種苗登録と特許出願

植物新品種を作った場合、種苗登録と特許出願の両方が可能です。

権利の強さから言えば、特許の方が概念なので広いです。しかし、その分新規性、進歩性のレベルが種苗登録よりも高いです。

種苗登録の場合は、同じ形でも花の色が違うとか、葉の形が違う等、ちょっとした違いでも登録されます。ただ、特性表というのに、数十項目位書きますが、特許のように特許請求の範囲に対応するものがないので、特性表に基づいて侵害を判断されます。そのため、ちょっとした変異が入っていれば侵害でない、と言われるケースもあります。

特許出願する場合は、概念で押さえられない場合には、種子や植物体を寄託し、その番号の個体とその子孫、と言う形で特許請求の範囲を書くことができます。すると、その植物由来の交配した子孫まで保護されます。

ただ、この子孫であるという立証はかなり難しいのですが、最近では、DNA鑑定の精度も上がっているので、DNA鑑定で立証することも考えられます。可能であれば特殊なフットプリントのある品種と掛け合わせておけばその後の識別が容易になるかも知れません。もっとも、そのフットプリントの部分が入ってない新品種を作られた場合には使えないという問題がありますが。

いずれにしても植物新品種を育種した場合は、まず特許出願を考え、それが無理な場合に種苗登録をするのがお勧めです。大平国際特許事務所でも特許出願はもちろん、種苗登録も取り扱っております。

特許申請と植物新品種

植物の新品種を育種した場合、特許出願する場合と、品種登録出願する場合と、両者をする場合がある。

植物新品種で非常に広い特許権が取得できた例がアメリカではあり、小輪型のペチュニアの特許が成立していたと記憶している。

しかし、日本ではアメリカのように広い権利が成立しないケースも多く、寄託した品種に限定される場合も多い。

それは日本の特許出願の方が実施可能要件を厳しく見られ、その1つの新品種が本当に全ての品種で適用できるのか?と言われるとその新品種の育成方法であらゆる別の品種で同じ性質の新品種ができるとは言い切れないからだ。その点、アメリカではそのあたりの実施可能要件はかなりゆるく、1つの生物種でできれば他のあらゆる生物種にまで拡張できるケースもある。

特許出願の場合は概念で保護されるので、一般に品種登録よりもかなり広い権利が取れる。品種登録の場合は、例えば、形が同じであっても花の色が違うだけで新品種として登録される。

なので、品種登録の場合は、そのものをそっくりマネして生産した場合を除いて、侵害の立証が難しい面がある。

それに加えて、栄養増殖をしていた場合、販売している植物と、品種登録した時期の植物で変異が起こっている場合もあり、現状の植物と一致している、と主張しても、品種登録に記載した特性と変化していれば、権利は品種登録に記載されたものなので、品種登録の願書に記載されたものしか保護されない、という問題もある。

しかしながら、現在ではDNA鑑定ができるので、同じ先祖に由来するものかどうかは比較的容易に判別することができる。そういう意味ではウソを言ってもばれる可能性が高いので、他人の品種を使って作成した侵害品を販売する場合は、差止、損害賠償を受けるおそれがあるので止めておいた方がよい。万一ばれて新聞に謝罪広告を出さなければならないハメに陥ったら信用問題となるからだ。

特許申請と植物新品種と権利行使

植物の新品種を開発した場合、育成者権という種苗法の権利と、特許権の両方で保護することが可能です。もちろん、特許の場合は、新規性、進歩性が必要なので、品種登録よりもかなり権利取得が難しいですが。

ただ、品種登録を申請して、育成者権を得た場合に、その植物を毎年増殖します。種子による繁殖であれば、それほど変異は起こらないのですが、栄養増殖(挿し芽で増殖)をしていると、成長の速い変異細胞が優先的に増えるため、変異したものがより優勢になることがよくあります。

すると、品種登録の特性表とは異なる植物を販売している、というようなことがよく起こります。

権利としては、育成者権として品種登録の特性表に記載されたものが権利範囲ですから、もしそれと異なる植物を製品として販売している場合、育成者権の権利侵害にはならないわけです。

これは特許出願した場合でも同じことですが、しかし、特許出願の請求項の方が権利範囲としては広いので、多少変異が入っても特許請求の範囲には入る可能性があります。

それも株を寄託しておけば、その子孫という特許請求の範囲を書けるので、それであれば、その株と侵害品とのDNA鑑定をすれば子孫かどうかわかりますから、より容易に侵害を証明できます。

そういう意味では、植物新品種も特許出願で保護するのがよいですが、進歩性の問題があるので、品種登録も両方やるのがよいと思われます。

植物新品種登録出願と特許出願

植物の新品種を育種した場合、2種類の保護手段があります。

1つは農林水産省に品種登録をして育成者権で保護する方法と、特許の要件を満たしていれば、植物として特許出願する、というやり方です。

品種登録は細かい項目を指定するので、権利範囲としては狭いです。

それに対して、特許出願は概念なので、ある程度の幅があります。

非常に広い特許の例としては、小輪形ペチュニアの特許があったと記憶しています。小輪形のペチュニアが新規でなくて、誰もなかなか作れなかったとすれば、その花の大きさだけで特許請求の範囲を書き、権利化できれば、その大きさの花のペチュニアは全て権利範囲に含まれてしまいます。

しかし、品種登録では、花の色をカラーチャートで指定したり、節間の長さ、葉の角度等非常に細かく特性表を書くので少し変われば新品種になってしまいます。

そういう意味では可能であれば特許出願するのが望ましいですが、新規性、進歩性が必要なので権利取得は品種登録の方が容易と思われます。

なので、基本は品種登録、画期的な新植物については特許出願、というやり方もよいと思われます。