経営戦略と知財戦略で競争優位性を獲得し、知財部をプロフィットセンター化するには

知財部をプロフィットセンター化するにはどうすればよいか?というのは間接部門である知財部(特許部)の永遠のテーマのように思います。

知財部だけがいくら最強であっても、研究開発部門から上がってくる発明がしょぼくて、あまり特許で守る価値がないものであれば、おそらく、売上げも利益も上がらないでしょう(製品は大したことなくてもマーケティングや広告で売れる場合はあるかも知れませんが)。

あるいは、マーケティング部門や営業部門が弱ければ、いくら素晴らしい製品を開発しても売れない、ということにもなりかねません。

会社で利益をあげるには、結局のところ、売上、利益をあげる必要があります。それが会社の存在目的の一つでもあります。そこに知財部がどう関われるか、という問題だと思われます。

理想的には、最強の研究開発部隊、最強のマーケティング部隊、最強のセールス部隊、最強の特許(知財)部隊の全てが揃えば、会社の売上、利益も最大化できるでしょう。

そういう会社の知財部門であれば、製品を有効に守る特許網(特許壁)を作ることで、製品を独占販売して利益をあげることができるので、プロフィットセンターの役割を果たせると思います。あるいは莫大なライセンス料を得ることも可能でしょう。

しかし、研究開発があまり活発でなく、画期的な製品が出ない中小企業等の場合は、知財部がいくらいい特許を取ったとしても、売上も利益もそれほど上がらないこともあり得ます。売れなければ利益は出ないわけですから。だとすれば、知財部はコストセンターにならざるを得ないとも言えます。

とはいえ、知財部が研究開発部門に対して、もっといい(売れる)発明をしろ、というのも現実的には難しいと思います。研究で使い物にならないから知財部に飛ばされた、という立場の元研究者の知財部員だと特に言いにくいのではないでしょうか?

それに、いい発明=売れる製品とは限りません。ヒット商品を開発しろ、というのがあえて言うとすればありますが、そんなことができるなら誰も苦労はしません。それにヒット商品のコンセプトはどちらかと言えばマーケティング部門、商品企画部の役割ではないかと思います。

それを考えると、知財部がプロフィットセンター化するかどうかは、ヒット商品の発明品が出るかどうかにかかっているようにも思えます。最も典型的なのは、昔のビクターのVHSの特許のような発明をして年間数百億円のライセンス料をもらえるようにすることでしょう。それであれば、知財部がプロフィットセンターであることは誰の目にも明らかです。

しかし、そのような特許発明は会社の中でも歴史的な特許で、滅多に出て来るものではないでしょう(それに巨額のライセンス収入を得た会社はその後傾くことも多いです)。

ただし、製薬企業の場合はブロックバスターが数年ごとに出るから知財部が非常に重要な部署になっています。特許制度が最も有効に機能しているのが製薬業界とも言われます。

つまり、特許で年間数千億円以上の売上を独占したり、巨額のライセンス料を得られれば、知財部もプロフィットセンターになれるように思います。とはいえ、そのような確率は宝くじを引くようなものかも知れません。

知財部としては、そういうホームラン特許が出ることを期待し、ホームラン特許が出る環境作りをするのも一つのやり方でしょう。もしかしたら、ものすごいホームラン特許が眠っているかも知れません。それを掘り当てれば知財部も一躍プロフィットセンターになり得ます。

その一方で、ホームラン特許が出なくても売上を上げる活動はそれ外にもあり、知財を使ってお金を稼ぐことを考えればいいのかも知れません。

侵害者に対して警告してライセンス料を得たり、訴訟をして勝てば損害賠償金が入ったり、その後もライセンス料が入ります。これらはキャッシュですから、会社のキャッシュフローを改善できる、という面があります。しかも不労収入になります。

最近、日本では特許訴訟が減っていますが、権利行使しない特許は持つ意味がない、という説もあります。単に特許を持っているだけで、他社の侵害を放置するなら権利を持つ意味はないでしょう。それこそコストにしかなりません。

そういう意味で、知財部をプロフィットセンターにするためには、権利行使をするのが一つのやり方ではないかと思います。

他にも、例えば、会社の廃棄物を他社が特許発明に利用できるような場合には、会社に有利な条件で買い取らせる契約をうまくやれれば、会社のコスト削減とプロフィット増大に関われるでしょう。

こうした契約で、会社の利益に貢献できる場合もあると思われます。それには、会社の経営戦略や事業戦略を熟知し、どこにビジネスチャンスがあるかを見極めることでしょう。実際には事業部の方がビジネスチャンスを把握しているでしょうから、そういう情報を得るのも有効です。

経営戦略や事業戦略を実現するために、知財を有効に活用することができます。というよりも、知財戦略は独立して存在するものではなく、事業戦略や経営戦略と整合している必要があります。もっといえば、知財戦略が事業戦略、経営戦略と一体不可分に融合している状態が理想で、さらに、知財でその会社の未来を創り出すようなことができれば(ビジョナリーレベル)知財としては最強の企業と言えると思います。。

しかしながら、そういうことができている会社は企業の中でも一部だと思われます。

経営戦略とは、通常は、他社の自社事業分野への参入を押さえて、市場を独り占めして利益を独占したい、という、競争優位を獲得するものと考えられています。最近は、価値を高めることが戦略、という説もあり、私は個人的にはこちらが気に入っています。価値を高めることにより競争優位を獲得できますから。

市場を独占して利益を最大化したいとすれば、独占する戦略が必要になります。独占する戦略としては、例えば、特殊な原料で、一部の地域でしか取れないものを使っているのであれば、原料を買い占めれば、市場を独占することも可能でしょう。その国でしか取れない植物とかであれば、その国と独占供給契約を締結すればよいです。これにはかなりの資金力や政治力が必要になると思われます。

それ以外の独占の手段としては、販売力や営業力で市場シェアを最大化するという考えもあるでしょうが、それだけでは限界があると思います。その場合には、どうしても知財が必須と考えます。強くて広い特許権で市場をカバーできれば他社の参入を押さえられ、自社の競争優位を獲得できます。

少なくとも、自社製品については、ピクチャークレームでもよいので製品に特許を貼り付けることが必須と考えます。

ただ、業界や製品によっては、必ずしも広い基本特許が取得できる状況でない場合もあり得ます。

その業界では昔から当たり前に使われてきた技術で、どの会社も同じような製品を発売していたり、既に他社特許が大量に出願されていていまさら広い特許は取れない、等の場合です。焼酎のような歴史の長い飲料の場合は、昔から様々な製品が出されていて、普通に思い付くような製品はほとんど開発し尽くされています。

あるいは、青汁などは大量に製品が出ていて、10種類以上もの成分を含んでいる製品もあり、いまさら広い特許は取れない、と思われます。

そのような場合でもやり方がないわけではありません。何らかの構成要件(部品や成分など)を追加したり、製造方法を改良したりすれば少なくとも、周辺特許、利用特許は取れる可能性があります。

あるいは既に特許出願済みであっても、その後の分割出願等である程度の権利を成立させて他社への参入障壁にすることは可能です。

また、既に特許が出ていても、新しい用途を開発し、自社だけが、その用途を表示できるようにすることで競争優位を獲得することも可能です。これは2016年4月から食品の用途特許が取れるようになったので、お勧めです。また、機能性表示制度に特許を絡めることで、自社でや行った臨床試験のデータを勝手に他社に使わせないことも可能です。

この機能性表示と特許をうまく組み合わせれば、食品の用途発明で市場を独占することが可能ですので、この戦略は今後お勧めです。

つまり、知財戦略をうまく駆使することで、それまでは不可能だったマーケットでの優位性を獲得することが可能になります。

そのための秘訣はいろいろありますが、基本は、強くて広い特許権を取得することでs。それが可能にできるのは、特許庁と常時やり取りをし、ぎりぎりのところで特許を成立させるノウハウを蓄積している特許事務所(弁理士)です。大平国際特許事務所でも、通常は特許にならないと思われる難しい拒絶理由を解消して特許化したものが多数あります。

教科書(基本書など)には書いていないノウハウが当所にはたくさんあります。それが企業にとっても競争優位性を獲得する鍵となることがあります。それはとりもなおさず、通常では特許が取れないものを特許化するノウハウですからこそ、参入障壁を築けるわけです。

企業知財部員でもそれができる優秀な部員がいれば、拒絶理由をかいくぐって、ギリギリのところで特許化できるかも知れません。しかし、それができるのは、元々優秀な研究者・技術者で博士号を持ち、研究歴が長く、その後知財部に異動して法律知識や交渉能力を磨き、10年間以上経験を積んでようやくそのレベルに到達できるかどうか、といったところではないかと考えます。そういう優秀な切れ者の知財部員がいない場合は、特許事務所を有効に活用すべきと考えます。

最近企業知財部にも弁理士が増えていますが、最終的には競争優位性を獲得できる知財戦略をどう経営戦略と融合させるか、が企業知財部をプロフィットセンター化するのに重要なのはいうまでもありません。当所ではそのような戦略コンサルティングも得意としておりますのでお問い合わせはお気軽にどうぞ。

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特許戦略で中小零細企業や個人が大企業に勝てるか?

中小零細企業が特許を出して大企業に勝った例はたくさんあります。最近で言えば、青色発光ダイオードの日亜化学が有名です。個人でも、東北大学の川島隆太教授は著作権収入が5億円位得ていたこともあります。山中伸弥京都大学教授もiPS細胞特許で年間数億円のライセンス収入を京都大学にもたらしています(おそらく山中教授個人へは数千万円のライセンス報酬が支払われていると考えられます)。

ですから、中小零細企業で特許により、事業を独占して巨額の収益を得たり、大企業から多額のライセンス料をもらう、ということは十分可能です。

全くの素人の一般人の個人発明家でもそのような例はあり、洗濯機の糸くず取りで3億円のライセンス料を企業からもらった主婦の話は有名です。それ以外にも、中学校の美術の先生が椅子の意匠で数億円の譲渡対価を得た例や、中小企業の発明で海外の大企業にライセンスして1億円の対価を得た企業もあります。

つまり、必ずしも大企業や大学教授のような専門家でなくても、中小零細企業や個人でも売れる発明ができれば、数億円のライセンス収入を得られる可能性はある、ということです。

これらは偶然の場合もあれば、ライセンス料をもらうために、しっかりと作戦を練って特許出願をして、ライセンスも専門家に依頼して、外国の企業から巨額のライセンス料をもらっている場合もあります。日本の中小企業の発明者は海外に売り込みに行く暇も時間も無い人が多いでしょうから、ライセンス活動は専門家に依頼するもの一つの考えでしょう。

ライセンスを専門家に依頼すれば、成約額の3割~5割を成功報酬で取られるのが普通です。それでも0円よりは3000万円を取られても、総額で1億円のライセンス収入を得る方がよいでしょう。7000万円のキャッシュが入るわけですから。

中小零細企業が特許で稼ぎたい場合、いわゆる当たり前特許を狙うのもよいと思います。当たり前特許は、一見、当たり前のように見える発明ですが、先行技術がなく、特許が登録されてしまい、一旦成立すると大企業にとって非常に邪魔な存在になる特許です。

例えば、携帯電話の2画面特許というのがあり、これは大企業が潰そうとしたのですが、無効理由が見つからず非常に迷惑だったと言われていました。

新しい技術が伸びている時にはこうした当たり前特許出願のチャンスです。今ならさしずめ、太陽光発電に関する特許出願や電気自動車、人工知能(AI)などはチャンスと言えるでしょう。

新しい発明の利用発明で、誰もが使用したがる特許を出願しておけば、高額で売れる可能性があります。

以前、ITブームになったとき、ひたすら特許出願して、その1つを数千万円で売却した、という人にも会ったことがあります。新しい技術が始まったときは特許出願のチャンスです。

そうしたチャンスを見つけたら関連発明をして特許出願すれば億万長者になれるかも知れません。確率はそれほど高くはないですが、宝くじで大金を当てるよりは確実のようにも思います。

中小零細企業でも、実際に製造していれば、意外にいいノウハウ、発明が出てくるものです。それを特許化してライセンス収入を得るのもよいと思います。

ただ、初めて特許出願をする場合や、発明そのものをあまりしたことがない中小零細企業の場合は、弁理士を顧問に雇い、毎月訪問してもらい、特許制度やいい発明の条件、発明のやり方(TRIZ、USITなどの発明手法)、ライセンスできる特許の特徴、ライセンス活動のやり方などを指導してもらうのもよいと思います。また、発明コンサルティングやコーチングを受けるのも有効です。

大平国際特許事務所でも中小零細企業の顧問、コンサルティング、コーチングなどもやっております。お気軽にお問い合わせ下さい。

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知財部(特許部)のパラダムシフトとプロフィットセンター化

知財管理を読んでいたら、知財部のパラダイム・シフト、という記事がありました。2014年にも同じタイトルの記事があり、続編のようです。

内容的には、知財部が出願、中間処理(拒絶理由対応)、審判、訴訟、ライセンス交渉、ライセンス契約等の知財コア業務に加えて、M&A(企業買収)のデュー・デリジェンス、購買契約、開発戦略など、従来、知財では扱わなかったようなことも知財部がやるようになる、というような話でした。

このような話は当所のクライアント様の企業知財部でもときどき聞きます。むしろ、M&A業務が忙しすぎて、発明発掘まで手が回らないほど忙しい企業もあるようです。M&Aのデューデリジェンスは弁護士でもチームで何ヶ月も泊まり込みでやるという話もあるくらい大変な仕事です。弁理士が担当するのはその中の知財評価がメインになるでしょうが。

と、言っても、知財デューデリジェンスを知財部がやるのは当たり前ですし、購買契約でも知財が関係していれば知財部が本来関与すべきものです。開発戦略については、本当は知財部が最初から入っておいた方がよいのですが、企画部等が部外者が参加するのを嫌うケースもあります。

過去にこっそり処理した失敗などを知られたくないのかも知れません。

開発戦略に知財部が積極的にかかわるのはでしゃばりすぎ、という説もありますが、それは当人の能力とやる気次第ではないかと思います。

研究者よりもよく知っているなら、研究者よりもいい開発計画が立てられるかも知れません。また、特許調査をすることで、特許バキュームを見つけ、そこに研究資源を投入して、他社に対する競争優位性を構築することができるかも知れません。

そういう意味では、知財部員(特許部員)が開発計画に積極的に加わるのも面白いと思います。もちろん、よくわからず、足を引っ張るだけしかできないなら、やらない方がよいですが。

昔の知財部は、研究者の落ちこぼれが飛ばされるおじ捨て山とか最後の楽園(ラストリゾート)などと言われていたものです。研究者として使い物にならない、と見捨てられた人、営業で体を壊した人、他のポストが空いてないからポスト待ちで来た人などが知財部のメンバーでした。

そういうレベルの人は元々やる気も少なく、嫌で仕方ない特許部に飛ばされた被害者意識の強い人達ではないかと思います。

将来もあまり期待できない部署とも言えます。役員になる特許部長も昔はいませんでした(キャノンなどは別ですが)。

私が弁理士試験に合格して、特許部に異動したら、特許部を希望して入ってきたのは君が初めてだよ、とあきれられていました。それほど昔は特許部は人気のないところでした。そして弁理士は皆大嫌いなんだよ、という人もいました。一説にはそういう人は弁理士試験に落ち続けていたので大嫌いになったそうです。

実際、知財の仕事は非常に細かく面倒で、覚えることが非常に多く、しかも、各国の法律もどんどん変わっていくし、先進国も判例が出れば実務ががらりと変わったりします。

そしに、元研究者だった人は自分が主役だったのに、今後は、他の人の研究を特許化するという、いわば、脇役に落とされたわけですからやる気がなくなるに決まってます。

そんな人がどんどん仕事を拡大して、会社に貢献しようとはあまり考えないでしょう。

それに、昔の特許部は結構暇だったようです。研究者から発明届出書が出てきたら、それを特許事務所に持って行く言わばメッセンジャーみたいなものでしたから、やることは、明細書の誤字脱字のチェックとか、特許調査程度でした。

特許調査も製品が出るときの実施可否調査(侵害調査)は気合いを入れてやりますが、研究者から、この分野をやっといて、というのは期限もないので、時間ができたときにやればいいということで後回しになります。そして、1年位放置してそのまま消滅、というケースもありました。

そういう意味では昔の特許部は、仕事をしなくていい、本当のラストリゾートでした。

しかし、小泉純一郎首相になって知財戦略本部ができ、知財が注目を浴びるようになると、やる気のある若い人達が自分から知財部を志願して入るようになりました。それまでは、誰も知財部を志望する人はいなかった会社も多かったと思います。

中には、研究者よりも優秀な頭脳を持った人もいるかも知れません。そういう人は研究戦略も立てられると思います。あるレベル以上に優秀な人材であれば、知財部から主体的にこの研究をしたらいい、と助言できると個人的には思います。アインシュタインは特許庁審査官でノーベル賞を取ったわけですから、特許の仕事をしていても、ノーベル賞クラスの理論的な発見は可能です。

そういう意味で、知財部から研究テーマを提案して、他社の特許網(特許壁)を破る特許網を構築することも可能ではないかと思われます。つまり、知財部員が研究の源流に入る、というよりも、源流を創る、ということです。

これは、弁理士にも可能な人材もいると思われます。その分野で何十年間の研究開発経験があれば、大学の教授や助教授に匹敵する知識を持つ弁理士もいたりしますから。

つまり、知財部からテーマを提案し、研究者と一緒になって発明を作り、鉄壁の特許網(壁)を作り上げるような活動をしてもいいのではないでしょうか?そのためには、知財部員が研究所に常駐し、研究者と机を並べて、いつも研究者と議論をしながら発明を特許化していくのがいいと思います。

以前はマーケティング部が社内のハブと言われ、全部署とかかわりのある中心的な役割を果たしていました。今でもそうだと思いますが。

もしかしたら、知財部もそうした社内のハブ的な役割を果たすようになるかも知れません。全ての部署の情報が知財部を通るようになれば、知財戦略が全ての部署で一貫性をもって構築でき、実行できます。

とはいえ、法務部もあるとすれば、法務の方が一般的な事案を全部手がけ、知財部は知財が絡むことだけを専門的にやる、という住み分けもありえます。

その場合は、法務がハブで知財部はその一部を請け負う、という形になることもあり得るでしょう。

組織構造が明確に定義され、権限と責任が明確化されている場合はそれに従えばよいですが、それがない場合は、知財部員も可能な範囲でどんどん活動範囲を広げて行くのも一つの考えでしょう。

そうすることで、知財部が全社的に認知され、知財部の地位も上がると思われます。もちろん、それにより注目度も上がりますから、よりレベルの高い仕事をするとともに、プロフィットセンターになることも求められると思います。

活動範囲を拡げながら、プロフィットセンター化は可能でしょうか?

私が以前やったことに、あるノベルティの特許調査がありました。計画していたノベルティがちょっと侵害リスクがあったのですが、その調査の過程で出願だけして、権利化していない特許出願(審査請求していない出願や拒絶査定が確定した出願等)の中にノベルティとして使えるものがありました。

その出願は公知であり、しかも特許になっておらず、さらに他に特許も成立していませんでしたから、自由に使えることが保証されているものです。そこで、事業部としては、出願して特許になっていないやり方をキャンペーンに採用することにしました。

これなら他社の特許を侵害するリスクが無く、絶対に安全だからです。実際、どこからも何も言ってきませんでした。

それにより、安心してノベルティを拡販することができ、キャンペーンもそれなりの成功を収めました。こういうのも知財のプロフィットセンターとしての役割ではないかと思います。つまり、売上アップに直接関与できるわけですから。

ただし、その後他社も同様のキャンペーンをしてきましたが、当然、止めることはできませんでした。先行者利益が得られたのと、どの程度効果があるかがわかったのが収穫でした。

あるいは契約交渉で自社に有利な条件で契約する、というのもプロフィットを生む行為とも言えます。例えば、ライセンス料率の交渉で、相手が3%と言っているのを交渉で5%+イニシャル・フィーでライセンスアウトできれば、直接会社の利益が増えます。

または、特許無効審判や訴訟で勝てば、相手の特許を無効にできるので、自社の事業を拡大できますし、逆に相手から起こされた無効審判で勝てば自社の特許を維持できるので、独占の利益を継続して得ることができます。

つまり、知財部としては、やるべきことをきちんと高いレベルでやれればプロフィットセンター化は十分可能と思われます。そのためには高度な仕事をすればいいだけです。しかも、自分でやる必要はありません。腕のいい弁理士を活用すればいいだけです。

大平国際特許事務所では、非常に高い特許登録率を誇っています。ですから、どうしても特許にしたい場合はぜひお問い合わせ下さい。他の特許事務所がさじを投げたようなものでも特許化できる場合もあり得ます。

また、どんなものでも特許にできる、ということは、裏を返せば、どんな特許も無効にできる、といえます。つまり、どうしても潰したい特許があれば、それもお気軽にご相談下さい。

最強の矛(特許化)ともなり、最強の盾(無効化)にもなる実務が大平国際特許事務所では可能です。

大平国際特許事務所へのお問い合わせはこちらからお気軽にどうぞ

 

特許出願戦略コンサルティング

特許出願をする目的はいろいろです。

研究者が報告してきて、出願予算もあるからとりあえず出願する、という受動的な出願もあれば、年度末で予算が余っているから予算消化のために数を出願する、というもの、あるいは、非常に難しいけど、事業を守るために何とかしたいから特許化は難しくても出願する、という特許出願などです。

最後の、特許を取るのは非常に難しいけど、製品を出しているので、何とか参入障壁を作りたい、というのは、知財部や弁理士の知恵の見せ所だと思います。重要で複雑な案件の場合、知財部員と弁理士が戦略会議を数時間~1日かけてすることもあります。

専門家が集まって会議をすることで、切り口を工夫することで、とても特許にならない、と思っていた発明が意外に新規性、進歩性を満たす発明になったりすることもありえます。

特許庁審査官のように、これはこの論文に実質書かれている、審査基準にこう書いてあるから特許にならない、これはあの判例があるから取れない、と評論家のようなことを言うのは簡単です。

しかし、それらは絶対に回避できない場合はむしろ少ないと思います。

さらに、先行技術を見つけてきて、出願を諦めさせるのを趣味にしているような知財部員も昔は見たことがあります。例えば、化学式で検索して、発明者が出してきたアイデアを却下する、というのが得意な知財部員もいました。「また、1件潰してやった」と得意そうに言っていました。

確かに、研究者の中には、出願実績が欲しいために、先行技術調査をしていないのに、したと言ってウソの発明届出書を出して出願しようとする研究者もいるので、先行技術調査をして、ズバリの先行技術がある出願は諦めさせるのは知財部員の仕事ではあります。

しかし、企業の場合、難しいのはわかっているが、製品を発売しているので、どんなに可能性が低くても何とか特許等で保護したい、というケースはあるものです。

あるいは、発明のポイントを隠して権利化したい、という希望を持っている研究者もかなりおられます。その場合に、全てのポイントを隠すことは非常に難しいですが、一部のポイントを隠すことでライバル他社が簡単にマネするのを防止することは可能です。

ただし、発明のポイントを隠して出願する場合は、様々なリスクがありますので、出願するのであれば、完全に実施できるように開示し、隠したいのであれば、ノウハウとして秘匿し、一部のみを出願するオープン・クローズ戦略を検討すべきです。

そのように、高度な特許出願戦略を練る必要がある場合は、事業部、研究者(発明者、開発者)、知財部員(特許部員)、営業部員、法務部員等を集めてブレインストーミングして、どうすれば特許になるか、どういう形で権利化するかの知恵を絞るのがよいです。

ただ、それでもいい知恵が出ない場合もあるかも知れません。あるいは、もっといいやり方がある場合もあります。知恵をもっとブラッシュアップできる場合もありえます。

そういう時は、専門家の弁理士に特許出願戦略コンサルティングを受けられることをお勧めします。コンサルティングには、知財部員、発明者等の会議に参加して意見を言うことも含みます。

特許出願の戦略は事業戦略と一体になって初めて機能します。事業を成功させるための事業戦略がまずあり、その事業戦略を知財でどう守って行くか?が重要になります。

まず、その根本からはじめて、事業を守り、他社の参入を防止するためには、どういう権利があればよいか、を考えます。つまり、理想的な権利を考えてみます。事業によっては複数の権利が必要なケースもあり得ます。

次に、現状の先行技術調査から特許化できる請求項を考えます。ぎりぎりまで広く権利化できる請求項や、先行技術とぎりぎりひっかからず、しかも、発明を完全に守れる請求項を書くことも可能です。ここは弁理士がもっとも得意とするところであり、弁理士の腕により権利の幅や強さが変わるところです。

普通に考えたら無理、というような場合でも、どうしても特許化したい、というのであれば、普通の弁理士では権利化は無理、と断言するところでも、腕のいい弁理士であれば何とかして知恵を絞って特許を取れる方法を考え出せることもあります。

日本では普通やらない出願でも、アメリカでは有効であれば、アメリカで有効な特許出願戦略を立てます。日本よりも米国の方が市場が大きいので、日本で取れなくても、海外で有効な権利を取得した方が有利な場合もあります。

特許出願戦略は国によっても違います。各国の制度に精通した弁理士に出願戦略を相談するのがお勧めです。当事務所でも日米欧中だけでなく、東南アジアなどへの出願も取り扱っております。

特許出願戦略コンサルティングのご希望は以下からお気軽にご相談下さい。

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長い拒絶理由通知への応答

最近、長い拒絶理由通知を受けることが増えてきた気がします。日本では、引用文献も4~5件程度が多かったのが、最近では7~8件位のが増えた印象です。さらに技術水準を示す文献が5件位付いている場合もあります。

これは、研究者の数が増え、科学雑誌も細分化して種類が増え、論文が多くなったことも一因でしょう。一説には1年間に出る情報量が、その1年前より以前の有史以来の情報全てを合わせたものよりも多くなっているとも言われます。それほどの情報量が毎年新たに発生しているわけですから、拒絶理由の根拠が多くなるのも当然でしょう。

日本の拒絶理由通知で10ページ以上、米国の拒絶理由(オフィス・アクション、office action)では30ページ位のものもあります。引用文献の数も、通常は5~6程度ですが、8とか、10以上文献やホームページが引用されるケースもあります。項目数が20位あることもあります。

日本の拒絶理由通知は、日本の実務を熟知しているので、私にとっては長くても引用文献が多くても何も問題ありません。

問題は、海外の長い拒絶理由通知で、反復が多い拒絶理由通知です。例えば、5種類の中から任意の2種類を選んで使用するような発明の場合、組合せは5×4で20種類できます。審査官の中には、この20種類を網羅的に各組合せ毎に拒絶理由を打ってきたりします。もちろん、引用文献は構成に応じて組み合わせを微妙に変えています。

すると、項目数で20項目となり、引用文献もかなり重複しますが、項目ごとに微妙に変えてきて、何がポイントなのかよくわからず、なぜ、このような形で拒絶理由を打つのだろう?と考え込むときもあります。

それに、各組合せ毎に拒絶理由を打たれると、その組み合わせ毎に反論をする必要があり、各組合せ毎に、構成の容易性、効果の顕著性、商業的成功、long felt needsなどを検討する必要が生じ、非常に大変な作業になります。

もちろん、それらを一刀両断できるような要素がある発明であればいいのですが、非常に技術水準に近い発明の場合は、あらゆる組合せに先行技術があったりして、とても一発で特許になるような限定もできません。(追記:その後、このような非常に長いオフィス・アクションに応答したところ、一回の応答で特許になりそうです。拒絶理由が長いからと言って必ずしも特許にするのが難しいわけではない、と気づきました。)

そのような場合でも、発明者に聞くと、先行文献との違いがクリアになり、意外に簡単に特許になる場合もありました。

ただ、一番苦労するのが、特許査定率の低い審査官に当たって、しかも、審査官の言っていることが分かりにくい場合です。

アメリカの審査官は審査官毎に特許査定率が出ていて、平均より低い特許査定率の審査官に当たると拒絶される確率が通常よりも高くなります。

そういう審査官の拒絶理由はやはり、あまりクリアではなく、頭が十分整理されていないような印象を受ける場合もあります。クリアカットであれば、完全に論理で真っ向から論破できるのですが、あいまいな議論で拒絶査定を出されるのが一番困ります。

そういう場合は、RCE(再審査請求)ではなく、アピール(審判)に持って行けば、審査官が変わるので、特許査定率が飛躍的に上がったりします。

実際、拒絶査定率が9割の審査官の場合に、アピールに持ち込み、審査官が変わるだけで、特許査定率80%に跳ね上がったりします。

アピールする場合は、最終拒絶理由通知(final office action)の応答期間内に、特許公判審判部(PTAB : Patent Trial and Appeal Board)に、審判請求書(notice of appeal)を提出し、審判請求料を支払う必要があります。以前は審判請求料は630ドルでしたが、料金改定で800ドルになりました。

審判請求中にもRCE(再審査請求)ができるので、アピールの中で補正が必要になれば、RCEをかけて、補正して、再度審判請求する、ということも可能です。その場合に最初の審査官がまた審査するかはわかりません。同じ審査官だと、RCEしても拒絶され、再度アピールするしかなくなる可能性もあり得ます。

特に米国の場合は、審査基準を正確に適用せず、ディベート的に自分の説に固執する審査官もいるようです。そういう場合は、RCEを繰り返しても特許にならない可能性が高いですから補正や継続出願で普通の審査官なら特許になるレベルにした上でアピールに持ち込むのがよいと思います。

日本でも、審査官毎に特許査定率を出してくれればいいのですが、日本では、拒絶査定が来たら一律審判一択しかないので、米国のように再審査を請求して同じ審査官が延々と審査する制度はありません。その意味では日本の方がいい制度とも言えます。

ただ、個人的には、日本でも再審査制度があれば、無駄な分割出願をしなくていいので、制度的にはあった方がよいと思います。ただ、その際、再審査では最初の審査官以外の審査官を希望すれば、別の審査官に担当してもらえる制度にできれば非常に使いやすい制度になる気がします。

審査官の人によるバラツキは欧州でも大きいそうです。無審査国のフランスの審査官や、特許出願の非常に少ない国(たとえばリトアニアなど)から欧州特許庁European Patent Office: EPO)に審査官が来るので、出身国によって審査官のレベルに大きな差があります。

逆に言えば、甘い審査官に当たることもあるので、特許になりやすい面もあります。実際、日米欧の三極に同じ特許を出願した場合、欧州が一番広い権利が取れるケースも多いです。

審査官によってかなり違いがあることを理解して、どのように反論すれば特許になるか?は審査官により違うと思われますので、どうしても特許にしたい案件は審査官と面接して、審査官の拒絶理由の本当の意味を十分理解した上で、反論するのがお勧めです。

大平国際特許事務所でも、難しい拒絶理由の場合は、審査官と面接することをお勧めする場合が多いです。そうすることにより1回の意見書、補正書で特許化できる場合が多いです。

特許事務所、弁理士の選び方(2) 知財部をプロフィットセンター化するには

弁理士の選び方の基準を以前書きました。今回はさらに突っ込んで書きます。

前回の弁理士の専門性、実務経験というのは最低限の基準ともいえます。これは、科学的な知識、議論の能力と、法律的な議論のセンス、とも言えます。これらは特許を取得するのに必要な知識・ノウハウです。これらについても、弁理士により大きな差があります。

つまり、弁理士によっては特許になり、弁理士によっては拒絶査定になる、ということです。さらに、弁理士によっては広くて強い権利が取れ、弁理士によっては、弱くて狭い、使えない権利しか取れない、ということがあり得ます。

このような差が生まれる理由としては、専門分野が違う、専門分野は合っていても知識レベルに差がある、法律知識、実務経験が違う、頭の切れ味が違う、文章の論理力が違うなどが考えられます。

こうした最低限必要な知財実務能力(権利化能力)に加えてさらに高度な戦略面でのアドバイスや、ライセンス、契約等も依頼したい、さらには戦略面も含めて全ての知財実務を丸投げしたい等、お客様にとっての要望は他にもあると思います。

そして究極的には売上を上げたい、会社利益に貢献したい、というのが特許部(知財部)の根本的な欲求ではないでしょうか?単なるコストセンターでは知財部の地位は高くなりにくいでしょう。

会社が存続するのは、株主のため、社会貢献とともに、利益を出して従業員を幸せにするためでもあると考えます(ブラック企業はわかりませんが)。そのためには売上を上げ、適正な利益を出し続け、株主や社員に還元する必要があります。

そのために、新製品を開発し、特許や意匠、商標等の知的財産権で保護することで、他社の事業参入を防止し、製品をマネされることを防止することで売上を最大化するわけです。それにより、開発投資を回収でき、さらに利益を再投資して新製品を開発して売上げや利益を上げ続けることができます。

そのためには、売上を最大化する特許戦略(知財戦略)とは何か?どういう形で特許出願すれば利益を最大化できるのか?ということがわかっていなければなりません。

単に特許になればいいのではなく、どういう権利(請求の範囲)であれば、他社の参入を防止でき、他社が侵害した際に適切に権利行使できるか?まで考えて権利化戦略を練る必要があります。拒絶理由に対応して権利範囲を減縮するにしても、ここまでは減縮しても大丈夫、ここまで減縮すると権利化しても使えない、という最低ラインを理解する必要があります。

つまり、会社の売上を上げるには、単に知的財産権の実務能力にとどまらず、経営戦略、マーケティング戦略まで理解して戦略的に権利化できる弁理士が望まれます。

大平国際特許事務所では日本でもトップレベルのマーケティング会社にいた弁理士がいますので、戦略マーケティングのアドバイスもいたします。グロービスマネジメントスクールで日本トップレベルのMBAから戦略を学び、さらに、より実践的なマーケティングをジェイ・エイブラハム(J Abraham)からも学び、大企業にも中小企業、個人にも対応できるマーケティング戦略を体系的に学んでいます。

マーケティング戦略と知財戦略が融合することで、知的財産部とコストセンターからプロフィットセンターに変えることができます。

知財部をプロフィットセンターにしたいとお考えの方は是非大平国際特許事務所にご相談下さい。

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我が社の製品はこれですからイ号製品は侵害、という主張

弁理士試験に合格して、しばらくして知財訴訟(特許権侵害訴訟)を見学する機会がありました。その頃はまだ東京地裁民事X部とか言っていたようなおぼろげな記憶があります。

その際、原告の社長は、自社製品を持って来て、うちの製品はこれで、お宅の製品はこれにそっくりだから、お宅の製品(イ号製品)は我が社の特許権を侵害している、と主張していました。

しかしながら、特許権の請求の範囲の記載は原告の会社の製品とは構造が違っていて、原告の特許権の権利範囲に入ってませんでした。であれば、いくら、今の製品が同じであっても、その部分は権利を取っていませんから、侵害には該当しません。つまり、原告の負けになります。

後で裁判官の方に聞いたら、そういうケースはかなり多いそうです。

つまり、特許権は取得していても、その後改良を重ねることで、その特許権の技術的範囲に入らない製品になってしまっている場合、それを他社が模倣した場合は、侵害になりません。

これを防止するためには、改良品を発明したら、それが過去に出願した特許の特許権の範囲に入っているかをチェックし、もし、権利範囲に入らないようなら、新たにその改良品について特許を出願する必要があります。

似たような話は、植物の品種でもあり、栄養繁殖(挿し芽)で増やす植物の場合、増殖中に遺伝子に突然変異が入って、10年も経つと、品種登録した物とは別物になっている場合もよくあります。

すると、10年前に品種登録していて、それで25年間(植物によっては30年間)保護されるはず、と思っていても、実際には、品種登録した品種の特性を記載した特性表とは違っていて、別品種とされ、それを真似した企業がいても、育成者権で差止めできない、というケースも実際にあるそうです。

このような場合に、上の裁判のケースのように、うちが今販売している製品はこれで、これと同じだから、イ号製品は侵害だ、と主張する場合もあるそうですが、やはり、品種登録の特性表と異なっていれば、異なる品種ですから侵害にはなりません。

そういう意味から言えば、製造工程を改善するなどにより、よりよい発明が出れば、それについて特許出願することをお勧めします。

それに加えて、出願時にいろんなバリエーションを記載しておいて、侵害しそうな製品が出てくれば、それに合せて権利範囲を変えて権利化する、というやり方もあります。

これは海外の企業がよくやる手で、出願時には1/2ページ位しか記載がないのに、米国では大量の特許を取得していて、それを根拠に侵害品が権利範囲に入るように分割出願を特許化する、という手です。

これをやられると、成立している特許権の権利範囲に入らないように設計して製造販売しても、その製品が含まれるような特許を後から取得され、侵害に該当するようにされてしまうケースもあります。

しかし、そのような特許は、分割出願の要件を満たさないことが多いので、出願日は原出願日には遡及しない、と主張して、出願日を現実の出願日まで繰り下げさせれば、先の自分の出願により進歩性違反で拒絶できる場合もあると考えます。

ですから、特許を取得していても、製造販売している製品がその特許の権利範囲に入っているか、を確認することが必要です。

また、他社が類似製品を出して来たら、それが権利範囲に入る特許を取れないか?を考えることも事業を守るためには必要です。それには、最初の出願時にしっかりいろんなバリエーションについて書いておくとともに、分割出願をうまく活用すれば可能になります。

味の素が韓国企業シージェイチェイルジェダン社らを特許権侵害で提訴

味の素は8月2日、うま味調味料「味の素」の主成分でもあるグルタミン酸ナトリウムの製造方法に関する特許を巡り韓国のシージェイチェイルジェダン社とその関連企業3社に対して特許侵害訴訟を起こしたと発表しました。

シージェイチェイルジェダン社とは、Wikipediaによると、以下の会社のようです。

CJグループ(シージェイグループ)の企業で、会長は李在賢(イ・ジェヒョン)。
1953年にサムスングループ初の製造業として제일제당(チェイルジェダン、漢字表記:第一製糖)工業株式会社を設立。表記の通り製糖業をはじめとする食品工業では韓国でもトップクラスに入るが、1993年にサムスングループと分離。アメリカの映画会社ドリームワークスSKGへの出資を手がかりにエンタテインメント事業へも進出し、映画製作、映画館経営、ケーブルテレビ放送向け番組制作および配給、インターネットサービスなども手がける。

ホームページによると、CJバイオ事業部門は、世界トップクラスの発酵技術で生産するMSG、核酸等の食品添加物や、L-リジン等の飼料添加物を国内外に提供しているそうです。この事業ドメインは完全に味の素と競合しますね。

味の素としては、ドイツのデュッセルドルフ地方裁判所と東京地裁で1日(現地時間)、提起したそうです。

製造方法の特許権侵害は、工場内で行われるため、通常発見することが難しいのですが、味の素がどうやって侵害を発見したのか、証拠を集めたのか、興味深いものがあります。

特許訴訟の場合、ディスカバリーや3倍賠償のあるアメリカで訴訟を起こすのが有利だと思うのですが、今回、味の素は日本とドイツで訴訟を提起したそうで、この訴訟戦略もどういう意味があるか、不明です。

侵害の発見、立証の目処が十分立っているのかも知れません。このあたりの証拠が不足している場合は、米国で提訴すれば、ディスカバリーで証拠を集められるので、侵害の立証が容易になります。今回はその必要がない位立証できる証拠が揃っているのかも知れません。

訴訟を提起する国の選択としては、まず日本とドイツだけ訴えておいて、相手が徹底的に争うようなら、米国等でも訴訟をする戦略なのか、あるいは、米国では特許が成立しなかったのか、いろいろな原因が考えられます。

いずれにしても、訴訟を好まない、日本企業が特許訴訟をしかけるのは看過できない相当な被害が出ているのではないかと推測します。日本の食品企業の代表である味の素社には、ぜひ勝訴して欲しいと思います。

知財戦略コンサルティング好評受付中

近年、法改正や審査基準の改訂等で、新しいビジネスチャンスが生まれています。そのチャンスをうまく捉えて知財戦略を立てれば、他社よりも有利に立てます。

そういう意味では戦略コンサルティングを受けるのに今はいいタイミングだと思います。

大平国際特許事務所でも知財戦略コンサルティング、ビジネスコンサルティング、マーケティング戦略コンサルティング、コーチング等を請け負っておりますのでお気軽にお問い合わせ下さい。

知財戦略コンサルティング

これは、ビジネス戦略と知的財産をどのように組み合わせれば、最も収益を上げられるか?という観点から、目先の戦術ではなく、全体構造を捉えた俯瞰的な視点から戦略をアドバイスするもものです。

他社との交渉戦略、国家制度の活用方法、特許網(特許壁)の築き方、他社特許の回避方法、他社特許を無効にする戦略など、御社のビジネス戦略上重要となる部分について、戦略的にコンサルティングを行います。

出願戦略にも対応しています。また、他社との契約交渉の戦略、ビジネス一般の戦略、戦略マーケティングについてもコンサルティング致します。

発明者の方には、発明を引き出すコーチングも可能です。また、発明、特許のマーケティングについてもコンサルティング可能です。

出願戦略としては、近年、サポート要件が厳しくなり、また、国によっては中国のように特殊なサポート要件を要求する国もあります。

あるいは、データの出し方が不十分だったために、広い権利を取り損なう場合もあります。

そのあたり、出願前の実験計画の立て方も含め、大平国際特許事務所では、あらゆるコンサルティングに応じています。

売上アップ、マーケティング戦略なども得意です。

ぜひお気軽にご相談下さい。

東京大学博士、元奈良先端科学技術大学院大学特任教授、農林水産省関係研究補助金審査委員、内閣府知財委員などを歴任し、サンデー毎日にも記事が掲載され、記者会見もしたことのある研究歴20年、知財歴15年以上の弁理士が戦略的なコンサルティングを行います。

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出願明細書の書き方と品質の上げ方

特許申請の明細書を本気で気合いを入れて書くと、かなりいいものができます。世界最高レベルの明細書を書こうと思って書くと、やはり、普通に書くよりもさらに優れた明細書が書けます。

企業が依頼してくる特許出願には、非常に重要だから何としても権利化したい、という本当に事業にとって重要なものと、大学の先生との付き合いでとりあえず出願しておこう、というような、それほど気合いを入れなくても問題の少ない出願があります。

なので、企業としても、本当に重要な出願の場合は、これは非常に重要な出願だから、と弁理士に伝えます。そうすれば、弁理士も全力でいい明細書を書こうとしますからいいものができます。

もちろん、発明内容を見て、これはすごい、すごい発明だから、最高の明細書を書こう、という気になるような大発明は、企業様から重要、と言われるまでもなく、世界を変える発明ですから、弁理士としてもよりよい権利を取れるように、細心の注意を払って明細書を作成します。

企業様にしても、1人の人を雇って、研究をさせるとすれば、年間1000万円以上の投資をしています。それを回収できるだけの研究成果を出し、会社に貢献できる社員はそれほど多くないのかも知れません。

商品開発はセンミツ、1000に3つがヒット商品になる、と言われますから。そして、それはかなり運によるところが大きい気がします。

そういう意味では、特許出願した発明がヒット商品になる確率もそれに似たようなもので、特許製品が実際に販売されるか、また、ヒット商品になり、何年間も売れ続けるか?は非常に確率が低いと思われます。

しかし、それでも、製品の2~5%位が巨額の利益を生み、ヒットして数百億円の売上となり、数十億円の利益を生み出せれば、特許出願費用はそれほど問題にならないと思われます。

そう言う意味では、ある程度の数を出さないと特許製品で利益を得るのは難しいとも言えます。やはり、最初は売れる商品を作るところが重要だと思います。