特許権や特許出願を放棄するかどうかの判断

研究者などから発明届が出されれば、知財部員はそれを出願するかどうかの判断が求められます。出願後も以下のように様々な判断を求められます。

特許出願をすれば、1年以内に国内優先権主張出願をするかどうか、国際特許出願(PCT出願)をするかどうか、パリ優先権主張を伴う特許出願をするか、の判断をする必要があります。

台湾など、PCTに加盟していない国で権利化するためには、1年以内に直接パリ優先を主張してその国に出願する必要がありますから、それに関する判断も必要です。

そして、国際特許出願をした場合は最初の出願日(優先日)から30か月以内、つまり、2年6か月以内に、国内段階に移行するかどうか、移行手続きするとすればどの国に移行手続きするかの判断が必要になります。

特許出願日から3年以内に審査請求をするかどうかの判断も必要で、審査請求をしたら、次は拒絶理由が来たら応答して権利化するか、放置して権利化を諦めるか、の判断が必要になります。

さらに特許査定が出たら、登録料を支払って登録するかどうか(これは通常は登録しますが)、登録後はその権利を維持するか、捨てるか(放棄するか)の判断も必要になります。

これらの判断は知財部単独ではできず、その特許を使用しているか、使用予定の事業部にも聞く必要があります。知財部としては、拒絶理由に対して、解消できるかどうかの判断はしてその情報は伝える必要がありますが、事業計画については事業部が専門ですから最終的な判断は事業部長になると思われます。

こうした出願後の様々な要否判断はタイミングを間違わずにやる必要があります。チェック漏れを防止する意味で、半年前、3ヶ月前等2回以上の検討をするのがよいと思われます。特に外国で現地支社が管理している場合などは手続に時間がかかる場合もありますから。

また、複数の部署が関わる判断の場合は十分協議できる時間も必要です。そのためにも期限の半年前位に事業部の方に問い合わせておき、3ヶ月前に再度問い合わせて最終的な判断をもらう、というのが個人的にはよいと考えます。

そして、知財部と事業部間で判断が違う場合は、基本的には事業部の意向が優先されると思われます。

それでも、知財部が、将来他社にライセンスできるとか、直接関連する部署以外の部署に使える可能性がある、基本技術なので技術的にいずれ使用される可能性が極めて高い、等と判断すれば(直接関連する事業部が放棄の意向でも)知財部長の判断で権利を維持する場合もありうるでしょう。

特許権を放棄するか、維持するか、の判断で全社的な視点を持ち、この事業部では放棄でいいという判断でも別の事業部ではその技術が必要、ということに気づくなど、会社全体にとって利益となる判断ができれば知財部もプロフィットセンターになれるかも知れません。それには会社の全事業部の情報を知っておく必要がありますが、これは簡単では無い場合もあります。

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