人体を構成要件に含む発明の特許出願

特許を受けるためには、産業上利用できる発明でなければなりません。これは特許法の条文(29条1項柱書)にも明確に規定されています。

これを言葉どおりに取ると、例えばあんま方法(按摩方法)の発明は産業上利用できる、つまり、あんま産業に利用できるから特許法上の発明に該当するように思えます。

しかしながら、人体を構成要件に含む発明は法上の発明には該当せず、29条1項柱書違反として拒絶されます。

これは、医療行為が特許になるのを防止する意味の規定ですが、医療行為は人道上広く開放すべきもので、特許にはなじまないという考えから、日本や欧州などほとんどの国で医療方法は特許の対象になっていません。

一方で、米国、オーストラリアは医療方法の発明も特許が取れます。米国の場合は医療方法(手術方法、治療方法など)の特許は取れますが、医師にはその権利は及びませんから、医師は自由にその特許発明を実施することができます。すると、医療方法の特許を米国で取っても、医師から実施料を取れるわけではなく、その方法を実施するのに使用するメスなどを開発して販売するベンチャー企業を間接侵害で訴えることになります。

そういう意味で、医療方法が特許になったとしても、米国では医師が免責されているので医師の行為を特許侵害で差止したり、損害賠償を請求することはできません。

あんまとかマッサージは人道上広く開放すべきものかどうか、と言えば、必ずしもその必要はないようにも思います。人の命にかかわるものではないですから。そういう見方をすれば、特許の対象にしても良さそうにも思いますが、日本の審査基準では人体を必須の構成要素とする発明は医療方法の発明と同様にみなされ、特許の対象にはなりません。

医療が産業であるかどうか、については議論があるところで、欧州でも以前、医療業は産業に該当しないので特許にならないというような規定がありました。欧州特許条約の改定により、産業という言葉が削除され、単に医療行為は特許しない、というだけの規定ぶりになったと記憶しています。

そういうわけで、あんまとかマッサージの方法は特許の対象になりません。特許出願しても上記の理由で拒絶されます。

その一方で、以前医療行為とされていた一部の行為が例外的に特許されるようになっています。これは医療ベンチャー保護のため等の理由です。

あんま業界からあんま方法や、マッサージ方法も特許にすべき、という強い要請があれば、あんまやマッサージの発明も特許されるようになるかも知れません。

なお、日本では特許になりませんが、米国や豪州では医療方法も特許になるので、米国やオーストラリアにパリ条約の優先権主張をして特許出願する手はあります。

また、将来法改正や審査基準の改定により、あんまやマッサージの方法も特許の対象になる可能性がゼロではないので、特許出願しておく、という戦略も考えられます。改正が無ければ拒絶されますが、改正で特許になれば独占できるので、そのリスクを取って特許出願してみるのも面白いかも知れません。

医療方法やマッサージ方法で権利化を考えている方はお気軽にご相談下さい。何らかの方法がある場合もあり得ますので。

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拒絶理由(取消理由)への意見書の長さは短く簡潔な方がよい?

特許出願し、審査請求すると通常は拒絶理由が来ます。あるいは、特許が登録された後に異議申立がされた場合に、取消理由通知が来ることがあります。拒絶査定不服審判でも拒絶理由が出ることもあります。無効審判でも無効理由が通知されます。

そのような場合に、通常は意見書で反論します。意見書のみで反論することもあれば、必要に応じて、請求項(特許請求の範囲、クレーム)の補正(訂正)をすることもあります。補正の期間については法定期間ですから絶対に守る必要があります。意見書は必ずしもそうではありません。指定期間を過ぎても読んでくれる場合もあります。が、確実ではないので、やはり期限内に提出するのが安全です。

さて、この意見書の書き方ですが、短いのがよいか、長いのがよいか?というのは人によって意見が異なると思われます。

一般的には、報告書、提案書等の社内文書等は短かく完結にまとめるのがよい、などと言われます。ポイントを短くまとめて、箇条書きにして、できれば図表などでわかりやすくまとめてA4で1枚にまとめるのが理想、という考え方もあります。これは社内ではある程度用語の意味が決まっていて、省略しても暗黙の了解があるからでもあります。

また、文章はピラミッド構造で書けばわかりやすいなどと言われます。こちらは、法律的な文章であろうと、社内文書であろうとピラミッド型で書くのがいいのは異論はないと思われます(特殊なケースではあえてピラミッド構造を崩して主張する場合もあるかも知れませんが)。

では、法律的な文章でも社内文書と同じことが言えるでしょうか?短く簡潔にまとめるべきでしょうか?

例えば、A4で1枚にまとめた反論と、10枚の反論ではどちらが勝つと思われますか?

あるいは、ディベートで、たった1つの主張を短く言うだけであとは黙っているのと、ずーっとしゃべりっぱなしで理由(主張の根拠)を10も20も出すのとどちらが勝つでしょう?

一般には、しゃべり続ける方が勝つと思います。たった一つの主張が非常に的を得ていて、正しいものだとしても、相手がその10倍、20倍の反論をして来たら負けることの方が多いと思います。

そういう意味で、私は、意見書は長くなってもあらゆる反論を書くべき、と考えています。そして、審査の意見書よりも審判請求書の理由の方がより長いです。これはどこの事務所もそういう傾向にあると思われます。それはそれだけ多くの項目に対して厳密な議論が必要だからです。

また、審判では基本的に弁論主義ですから、こちらが主張しない事情まで審判官が勝手に推測して都合よく事実を解釈してくれることはありません。ですから、言うべきことはきちんと主張する必要があります。例えば、社内では常識だから書かなくていいだろう、と判断して書いてなくて、審判官が社内事情を知らない場合、その記載は無いのと同じことになり、そこでいいたかった主張は認められません。

そういう意味でも、省略して書くことは危険です。業界常識や社内常識を知らない人が読んでも誤解せず、本来の意味を正しく理解するように記載する必要があります。これはわかっているだろう、たぶんこういう意味に解釈してくれるだろう、などと主張を省略するのは危険です。

さらに、事実だけを書けば、審判官が意味を理解してくれる、ということはありません。事実しか書いてなければそれは主張ではないので、審判官としては、それは事実ですね。ではこの事実からどういう主張をされたいのかが書いてないので、この事実は意味が無いですね。で終わってしまいます。つまり、事実と主張をきちんと分けて書く必要があります。

大平国際特許事務所も上記のような方針で多くの難しい拒絶理由を解消し、特許を取得してきました。中には、なんで、これが特許になるんだ?というようなものも多数含まれています。

ですから、私は意見書で争う場合は、できる限りしっかり書く、文章が長くなっても誤解の無いように厳密に書くのがよいと思っています。特に、拒絶査定不服審判や、異議申立(取消理由通知)、無効審判での請求の理由や、意見書は徹底的に書いた方が勝ちやすいと考えています。

もっとも、面接をして結論が既に出ている場合は簡潔な意見書でいいと思います。審査官、審判官との面接で議論したことを簡潔にまとめて書けばいいだけです。

しかしながら、面接では結論が出なかった場合や、主張する論理や証拠が決定的とまでは言えず、弱いと思われる場合には、主な理由を1つだけ述べるのはリスクがあります。審査官、審判官が誤解することもあり得ますし、こちらが気づいていない問題点があるおそれもあります。

ですから、その場合は、主な理由が、もし採用されなかったとしても、2番目、3番目の理由で補強して反論しておくべき、と考えます。弱い理由をたくさん並べて、全体として合わせ技で議論に勝つ、というような感じです。

私自身は、弱い理由を並べるのはあまり好きではなく、一刀両断的な鋭い理由1つで完璧に論破できれば理想的だと思っています。妖刀村正のような切れ味の主張で、完璧に論破できればとても気持ちがいいものです。しかし、発明の内容や、先行文献、拒絶理由の組合せによっては、いつもそれができるとは限りません。

どうしても決定的な論理が見つからず、弱い理由を主張せざるを得ないケースもあり得ます。そのような場合に、弱い理由を1つだけ提出しても通常勝ち目はありません。そのような場合は数で勝負となります。

ですから、意見書は一律短く簡潔に書くべき、というのではなく、その反論の強さ、面接審査の有無と結論が出たかどうか、審査官、審判官の性格など様々な要素を考慮して必要な場合は長く書く方が有効な場合もあると思われます。

このあたりは、弁理士の経験と勘で判断するところだと思います。大平国際特許事務所では、研究者歴20年以上、弁理士歴15年以上の科学者としても、法律職としてもベテランの弁理士が対応しますので、どんなに難しい拒絶理由が来ても対応可能です。お気軽にご相談下さい。

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ただし、非常に単純な発明でズバリ同じか非常に近い先行技術があった場合は難しいこともあります。その場合はその旨ご回答いたします。ご了承ください。

進歩性の低い特許出願

ある関西の研究所に出張して発明をヒアリングしてきました。

新しくてきれいな建物でうらやましい位でした。

最近は大学でもベンチャー向けに新しい建物を建てているところもありますが、それを思い出しました。

そこでも少し話したのですが、例えば、公知の遺伝子を公知の方法で導入した形質転換動物について特許出願した場合、進歩性がない、という拒絶理由が来ます。処理する動物自体も知られていて、導入する遺伝子も知られていて、導入方法も公知の方法であれば、通常は誰でも容易に思いつくからです。

その場合に、反論するには、その組み合わせ(構成自体)は通常の当業者(専門家)は思いつかない、組み合わせを考えることに障害となる理由(論文等)がある、その組み合わせには予想外の効果がある、等の進歩性があることを主張する必要があります。

例えば、特殊な目的の場合に予想以上に高い効果がある、とか、ある条件では予期しなかった効果があったなど、効果を主張することによっても進歩性を主張できます。

そういう意味では、予想外の効果がある範囲を確定できるように実験を組むのも一つのやり方です。つまり、効果を測定し、予想外の効果がある部分をきちんとデータを取ります。この場合、上昇中、あるいは、下降中の範囲までしかデータを取らない人もいますが、これは困ったものです。上昇中であれば、その途中で権利化しても、他の人がもっと上の部分で実施してもっといい効果が出たりするからです。

そういう意味で、上昇中、下降中なら、もっと先までデータを取って、ピークがわかるように取る必要があります。そうしておけばその効果のある範囲に限定することで進歩性が認められるケースがあります。

他にも、ちょっとした効果や工夫で特許出願の進歩性が認められるケースもありますから進歩性でお悩みの方はお気軽にご相談下さい。

既に特許申請済みの出願に対して進歩性がない、という拒絶理由が来た場合は、意見書だけでは拒絶理由が解消できない場合もあり得ます。

その場合には、上述のように数値範囲を補正することにより、顕著な効果がある部分のみに限定できるのであれば、そのような顕著な効果がある範囲に限定する補正をすることも有効な場合があります。

あるいは、付加的な要素が明細書中に記載してあれば、その付加要素を追加して、先行文献に対して進歩性が出るようにすることもできることがあります。その付加要素を追加することを当業者が思い付かない、あるいは、それを付加することで非常に効果が高くなったり、予想外の効果が出たりする場合です。

ただし、付加要素を追加すればそれだけ権利範囲としては狭くなります。すると他社がその権利をすり抜ける(エスケープ)のも容易になります。

つまり、補正して限定することで特許になりやすくなるのですが、それだけ権利が狭くなり、他社への抑止力は低くなる、というわけです。

ですから、補正する場合に一番いいのは、構成要件を追加したように見えて実質的には何も権利としては狭くなっていない、という補正だと思います。そういう補正も知恵を絞れば可能です。大平国際特許事務所でもそういう補正を考えるのが得意です。

つまり、補正する場合に、その要素を追加したために、他社が容易にエスケープできるような権利になるのでは、権利化する意味が少なくなってしまいます。

特に、自社実施する場合であれば、まだ、いいですが、ライセンスする場合には、エスケープ可能な権利だと相手先もライセンスを受けずに特許権をエスケープして実施してしまいますから、ライセンスは難しいです。

ただ、現実には、進歩性が低い発明だけど、権利化したい、あるいは、広い権利を取りたい、というご要望はかなり多いです。

個人発明家の方で、発明を特許申請するのが初めて、という方の場合は、ご自身ではすごい発明をした、と信じているのですが、非常によく似た先行技術があったりします。

そういう場合は、さらにその発明を改善してより優れた発明にして出願することをお勧めすることもあるのですが、多くの発明家の方はそれをされません。どうしていいかわからないのかも知れません。

しかし、発明は改良の連続、ともいえます。

どんなに素晴らしい発明をしても、どんどん改良発明が出てきます。企業にとっては改善は日常活動です。

パソコンにしても、iPhoneにしてもどんどん新製品が発売され、性能も上がっています。そしてそれらには発明が張り付いています。権利化されているかどうかは別として。

ですから、発明家にとって、改良発明をするのは日常的なルーチンワークであるべきです。

改善するためには、どうすればもっといい発明になるか?もっと便利になるか?使いやすくなるか?を考え続ければいいだけです。

そうした知恵を出すために考えることで頭が活性化しますし、高齢者の場合はボケ防止にもなります。

難しい問題を解決するほど、面白いものです。問題集でもそうですが、難問程解くのが面白い、とも言えます。ゴルフでもあんな小さな玉を小さな穴に入れるという難しさがあるからこそ面白いとも言えます。もし、ホールが大きな穴で誰でも簡単に入れられるようなスポーツであれば誰もやる気にならないでしょう。

野球でも打てば必ずホームランばかり、というのでは面白くも何ともないでしょう。

発明も同じです。難しい課題を解決するほど面白いです。発明を完成してもそれで終わりにせず、常に改善点を見つけ、改良発明をし続けるつもりで知恵を出されるとよいと思います。実際、完璧な発明などありませんから。

弁理士の仕事も難しい拒絶理由とか、異議申立事件とかの方がやっていて面白いと感じます。簡単に反論できる拒絶理由に応答してすぐに特許になっても当たり前過ぎて単なる事務作業のようなものです。

しかし、相手が必死になって特許を潰そうと異議申立をしてきた分厚い異議申立書を読み、取消理由に反論するのは、弁理士の仕事の醍醐味ともいえます。

また、大平国際特許事務所では、進歩性の拒絶理由についてはどんなに難しい拒絶理由でも対応できる自信があります(新規性、記載要件も大抵は何とかなりますが、希にどうしようもないこともあります)。

もし、他の特許事務所でこれは難しいから諦めた方がいい、と言われて諦めている案件があれば、ぜひ大平国際特許事務所にご相談下さい。

きっと、「えっ?あれが特許になったの?」と驚かれると思います。

難しい拒絶理由にお悩みの方はぜひご相談下さい。

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ブロックバスターの特許切れ問題 メルク、ファイザー

メルクがブロックバスターの特許切れで収益が減少しているそうだ、と2013年5月3日に書きました。しかしながら、メルクは新たな免疫チェックポイント医薬である、キートルーダで今年600億円程度の売上げをあげ、この免疫チェックポイント医薬は、10年後には小野薬品のオプジーボと合わせて3兆円の市場になるだろうと言われています。

オプジーボは、小野薬品が日本で販売していますが、海外ではブリストルマイヤーズスクイブが販売しており、7000億円位の売上げだそうです。小野薬品はPD-1抗体、PD-L1抗体に対する特許をもっており、そのライセンス収入は600億円強だそうです。

小野薬品の日本での売上げ予想は今年度で1700億円程度とのことです。

メルクも一時期ブロックバスターの売上げが減り、困っていましたが、抗PD-L1抗体のキートルーダで巻き返しに来ています。

しかしながら、小野薬品と本庶佑先生のPD-1特許にはPD-L1も含まれていることから、メルクはこの特許権を侵害しているとして、小野薬品から世界中で訴訟を起こされており、メルクもこの特許に対して異議申立や訴訟等で対抗しているようです。

小野薬品としては、メルクの販売を完全に差止までする気はなく、ライセンス料を支払えば、販売してよい、という姿勢のようです。今後の訴訟の動向が注目されます。

以下は2013年の記事です。

メルクはピーク時50億ドルの売り上げだった、ぜん息・抗アレルギー薬「シングレア」の売り上げのほとんどを失ったという。米国の場合は薬価が無く、ジェネリック医薬品が出たら、価格は10分の1位に一気に下がるので、先発医薬品メーカーからジェネリックに一気に移行する。

日本の場合は、薬価があり、特許が切れても6%づつ位しか薬価が下がらないので、新薬メーカーの薬を使い続ける医師も多いようだ。それに、日本の後発医薬品メーカーの中にはしっかりとデータを出さずにまた、副作用チェックもあまりやらないメーカーもあるようで、品質に不安があるメーカーもある。そういう意味では日本の方が新薬メーカーに有利と言えるかも知れない。

米国ではオレンジブックというジェネリック薬の評価の付いた本があり、新薬メーカー同等の品質のジェネリック医薬を選ぶことができるのでジェネリック薬が普及しやすい。

とはいえ、米国は薬価制度が無いので数百万円の薬がたくさんあるというメーカーにとってのメリットはある。

メルク社では、抗アレルギー薬「クラリネックス」も予想を上回るペースで後発医薬品へのスイッチが進んでおり、これも悩みの種になっているようだ。糖尿病治療薬「ジャヌビア」も競合他社との値下げ競争があり、さらに、より優れた新薬が認可される可能性もあるので、売上規模の予測が立たないようだ。

医薬品開発では巨額の開発投資がかかるが、低分子化合物医薬は出尽くしたという説もあり、いずれは枯渇すると思われる。そうなるとバイオ新薬の方にシフトし、より高額医薬品が増える可能性もある。

また、バイオ医薬は特許が複雑に絡み合い、物質特許のように1つの特許(出願)でブロックバスターを保護できる、というわけでもない。そういう意味では今後、医薬の特許出願が増える可能性があると思われる。

利根川進先生と本庶佑先生の特許(出願)とPD-1抗体、ノーベル賞

利根川進先生(免疫細胞のゲノム再構成の発見で1987年ノーベル賞受賞者)の特許や請求項を検索している人がいるので調査してみましたが、利根川進先生の日本での特許出願、実用新案登録出願、特許等は見つかりませんでした。そこで、念のため米国特許庁(USPTO)も調べてみたところ、10件見つかりました。ほとんどTリンパ球に関する特許ですね。

利根川進先生は、特許に対してはあまり関心がないのかも知れません。研究テーマもメカニズムの解明ですから、何かを作り出すというよりは、どうなっているか?の発見に関心が強かったのでしょう。

1 7,935,500 Full-Text Identifying calcineurin activators for treatment of schizophrenia
2 5,977,321 Full-Text Heterodimeric T lymphocyte receptor subunit
3 5,882,945 Full-Text Heterodimeric T lymphocyte receptor
4 5,859,307 Full-Text Mutant RAG-1 deficient animals having no mature B and T lymphocytes
5 5,580,961 Full-Text Heterodimeric T lymphocyte receptor subunit
6 5,189,147 Full-Text Meterodimeric T lymphocyte receptor antibody
7 4,970,296 Full-Text Heterodimeric T lymphocyte receptor
8 4,874,845 Full-Text T lymphocyte receptor subunit
9 4,873,190 Full-Text Heterodimeric T lymphocyte receptor
10 4,663,281 Full-Text Enhanced production of proteinaceous materials in eucaryotic cells

利根川進先生のライバルのような存在の本庶佑(ほんじょ たすく、元京大医学部長)先生は以下のように多数の日本特許を出願されています。本庶佑先生の頃は、大学に知的財産本部のような組織もなく、会社から出願しているものが多いですが、本庶佑先生個人が出願人になっている出願もかなりありますね。もっとも、費用は会社持ち、というケースもあるので、本庶先生がポケットマネーで出願したかどうかは不明ですが。

本庶佑先生のPD-1抗体はガンの特効薬(免疫チェックポイント阻害薬)として年商1000億円を超えるブロックバスターになっています。小野薬品もこれですごく利益をあげていると思われます。オプジーボという名前の薬品のようです。PD-1抗体は今年2016年のノーベル賞候補でしたが、今年は大隅先生がノーベル賞でした。

PD-1に対抗してPD-L1抗体も開発され、同様に癌の免疫抑制を防止して免疫による癌の攻撃を可能にするので、医薬としては、PD-1もPD-L1も似たような働きをするようです。

こちらは米国製薬企業のメルクが開発しているキイトルーダというものです。こちらは肺がんにも効果があるということで、小野薬品のオプジーボとは異なります。オプジーボがキイトルーダと同じ条件では肺がんに効かないとわかり、小野薬品の株価が急落したそうです。

キイトルーダは臨床試験開始からたった3年で米国での承認までこぎ着けたそうで、世界では30種類超のがんに対し、350本に上る臨床試験が並行して行われているそうです。メルクの力の入れようが伺えます。

今後は、小野薬品グループとメルクとの争いになるでしょう。

実際、小野薬品工業は、2016年10月24日に、新型がん治療薬「オプジーボ」の特許権を侵害されたとして、キイトルーダの製造販売差止を求める訴訟を東京地裁に起こしました。小野薬品は、「PD-1の免疫抑制シグナルを阻害する抗PD-L1抗体を有効成分として含む癌治療剤。」という請求項1で特許が認められていますから、特許が有効であれば、キイトルーダの製造販売差止が認められる可能性もあり得ます。訴訟の行方が注目されます。

特開2010-229134 ヒトPD-1に対し特異性を有する物質 小野薬品工業株式会社 他
特開2009-286795 モノクローナル抗体 小野薬品工業株式会社 他
特開2008-191146 ヒトおよび哺乳動物の幹細胞由来神経生存因子 本庶 佑 他
特開2007-291132 新規なポリペプチド、その製造方法、そのポリペプチドをコードするDNA、そのDNAからなるベクター、そのベクターで形質転換された宿主細胞 小野薬品工業株式会社
特開2007-130024 新規なポリペプチドESDN、その製造方法、ESDNをコードするcDNA、そのcDNAからなるベクター、そのベクターで形質転換された宿主細胞、ESDNの抗体、およびESDNまたは抗体を含有する薬学的組成物 小野薬品工業株式会社 他
特開2007-023047 PD-1欠損マウスおよびその用途 小野薬品工業株式会社 他
特開2006-262911 ヒト免疫グロブリンVH遺伝子及びそれを含むDNA断片 日本たばこ産業株式会社 他
特開2006-117536 内耳の有毛細胞を誘導するための医薬 国立大学法人京都大学
特開2005-336198 新規なポリペプチド、その製造方法、そのポリペプチドをコードするDNA、そのDNAからなるベクター、そのベクターで形質転換された宿主細胞 小野薬品工業株式会社
特開2004-279429 高感度イムノアッセイ法 独立行政法人 科学技術振興機構
特開2004-033137 抗癌剤のスクリーニング方法 本庶 佑 他
特開2003-230395 プログラムされた細胞死に関連した新規なポリペプチドをコードするDNA 本庶 佑 他
特開2003-189872 新規なポリペプチドESDN、その製造方法、ESDNをコードするcDNA、そのcDNAからなるベクター、そのベクターで形質転換された宿主細胞、 ESDNの抗体、ESDNまたは抗体を含有する薬学的組成物、ESDNを用いたスクリーニング方法、および抗ESDN抗体を用いたESDNの免疫化学測定 法 小野薬品工業株式会社 他
特開2002-165592 プログラムされた細胞死に関連した新規なポリペプチドをコードするDNA 本庶 佑 他
特開2001-327289 膜結合型ネトリン 理化学研究所
特開2001-245669 新規シチジンデアミナーゼ 日本たばこ産業株式会社 他
特開2001-112491 ヒト免疫グロブリンVH遺伝子及びそれを含むDNA断片 日本たばこ産業株式会社 他
特開2001-017191 新規なポリペプチド、その製造方法、そのポリペプチドをコードするDNA、そのDNAからなるベクター、そのベクターで形質転換された宿主細胞 小野薬品工業株式会社
特開平11-308993 cDNAライブラリーの作製方法およびポリペプチドのスクリーニング方法 本庶 佑 他
特開平11-046777 ヒトB細胞分化因子の製造方法 本庶 佑
特開平10-262673 B細胞分化因子の製造方法 本庶 佑
特開平10-136983 新規なポリペプチド、その製造方法、そのポリペプチドをコードするDNA、そのDNAからなるベクター、そのベクターで形質転換された宿主細胞、そのポリペプチドの抗体、およびそのペプチドまたは抗体を含有する薬学的組成物 小野薬品工業株式会社
特開平09-215496 ヒトB細胞分化因子の製造 本庶 佑
特開平08-301898 新規なポリペプチド、その製造方法、そのポリペプチドをコードするDNA、そのDNAからなるベクター、そのベクターで形質転換された宿主細胞、そのポリペプチドの抗体、およびそのペプチドまたは抗体を含有する薬学的組成物 小野薬品工業株式会社
特開平08-198899 新規なポリペプチド、その製造方法、そのポリペプチドをコードするDNA、そのDNAからなるベクター、そのベクターで形質転換された宿主細胞、そのポリペプチドの抗体、およびそのペプチドまたは抗体を含有する薬学的組成物 小野薬品工業株式会社
特開平08-067698 B細胞分化因子 本庶 佑
特開平07-291996 ヒトにおけるプログラムされた細胞死に関連したポリペプチド、それをコードするDNA、そのDNAからなるベクター、そのベクターで形質転換された宿主細胞、そのポリペプチドの抗体、およびそのポリペプチドまたはその抗体を含有する薬学的組成物 本庶 佑 他
特開平07-188294 新規なポリペプチド、その製造方法、そのポリペプチドをコードするDNA、そのDNAからなるベクター、そのベクターで形質転換された宿主細胞、そのポリペプチドの抗体、およびそのポリペプチドまたは抗体を含有する薬学的組成物 小野薬品工業株式会社
特開平07-165795 ヒト・インターロイキン-2受容体 本庶 佑
特開平06-315380 cDNAライブラリーの作製方法、および新規なポリペプチドとそれをコードするDNA 本庶 佑 他
特開平05-336973 プログラムされた細胞死に関連した新規なポリペプチドおよびそれをコードするDNA 本庶 佑 他
特表2003-510007 分泌蛋白 ジェネティックス・インスチチュート・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
再表2004/091476 心臓疾患治療物質のスクリーニング方法および心臓疾患治療医薬組成物 小野薬品工業株式会社 他
再表2004/072286 ヒトPD-1に対し特異性を有する物質 小野薬品工業株式会社 他
再表2004/004771 免疫賦活組成物 小野薬品工業株式会社 他
再表03/035872 ヒトおよび哺乳動物の幹細胞由来神経生存因子 本庶 佑 他
再表03/011911 PD-1に対し特異性を有する物質 本庶 佑 他
再表02/039813 PD-1欠損マウスおよびその用途 小野薬品工業株式会社 他
再表01/023891 高感度イムノアッセイ法 科学技術振興事業団
再表99/055864 新規なポリペプチド、そのポリペプチドをコードするcDNA、およびその用途 ジェネティックス・インスチチュート・インコーポレーテッド 他
再表99/055863 新規なポリペプチド、そのポリペプチドをコードするcDNA、およびその用途 小野薬品工業株式会社
再表99/018205 ポリペプチド、そのポリペプチドをコードするcDNA、およびそれらの用途 小野薬品工業株式会社
再表96/001843 ストローマ細胞が産生するポリペプチド 小野薬品工業株式会社
特許4694580 ヒトおよび哺乳動物の幹細胞由来神経生存因子 本庶 佑 他
特許4545685 心臓疾患治療物質のスクリーニング方法および心臓疾患治療医薬組成物 小野薬品工業株式会社 他
特許4532409 ヒトPD-1に対し特異性を有する物質 小野薬品工業株式会社 他
特許4409430 免疫賦活組成物 小野薬品工業株式会社 他
特許4249013 PD-1に対し特異性を有する物質 本庶 佑 他
特許4024282 新規なポリペプチドESDN、その製造方法、ESDNをコードするcDNA、そのcDNAからなるベクター、そのベクターで形質転換された宿主細胞、ESDNの抗体、およびESDNまたは抗体を含有する薬学的組成物 小野薬品工業株式会社 他
特許4018122 PD-1欠損マウスおよびその用途 小野薬品工業株式会社 他
特許3911416 新規なポリペプチドESDN、その製造方法、ESDNをコードするcDNA、そのcDNAからなるベクター、そのベクターで形質転換された宿主細胞、 ESDNの抗体、ESDNまたは抗体を含有する薬学的組成物、ESDNを用いたスクリーニング方法、および抗ESDN抗体を用いたESDNの免疫化学測定 法 小野薬品工業株式会社 他
特許3871326 PD-1欠損マウスおよびその用途 小野薬品工業株式会社 他
特許3705732 新規なポリペプチド、その製造方法、そのポリペプチドをコードするDNA、そのDNAからなるベクター、そのベクターで形質転換された宿主細胞 小野薬品工業株式会社
特許3586243 高感度イムノアッセイ法 独立行政法人 科学技術振興機構
特許3454310 プログラムされた細胞死に関連した新規なポリペプチドをコードするDNA 本庶 佑 他
特許3454275 プログラムされた細胞死に関連した新規なポリペプチドおよびそれをコードするDNA 本庶 佑 他
特許3367581 新規なポリペプチド、その製造方法、そのポリペプチドをコードするDNA、そのDNAからなるベクター、そのベクターで形質転換された宿主細胞 小野薬品工業株式会社
特許3229590 cDNAライブラリーの作製方法およびポリペプチドのスクリーニング方法 本庶 佑 他
特許3068026 B細胞分化因子の製造方法 本庶 佑
特許3022950 B細胞分化因子 本庶 佑
特許3016756 ヒトB細胞分化因子の製造方法 本庶 佑
特許2879303 cDNAライブラリーの作製方法、および新規なポリペプチドとそれをコードするDNA 本庶 佑 他
特許2763026 ヒトB細胞分化因子をコードする遺伝子系 本庶 佑
特許2642103 ヒトB組胞分化因子 本庶 佑
特許2514631 B細胞分化因子をコ―ドする遺伝子 本庶 佑
特公平08-009640 ヒト・インターロイキン-2受容体 本庶 佑
特公平07-040943 新規なポリペプチドをコードするDNA及びその製造方法 本庶 佑
特公平06-092439 インタ-ロイキン2レセプタ-及びその製造法 本庶 佑
特公平06-091823 新規DNAおよびその製造法 本庶 佑

最強、最高の特許事務所とは?

特許申請を依頼するための特許事務所の選び方は一般の人にはかなり難しいと思います。それには多くの理由があります。

まず、特許明細書の質が高いか低いかわかる人はそれほど多くありません。多くの人は特許明細書は日本語とは思えない、と感じていると思います。それに、専門技術分野が違うと、技術内容も理解できません。

自分で特許明細書を書いたことのある人であれば明細書を見ればその弁理士が優秀かどうかある程度はわかりますが、そうで無い人にとって、どの特許事務所の明細書がどういいのか、どう悪いのか、判断できないでしょう。また、分野によって弁理士の得意、不得意という問題もあります。

さらに、外国に出願した場合にだけ問題になる箇所というのもあります。例えば、米国では発明の所有者であることを示すためには、十分、属と種をしっかり書く必要があります。中国では、重複的な記載に見えてもきちんと書かなければなりません。そのような細かい部分は実際にその国に出願して拒絶理由を受けた経験がないとちょっと分かりません。

次に拒絶理由に対してしっかり反論できる弁理士かどうかは包袋(特許庁とのやり取りなどを全て記録したもの。昔袋で管理していたのでそう言われるが現在は電子ファイル。審査書類はJplatpatで見れます)を見なければわかりませんが、その書類の見つけ方を知っている人はそう多くないです。

さらに審判、訴訟に強いかどうかも見る必要があります。侵害訴訟では弁護士も含まれます。

海外出願については、海外の特許弁護士の能力も評価しなければなりません。

ということで最強の特許事務所を見つけるのはかなり難しいです。また、特許事務所には利益相反というものがあり、例えば、パナソニックの出願をしていたら、三菱電機の特許出願は担当できない、ということになっています。キリンビールの特許出願をしている特許事務所は、アサヒビールの特許出願はやれないと言えばもっとわかりやすいでしょうか?

そういう意味で、最強の特許事務所が見つかったとしても既に同業者の出願を担当していたら利益相反になるので依頼しても断られることになります。

そういう意味で特許事務所の選び方がわかって、いい弁理士を見つけても必ずその人に担当してもらえるわけでもありません。エース弁理士は既に、大企業で重要な出願を担当しており、単価も高い可能性もあります。

そういう意味では大平国際特許事務所所長の大平は東京大学卒業、博士号取得、企業で経営戦略、マーケティング戦略、知財戦略をマスターし、大学教授も務め、研究開発歴が長く、特許実務歴も15年以上で最高水準のサービスを提供しています。初回半額キャンペーンもやっているので依頼してみても損は無いと思われます。

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知財戦略コンサルティング好評受付中

近年、法改正や審査基準の改訂等で、新しいビジネスチャンスが生まれています。そのチャンスをうまく捉えて知財戦略を立てれば、他社よりも有利に立てます。

そういう意味では戦略コンサルティングを受けるのに今はいいタイミングだと思います。

大平国際特許事務所でも知財戦略コンサルティング、ビジネスコンサルティング、マーケティング戦略コンサルティング、コーチング等を請け負っておりますのでお気軽にお問い合わせ下さい。

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これは、ビジネス戦略と知的財産をどのように組み合わせれば、最も収益を上げられるか?という観点から、目先の戦術ではなく、全体構造を捉えた俯瞰的な視点から戦略をアドバイスするもものです。

他社との交渉戦略、国家制度の活用方法、特許網(特許壁)の築き方、他社特許の回避方法、他社特許を無効にする戦略など、御社のビジネス戦略上重要となる部分について、戦略的にコンサルティングを行います。

出願戦略にも対応しています。また、他社との契約交渉の戦略、ビジネス一般の戦略、戦略マーケティングについてもコンサルティング致します。

発明者の方には、発明を引き出すコーチングも可能です。また、発明、特許のマーケティングについてもコンサルティング可能です。

出願戦略としては、近年、サポート要件が厳しくなり、また、国によっては中国のように特殊なサポート要件を要求する国もあります。

あるいは、データの出し方が不十分だったために、広い権利を取り損なう場合もあります。

そのあたり、出願前の実験計画の立て方も含め、大平国際特許事務所では、あらゆるコンサルティングに応じています。

売上アップ、マーケティング戦略なども得意です。

ぜひお気軽にご相談下さい。

東京大学博士、元奈良先端科学技術大学院大学特任教授、農林水産省関係研究補助金審査委員、内閣府知財委員などを歴任し、サンデー毎日にも記事が掲載され、記者会見もしたことのある研究歴20年、知財歴15年以上の弁理士が戦略的なコンサルティングを行います。

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医薬品の特許戦略

医薬品は、特許制度が最も機能しているジャンルである、と言われます。

それは、数件から20件程度の特許で年間数千億円の売上をあげるブロックバスター医薬を保護できるからでしょう。

電気分野では、1つの製品に数千の特許が貼りついており、1つの特許で数千億円の売上を保護することはできませんが、医薬特許の場合は1つの特許で数千億円、数兆円、ときには、10兆円以上の売上を保護することができます。

例えば、高脂血症治療剤のリピトールは全世界での売上は一時1兆円を超えていましたから、10年間独占できたとすれば、10兆円、実際にはもっと長い期間保護できていたと思います。それが1つの特許で独占できるのですからすごい世界です。

とはいえ、医薬特許戦略も複雑で、疾患の種類や、薬が効くメカニズム等によって、特許戦略が変わってきます。

例えば、同じ受容体(レセプター)を標的にする医薬の場合は、用途特許が出やすいので、1つの製品を上梓後に、第二用途、第三用途発明について特許申請することも多いです。

逆にあまり、用途発明の出ないジャンルもあります。

例えば、抗ガン剤の場合は、別のガンに効くとかいうケースもありますが、それほど多くありません。抗がん剤の場合はむしろ、配合剤(合剤)の特許や、併用療法で保護する、という手もあると思われます。あるいは、用法・用量特許で保護する、というやり方もあるでしょう。さらにバイオマーカーとセットで販売する、ということも欧米では普通に行われています。

これは、バイオマーカーの試験に保険の点数が付く等により、保護する意味がありますが、日本では、あまりそういう例は無いようです(1件だけあるという話ですが)。

実際、バイオマーカーを調べ、特定の条件を満たす患者だけに投与するとなると、当然、その薬の売上は下がります。そういう意味で、製薬企業もわざわざバイオマーカーとセットにして医薬品を販売するモチベーションが湧かないのでしょう。

とはいえ、イマニチブ(グリーベック)が効かない場合のみ投与するというダサニチブという抗がん剤もありますが。

また、製剤特許については、多くの国に出願するという実務が行われているようです。それは、製剤については、多くの国で特許が成立しやすいからです。また、製剤がある意味製薬企業にとって収益の源泉、という意味もあるのでしょう。

国によっては用途発明が認められない国もあるので、そういう国に対して用途発明の出願をするのは無駄なコストになる可能性が高いです。とはいえ、そうした国も10年もすれば法改正により医薬第二用途発明が認められるようになる可能性もゼロではありませんから、それを期待して特許出願する、という特許戦略もあるでしょう。

そういう意味では、医薬用途発明が今は認められないけど、将来認められる可能性があると思う国については特許出願する手もあると思われます。

そうした意味で、現在の状況のみで判断するのではなく、知財戦略は将来の見通しも含めて総合的に判断する必要があるでしょう

いわゆる知財の先読みというやり方ですが、知財部員には知財の将来を先読みする能力が求められると思います。それは弁理士にも言えると思われます。

特許権の存続期間延長制度

ジェネンテック社の血管内成長因子(VEGF)アンタゴニスト、つまりVEGF抗体の臨床試験で、最初は5mg/kg、2回目以降は10mg/kgで投与する用法・用量については承認され、それとは別に、7.5mg/kgを3週間に1回投与する用法・用量について臨床試験をしたのですが、特許庁は、最初の分しか延長を認めませんでした。

そこでジェネンテック社が最高裁まで争った結果、用法用量が異なる医薬の臨床試験についても存続期間の延長を認める、という判決を出しました。

これにより、武田薬品のパーシフのDDSに続いて、存続期間の延長がより拡大した形となりました。

特許権の存続期間の延長登録については以下の動画をご覧下さい。また、できればチャンネル登録もしていただけると非常に励みになります。

上の動画の中でもジェネンテックの最高裁判所判例やかつてのDDS製剤で、特許権が重複しない場合の延長を認める判例についても軽く説明しています。

詳しくは別途どこかで解説する予定です。

弁理士受験生が減少傾向と企業内弁理士の増加と出願料金

弁理士試験は昔は難関試験で、私が受験していた頃は合格率2.7%で、合格率2.8%の司法試験よりも倍率が高かったこともあります。

それというのも、合格者が100人位で、この位の人数だと、毎年優秀な人100人が合格して抜けていくとしても、毎年自分より優秀な人が100人新たに参入してきたら、いつまでも受からない計算になります。実際100人程度は優秀な人材が参入していたと思います。ですから、いくら勉強しても合格できないので諦めて別の試験を目指すようになった人もいました。

弁理士受験塾の答案練習会等でトップクラスの人でも何度も不合格になって司法試験の方に移ったという人もいました。

浪人生にも25浪という人もいて、非常に難しい試験でした。

しかし、試験に合格さえすれば、独立して年収2000万円が平均の時代でしたから、何年もかけて合格する価値は十分ありました。資格さえ取れば、人生大逆転ができたわけです。プラチナ資格だったとも言えます。

しかし、このところ、合格して弁理士として独立してもとても年収2000万どころか、食べて行くのがやっと、という弁理士も多いようです。年間売上が100万円にも満たず、廃業した弁理士もいたそうです。

独立開業すれば、仕事が無ければ収入はゼロです。田舎で開業してお客さんがいなければ、年商100万円も行かないことも十分あり得ます。これでは事務所を維持することさえできないでしょう。

特許は、出願件数が以前は40万件以上あったものが、今は30万件よりも少なくなり、弁理士数は以前の3倍位に増えているのですから当たり前と言えば当たり前でしょう。

単純計算すれば、年収が3分の1の700万円になる計算です。これでは会社員でいた方がマシでしょう。50歳を超えれば年収1000万程度にはなる会社が多いですし、部長とかになれれば年収1500万円以上もありえますから。

さらに、社内弁理士が増えたこともあって、明細書を社内で書く会社も増え、外部の弁理士事務所に仕事を出さなくなった会社も増えているようです。それも弁理士の収入減に働いています。

さらには、パナソニック等は、自社内で特許出願業務をやる子会社を作って、自社で出願するようにしました。これによっても弁理士事務所への出願依頼数は激減したようです。一部は外部の事務所に出すこともあるようですが。

さらに、将来的にはAI(人工知能)が発達して、明細書チェックをしてくれるようになるかも知れず、そうなれば、弁理士に依頼しなくても研究者が自分で明細書を書けるようになる可能性があります。すると弁理士の仕事そのものが無くなってしまうかも知れません。

そのような事情もあって、弁理士試験の受験者数も減っているようです。この傾向は司法試験でも同様のようで、法科大学院も定員割れで補充募集が20人~30人のところも多いです。

最近の合格者でも、年商100万以下の弁理士が1,2割はいたと思います。そういう弁理士は事務所の家賃すら払えないので廃業したり、企業に再就職したりしていました。

もちろん、経費を引いた後の年収が100万円であれば、まだぎりぎり何とかなる場合もあり得ます。自営業のメリットで様々な費用を経費で落とせるため、それであえて収入を減らしているケースもあるでしょう。

それに、弁理士の仕事は一度出願を受ければ、その後、審査請求、拒絶理由対応、登録謝金と出願後も収入があり、多くの場合、リピートで発注してくれることも多いので、しばらく維持できれば徐々に仕事も増えてきます。さらに、腕がよければ知り合いの会社などを紹介してくれる場合もあり得ます。

そういう意味で、特許事務所は立ち上げさえうまく行けば、後はその顧客を維持するだけでもやっていけるとも言えます。単価を維持できれば、ですが。

ところが、大手の特許事務所はリーマンショックの際に大きな打撃を受けました。研究開発費が7割位に減り、特許部予算も7割に減ると、発明数が減り、知財部としては、従来の特許を維持するための費用は削れませんから、新規出願を絞るようになります。すると新規出願数が5割などになり、それに加えて経費削減、値下げ圧力が強まり、弁理士にとっておいしい仕事はどんどん値切られるようになっていきました。

多くの所員を抱えていて、解雇しない方針の大事務所や中規模事務所はボーナスを無くしたり、いろいろご苦労されていました。

私もある事務所の所長が毎週のように所内ミーティングで、「売上が足りない」と怒っていたのを思い出します。毎週そんなことを言われるのは営業マンの売上会議みたいですごく嫌でした。

それとともに、企業内弁理士が増えて、明細書を内製する動きが広がってきたことによっても特許事務所への出願依頼数が減っているように思います。年間数十件程度の出願であれば、弁理士が1人で書ける量と言えなくもありませんから、社内に明細書を書ける弁理士がいれば内製化する会社もあると思われます。

とはいえ、特許事務所は常に明細書を書いていますが、企業内弁理士は戦略を考えたり、訴訟や契約、調査など明細書を書いてばかりいるわけではないので、特許事務所の弁理士ほど特許庁とのやり取りは多くはなく、ケーススタディ量としては、特許事務所よりも不足する場合が多いので、弁理士のように最新ノウハウを駆使して明細書を書けない弁理士も存在すると思われます。

それを考えれば、専門の特許事務所に依頼するのも一つのやり方でしょう。ダブルチェックにもなりますし、責任問題になれば特許事務所の弁理士が悪い、と責任を押しつけることもできます。

それでも、時間が取れるなら社内で明細書を内製するのも一つの考え方でしょう。特に、製薬企業などで、年商数千億円のブロックバスター医薬の特許の場合は、ミスがあれば、数千億円の売上げが無くなるおそれもあり得ます。

そのような場合は、知財部員が開発者と何ヶ月もかけて何度もやり取りして数百ページの特許明細書を書き上げる場合もあると思います。そのような重要な特許については、製薬企業の優秀な社内弁理士が何十にもチェックする方が特許事務所に依頼するよりもいい明細書が書ける場合もあると思われます。

しかし、企業の知財部の本当の役割は知財戦略を立て、交渉し、自社に有利な契約を締結することではないかと個人的には思います。

明細書をいつも書いているのではない人が書いた特許出願やPCT出願を自社でした後で、拒絶理由が来てから特許事務所に依頼される場合もあるのですが、正直拒絶理由対応が難しいことがかなりあります。最初にきちんと明細書を書いてないと後からは追加できないですから、どうしても狭い権利範囲しか取れないか、拒絶査定を受けて拒絶査定不服審判で争うことになり、費用がかさみます。

そういう意味で、自社出願しておいて、後から特許事務所にその後の対応を依頼するのであれば、最初から特許事務所に出願を依頼した方が結局はいい特許が取れて費用対効果がよいのではないかと思います。

また、出願後は自分でやりたい、という個人の方もおられますが、拒絶理由対応はやる人の腕によって全く結果が異なりますので、ご自身で応答することはお勧めできません。素人の場合、もっと広い権利が取れるところを非常に狭く補正してしまうケースが多いからです。

それらを考え合わせると、最もいいのは、自力で完璧と思える明細書を作成し、それを特許事務所に送ってチェックしてもらった上で出願するのが一番確実と思われます。そうすれば、自社の明細書ノウハウも含まれ、さらに、特許事務所の最新ノウハウも組み合わせて最強の明細書になると思われます。

大平国際特許事務所でも、最強の明細書を作成することが可能です。お気軽にご相談下さい。

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