書を作成します。

企業様にしても、1人の人を雇って、研究をさせるとすれば、年間1000万円以上の投資をしています。それを回収できるだけの研究成果を出し、会社に貢献できる社員はそれほど多くないのかも知れません。

商品開発はセンミツ、1000に3つがヒット商品になる、と言われますから。そして、それはかなり運によるところが大きい気がします。

そういう意味では、特許出願した発明がヒット商品になる確率もそれに似たようなもので、特許製品が実際に販売されるか、また、ヒット商品になり、何年間も売れ続けるか?は非常に確率が低いと思われます。

しかし、それでも、製品の2~5%位が巨額の利益を生み、ヒットして数百億円の売上となり、数十億円の利益を生み出せれば、特許出願費用はそれほど問題にならないと思われます。

そう言う意味では、ある程度の数を出さないと特許製品で利益を得るのは難しいとも言えます。やはり、最初は売れる商品を作るところが重要だと思います。

腕のいい弁理士とは?サイエンス力と論理力

特許出願の明細書や拒絶理由対応の際には弁理士の腕がはっきり分かれます。

特に権利化の難しい特許出願、いわゆる当たり前特許のような特許出願の拒絶理由対応は大変です。

では、弁理士の腕がいいとか、悪いとかはどこで差が付くのでしょう?

明細書のページ数、発明内容の本質的な理解、発明の捉え方、切り口、過不足のない網羅的な内容、海外でも通用する書き方、請求項の広さ、拒絶対応ができるような明細書の書き方、等々多くの要素が特許出願明細書には求められます。

そして、審査請求をして拒絶理由が来たとき、明細書の出来がよければ反論や補正もしやすいです。逆にほとんど記載がないと、補正のしようがない場合があります。そういう意味で、読みやすく簡単に書いておきました、という弁理士はちょっと危険です。補正できない場合がありますから。

そして、拒絶理由対応には明らかに弁理士の腕による差が出ます。引用文献との本質的な差をぱっと理解できる弁理士もいれば、本質がわからない弁理士もいます。そして、差がわかっても、それを審査官にきちんとわかるように論理的に書ける弁理士もいれば、ほとんど説得力のない書き方しかできない弁理士もいたりします。

また、こういう拒絶理由通知が来たら諦めるしかない、という発想の弁理士もいたりします。しかし、そこで知恵を絞れば特許化できる場合もあり得ます。私も先輩弁理士がこれは特許になるわけないからあまり頑張らなくていいよ、という拒絶理由に応答してあっさり特許査定を得たことが何度もあります。

要はサイエンスの本質を捉える能力と、審査官に伝える論理力の2つがあれば、弁理士はかなりのことができます。逆にこれが弱い場合は、特許にできる発明をみすみす捨ててしまっているかも知れません。

大平国際特許事務所は権利化が難しい特許出願を権利化するのが得意です。なぜなら、大学、企業で20年以上研究開発に携わったサイエンスの本質を掴む能力と、10年以上の弁理士経験や、大企業で30年以上知財法務室長をやっていた大先輩から直接教わった論理力があるためです。

難しいと思われる発明でも当所では特許化できる場合がございますので、お気軽にご相談下さい。特許1つで数百憶円以上の利益を生み出すことも可能です。

特許出願明細書のレビュー、セカンド・オピニオン(2nd opinion)サービスを開始します

特許出願や、拒絶理由の対応がきちんとできているか?あるいは、もっと他の知恵はないか?と思うことは知財部員であればときどきあると思います。

代理人の弁理士は、これはもう特許にはならないから応答しても無駄ですよ、というニュアンスでコメントが来る場合があります。

しかし、それは本当でしょうか?例えば、A弁理士であれば、もうどうしようもないから、これは反論してもほとんど特許化は無理です、といっても、B弁理士に聞くと、ああ、それはここをこう補正すれば特許になりますよ、ということはありえます。

というか、こういうことは日常茶飯事です。そして、ここが弁理士の腕なのですが、それをどれだけの人が理解しているでしょうか?

つまり、能力の高い弁理士に依頼すれば特許になったものが、能力の低い弁理士に依頼したために特許にならなかった、というケースはよくある、ということです。

これは、医者でもよくあることです。ある医者はただの風邪だというので放置しておいたら大変な命の危険のある病気だった、とか、ある病院では見過ごされていた重大な疾患が他の病院では簡単に見つかった、というような場合もよくあります。

弁理士でも同じです。ある弁理士には見えるものが、見えない弁理士もいます。それは科学的知識の欠如であったり、法律知識の不足、判例知識の不足等です。

そういう意味で、1人の弁理士、1つの弁理士事務所だけに頼るのはリスクがあります。そうしたとき、医者のような、セカンドオピニオンが依頼できれば、他の弁理士の意見も聞くことができ、特許にならないと思っていたものが特許になるケースがありえます。

そういう意味で、大平国際特許事務所では、セカンド・オピニオン・サービスを行っております。特許出願明細書のレビューは、1回3万円、拒絶理由通知と対応のレビューは5万円となります。

これは、出願明細書のレビューよりも、拒絶理由通知への応答の方が高額なのは以下の理由からです。

拒絶理由通知の方が、特許出願明細書、拒絶理由、拒絶理由の引用文献と読む作業量が多く、論理を考える時間が必要なためです。特許出願は出願明細書を主に読めばいいので、その問題点はすぐにわかりますが、拒絶理由応答は、より手間がかかり、知恵を出す必要があるためです。

いずれにしましても、せっかく出願したのであれば、拒絶理由に簡単に対応するのではなく、より徹底した対策を取り特許化する方が好ましいと思います。

もちろん、大平国際特許事務所では、世界最高水準の拒絶理由応答をしている自信があるのでこのようなことが言えるわけです。私に事務所では2nd opinionは基本的には不要です。

特許事務所(代理人弁理士)を変更する場合

何等かの理由で依頼人から特許事務所の弁理士を解任したり、特許事務所から代理人を辞めさせてくれ、と言って来たりする場合があります。

例えば、非常に重要な特許権を期限徒過で消滅させてしまったり、審査請求期限を忘れていて出願から3年以上経ち、もはや権利取得が不可能になったりすることがあります。

特許出願の拒絶理由への対応が遅れて権利化が不可能になったり(この場合は拒絶査定不服審判で争えるのでそれほど深刻ではありませんが)することもあります。

極めて深刻な事故が起こった場合は、全ての特許と特許出願を別の事務所に移す(移管する)、という場合もかなりあるようです。

仕事をしているのが人間である以上、どうしても人為ミスを完全になくすることはできません。

こうした事故は滅多に起こりませんが、ごく稀にある1つの特許出願だけがコンピュータに入力ミスしてしまい、期限管理ができなかった、等という事件が実際にありました。しかも、そこは期限付きの雇用者が多く、3月末に退職する人が引き継がなかったために、審査請求担当者が誰もおらず、ライセンス契約していた特許出願が権利取得不可能になったとのことでした。しかも、なぜか担当の特許事務所の管理からも漏れていたそうです。

このあたりは企業であれば二重、三重のチェックがかかるのですが、大学関係の知財部門だったので、管理が甘かったようです。おそらく特許管理ソフトではなく、エクセル等で管理していたのでしょう。

そのケースではその特許出願にかなり高額のライセンス契約をしていて、ライセンス先の大企業もその事業にかなり力を入れていた案件でした。その件は他にも特許出願があったので何とか収まったのですが、取引完全停止になってもおかしくないような事件でした。

特許事務所がそのようなミスをすると、クライアント企業様が怒って全案件を引き上げる場合もあるようです。大企業が引き上げると、その事務所の売上げの3分の1位がなくなることもあり、特許事務所にとっては大きな打撃になります。

上記以外の形で特許事務所を変える場合は、過去から続いているシリーズの案件は従来と同じ特許事務所に依頼し、新たな独立した案件から新しい特許事務所に依頼する、という形が多いと思われます。と言うのも、従来から付き合っている弁理士の方がその経過を知っているので、説明が楽、という面があるからです。

そういう意味では、特許事務所を変えたい場合は、新しくて、従来とは独立した案件から依頼を始め、その事務所の特許出願明細書の出来が良ければ、従来からの案件もその事務所に移していく、というのがよいのではないかと思われます。

例えば、ある国家プロジェクトの案件だけは、その国家プロジェクトに関わりの深い(例えば審議委員をしているなど)弁理士に依頼する、ということも考えられます(ただし、研究資金の審査委員の弁理士は応募企業の出願等は受任できないので注意が必要です)。

弁理士も1万人を超え、専門分野も細分化し、非常に高学歴(博士号取得、大学の助教~教授、海外で研究歴がある)の専門家の弁理士など多様化しています。優れた弁理士に依頼することで、普通にやっていては特許にならない出願が特許化できる場合もあります。

実際、え、あれが特許になったの?と私は何度も言われました。他人が担当して米国で拒絶理由に対応できず、放棄した出願の欧州の対応出願を特許化したりできています。

弁理士ならみんな同じだろう、と考える人もいるかも知れませんが、やはり、得意、不得意はあります。文章の説得力も弁理士によって全く違います。

例えば、医者でも人によっていうことがかなり違います。医師が様子をみましょう、と言って放っておいたらとても痛くなって、大学病院で診てもらったらガンがステージ4になっていた、ということが現実に起きています。

弁理士でもこれと事情は同じです。ある弁理士なら強い特許が取れるけど、別の弁理士では普通の対応しかできず、難しい特許は取れない、というケースもあり得ます。

そういう意味で腕のいい弁理士を選ぶことは企業の知財部にとっても非常に重要な仕事だと思います。

重要な特許取得を考えておられる方は、大平国際特許事務所もぜひお試し下さい。セカンドオピニオンも承っております。費用についてもご相談に応じます。

特許出願の代理人弁理士を変更する際の注意点

特許出願を弁理士に依頼して出願したが、その後、何等かの理由で代理人弁理士を変更したい場合があります。よく聞く話としては、期限管理等で失敗して権利が消滅したり、反論ができなかったりした場合でしょう。その場合は、会社全体の出願を引き上げてしまうこともあります。

あるいは、逆に、代理人の方で、代理を降りたい、という場合もあります。これは、出願人がいうことがころころ変わり、いろいろ文句をつけて、非常に時間がかかる割にはそれに見合った料金を支払ってくれない、というような場合に起こりえます。

実際私も、他の有名な事務所が代理人を辞任した特許出願の案件を受任して拒絶理由通知から対応して、何度も面接審査をして登録にまで持って行ったことがありました。

その方は元々研究者だった人で、非常に細かいことにこだわり、さらに、何時間も議論して、これで行く、と決まっていたものを最後の最後でひっくり返したりすることがありました。前の事務所がどういう事情で辞任したかは不明ですが、例えば、5時間議論してきた方向性を全く白紙に戻されてはやってられない、ということもあったのではないかと思います。

代理人を変更する場合は、委任状を特許出願人からもらって代理人受任届を提出するだけで代理人弁理士として対応可能になります。前の代理人が辞任する必要はありません。

この場合、事務所によっては移管費用をもらう特許事務所もあるようです。なぜなら、中途で移管する場合は、出願から扱っていないので、明細書を読み込み、説明を聞くという、出願から受任している場合に比べ余分な時間がかかることと、特許管理システムにデータを入力する手間がかかるためです。ですから移管費用を取るのは普通です。

大平国際特許事務所の場合は他事務所からの移管の際も移管費用は請求せず、その代り、特許として登録査定が出た際に成功謝金としていただいています。この移管費用や登録謝金の額は代理人弁理士を変更する場合は移管先の特許事務所や弁理士に確認しておいた方がよいと思います。

中途受任して拒絶理由に対応し、特許になった場合に登録謝金を取らない事務所はほぼ無いと思います。でなければ、出願内容を理解して拒絶理由に対応する作業を10万円程度でやらなければならず、それでは特許事務所を経営的に成り立たせるのは非常に難しいからです。

そのため、登録謝金に上乗せするか、移管時に移管費用(出願費用相当分)として請求する特許事務所が殆どだと思います。多いところは移管費用は20万円程度と聞いたことがあります。

いずれにしても、自分で選んだ弁理士に依頼して特許出願した後も、代理人を変更した方がよいと判断した場合は容易に代理人を変更できますので、私の事務所にもお気軽に代理人弁理士変更についてお問い合わせ下さい。

大平国際特許事務所では移管料ではなく、登録謝金(通常、10万円+(請求項数ー1)×1万円)をいただく形にしております。意見書、補正書提出は1通各5万円で行っております。当事務所では非常に難しい拒絶理由通知に対しても反論して特許査定を受けるケースが非常に多いのでどうしても特許査定を得たい場合は移管やセカンドオピニオンについてもお気軽にご相談下さい。

特許出願依頼時からの内容変更

特許出願を依頼され、明細書を作成した後で、微妙な修正をされるのは特に問題ありません。大筋に変更がなく、請求項にも影響を与えない程度の追加・修正はむしろサポート要件や後の補正にとって有益ですから。

しかしながら、中には、どんどん発明内容を追加して来られる方もおられます。大学の先生に多いように思います。実験を次々にして、新しい発明を追加して来ます。

そうすると、請求項をまた考えて追加する必要が生じます。その場合、発明の単一性があるかどうかも考えなければなりません。もちろん、詰め込めるだけ詰め込んでおいて、後で複数の出願に分割することは可能ではありますが、最初から複数に分けておいた方がいい場合もあります。

もっと苦労するのは、発明内容の根本的な変更をされる場合です。前の発明がもう一つだったので、新しい発明にしたい、という場合です。この場合は、明細書をもう1つ作るに等しくなる場合があり、できればそういうのは特許出願を依頼する際に最初から言って欲しいと思いますが、後から出てきた発明ですので、追加するか、別出願にするかになります。

もちろん、発明者も日々進歩しているわけで、アイデアも次々に出る人もいますし、発明の内容が変わる場合があるのは止むを得ないとは言えます。

そういう場合はそれまでの発明に追加する形で実施形態を追加すればそれほど大きな負担にはならない場合もあります。そして、追加の請求項案を作ってもクレームアップせずに、追加の請求項の内容は特許請求の範囲ではなく、明細書中に請求項の表現を入れておいて、後に分割出願するというやり方です。こうすれば発明の単一性を検討しなくてすみます。

それでも請求項を追加で作成するのと、それに応じて解決手段、実施形態を書き直すのはそれなりに注意深く作業する必要があり、決して簡単な作業ではありません。下手すると、もう1つ明細書を作るよりも大変になる場合もあり得ます。そういう意味では、異なる発明を追加される場合は、別出願を勧めるのがよいのかも知れません。

いずれにしても、五月雨式にアイデアを継続して送付された場合は、完成した発明を送られてきた場合の数倍手間と時間がかかります。できれば、完成した発明を送っていただければ特許事務所としては助かります。

明細書を書く過程で継続的に発明者とブレインストーミングするとなると、発明コンサルティングをしているのと同じことになり、本来コンサル料金をもらわないといけない作業が発生します。それをきっちり請求するのであればそれでもいいかと思います。あるいは、そういうやり方でどんどん発明を追加される先生には、何度か追加された段階で、手間が増えるので料金が余分にかかる旨説明すべきでしょう。

無料ではできないサービスを無料で提供する場合どうしてもモチベーションが下がります。こちらのお客様はコンサルティング料金を払って下さるけど、あちらのお客様は全部込でこの値段でやってくれ、と言われた場合、どうしても料金を支払って下さる方を優先してしまいます。

企業様によっては、必ず値引きを要求し、ある一定値以上の料金は払わない、しかし、通常以上に高品質な仕事を要求される、というポリシーの企業様もおられます。企業様側から見れば、特許事務所にはできるだけ高いレベルの仕事をしてもらい、料金は非常に安く済ませられればコストダウンにはなるでしょう。

しかしながら、安い値段で仕事をするところは品質の低いところもあり得ます。ある程度の給料を支払わなければ優秀な弁理士を確保することも難しいです。ですから、高品質な仕事を要求されるのであれば、それに見合った料金をお支払いただければ、と思います。

弁護士でも、優秀な弁護士にはタイムチャージで6万とか7万支払うのではないでしょうか?弁理士でも、ピンからキリまであります。ある弁理士なら特許にできるものを、腕の悪い弁理士が担当したために特許にならなかった、ということはいくらでもあります。

そういう意味では、安物買いの銭失いにならないように、ある程度以上の料金を支払い、それに見合うか、それ以上の高品質で価値の高い対応をする事務所に依頼すべき、と思います。