特許出願の代理人弁理士を変更する場合

多くの企業では、特許事務所や代理人弁理士は大体決まっていて、新規な事務所は社長などの上層部を通じて紹介などがあった場合など特別な場合にのみ試してみる、というケースも多いと思います。

あるいは、何か事故(期限徒過による権利消滅など)を起こしたり、基本的な実務がわかってなかったために拒絶査定が連続した、というような場合は、事務所を変更するケースがあります。事故があった場合は、その事務所から全案件を引き上げる企業もありますから、特許事務所としても売上げの何分の1かが減るわけで、大変なことになります。

何もない場合は、長年使ってきた事務所を継続して使う方が安心、ということで事務所を変えない会社も多いですが、昨今の弁理士大増員時代では、非常に優秀な人材、例えば、博士号を持っていたり、大学の教授だったり、海外で長く研究員をやっていたりした研究経験の豊かな弁理士もいます。

そういう弁理士に依頼すると、最先端の知識が十分あるので、非常に難しい拒絶理由に対しても的確に反論して特許にできる場合もあります。審査官よりも深い知識があれば、より正確な反論が可能になり、説得力も強くなります。さらに、知財実務歴が10年以上あれば、どんな難しい拒絶理由に対しても対応できる弁理士も存在します。

つまり、企業にとっては同じ事務所、弁理士を使い続けることはリスクになる可能性さえあります。例えば、いつも依頼していた事務所の弁理士が他所の事務所に移ったり、病気になったり、亡くなったりすることもあるからです。そのため、常によりよい特許事務所を見つけられるシステムを採用する企業も存在します。

例えば、特許事務所毎に各項目毎に点数をつけ、ランクを付けておいて、例えば、Aランクは一番多く仕事を依頼し、かつ料金も一番高額を支払い、Bランク事務所には中間程度の仕事を出して、料金も中程度、Cランク事務所は一番安い費用でそれほど重要でない出願を依頼し、Dランクに落ちた事務所は以後仕事を出さないで他の事務所と入れ替える、などと事務所を新陳代謝しているところもあります。

こうしておくと、特許事務所の方も今のランクを維持し、あるいは、さらに上のランクに行こうと普段から改善の努力をしますし、ランクが落ちた事務所は必死になってランクを戻そうとするので緊張感が生まれ、いい仕事ができるようになると思われます。

特に、最低ランクに入った事務所の下から2つは確実に切って、別の事務所を試す、という会社もあるようです。こうすれば、いい仕事をする事務所(弁理士)のみが残るので、企業知財部としてもより高度な仕事ができるようになり、社内での知財部の地位や評価も上がっていくと思われます。

あんな(当たり前のような、または、先行例があって非常に権利化が難しい)発明が特許になったんだ、ということが続けば、研究者や開発者も知財部を見直し、信頼するようになると思います。

また、事業上も重要な特許が登録されるのと、拒絶されるのとでは、市場の独占力が全く違ってきます。その僅かな差が弁理士の力量によって変わってくる場合もあるわけです。

訴訟事件で最も重要なことの一つは、優秀な弁護士(特許訴訟に強い弁護士、法律事務所)を選ぶこと、といわれます。実際、特許訴訟に強い弁理士は限られています。意匠はさらに限られており、意匠権侵害事件の場合は、事前に訴訟に強い弁護士や弁理士に仕事を出して全部取り込む、という人もいます。

同様に、知財部員の最も重要な仕事の1つは優秀な弁理士を選んで確保しておくことだと思います。天才的な切れ味の弁理士もいれば、特許庁の言い分を代弁したり、特許庁の案通りに補正するだけのような弁理士もいます。中には、拒絶理由の引用文献を全く読まず、発明者に読ませて反論案を作らせる弁理士もいると聞いています。同じ弁理士資格を持っていてもレベルには個人毎に大きな差があります。

そういう意味で、優秀な弁理士選びが企業知財部にとって最も重要な仕事と言えるでしょう。

また、特許事務所を選ぶのではなく、弁理士個人を選ぶことがポイントです。同じ事務所に所属する弁理士でもレベルは人により様々ですから。

優秀な弁理士を選ぶことにより、特許になる確率(登録率)も上がってきますし、訴訟の勝訴率や、異議申立、無効審判などでも勝率が上がります。

つまり、事業戦略が実現できる権利が的確に取れるようになります。邪魔な特許を潰すこともできます。そういう意味で、弁理士選びがその後の事業や会社の命運を分ける場合もあり得ます。

非常に難しいけど、事業を守れる強くて広い特許が取れれば、その事業を独占できます。それにより高い利益率の事業が独占できれば、巨額の利益を生み、その利益の一部を新たな研究開発投資に振り向け、さらに新製品を開発し、鉄壁の特許で守ることで会社はどんどん大きくなっていくと思います。

また、海外での市場独占も可能になりますし、生産国で適切に特許を取得することで、製造方法も独占できます。

そのスパイラルができれば、知財部の活躍できる範囲も広がり、海外出願も増え、海外で訴訟をしたり、海外の面接審査や口頭審理などに出張したりもできるようになると思われます。そうなれば、知財部員の給料も増えるのではないでしょうか?

現在の代理人を出願後に変更したい場合は、手続的には、新しい代理人弁理士が委任状を提出すれば、代理人の順位の1番上に来るので、それだけで変更した弁理士による手続きが可能です。

なので、代理人辞任届の提出を依頼しなくても、新しい代理人で手続き可能です。

ただ、特許事務所によっては、特許出願を途中から引き継ぐ場合、中途受任の手数料(移管費用)をとるところもあるようです。

これは、期限管理ソフトのデータベースへの登録料という名目ではありますが、中間処理(拒絶理由対応)からやると、最初から技術を理解しなければならず負担が大きいわりには、もらえる手数料が10万円程度と安く、特許出願から受任した場合に比べてそれだけだと事務所の経営が成り立たないからと思われます。

そういう意味でも、中途受任の場合は、登録された際に登録謝金(成功謝金)も取らないと事務所がやっていけないと思われます。移管費用は高いところだと、1件あたり20万円近くかかるところもあるようです。

特許出願を最初から担当すれば技術も深く理解でき、20~40万円またはそれ以上の特許出願手数料をもらえます。そして、意見書・補正書提出の中間処理も最初に技術内容を理解しているので、0から技術を理解する必要もありません。なので、この場合は登録成功謝金をもらわなくても事務所経営上何とかやっていけるともいえます(実際はもらわないと経営上厳しいですが)。

ところが、中途受任の場合は、この20~40(時には80、100)万円が0円で、中間費用だけなので、約10万円程度の報酬のみになり、これだけでは実質赤字です。技術を0から理解して拒絶理由に反論するには、簡単な場合は半日程度で終わりますが、難しい場合は1週間位知恵を絞る必要がある場合もありますから。

1週間かけて10万円もらった場合、特許事務所の勤務弁理士はその3分の1程度をもらうのが普通で、1週間で3~4万円、こういうのばかり担当すると、月収で、12~16万円、年収で150~200万円とコンビニ店員やフリーター並になってしまいます。これでは1人暮らしならともかく、家族がいたり子供の学費を払ったりする必要があれば生活できません。

そういう意味で、特許出願の中途受任には、移管手数料を取るところがあるのだと思います。ですから、代理人変更の際には移管手数料の有無、登録時の成功報酬額を確認した上で代理人を変更されることをお勧めいたします。

なお、大平国際特許事務所では現状、移管手数料をいただいておりません。その代わりに登録謝金(成功報酬)は、10万円+(請求項数-1)×1万円をいただきます。請求項数が10なら10+19×1=19万円になります。

また、中間処理の登録率については、「えっ、あれが特許になったの?」と驚かれることがよくありますから、難しい案件についても登録査定率は相当高い方だと思います。ご興味のある方は上のお問い合わせからお気軽にご連絡下さい。。

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大平国際特許事務所の所長の大平は、難しい拒絶理由(異議申立、無効審判、無効の抗弁)ほどやる気が出て、知恵も湧いてくるタイプです。ぜひお気軽にご相談下さい。