特許出願の代理人弁理士を変更する場合

多くの企業では、特許事務所や代理人弁理士は大体決まっていて、新規な事務所は社長などの上層部を通じて紹介などがあった場合に試す、というケースも多いと思います。

しかし、企業によっては、定期的に事務所を刷新するシステムを取っているところもあります。例えば、特許事務所にランクを付けておいて、例えば、Aランクは一番多く仕事を依頼し、かつ料金も一番高額を支払い、Bランク事務所には中間程度の仕事を出して、料金も中程度、Cランク事務所は一番安い費用でそれほど重要でない出願を依頼し、Dランクに落ちた事務所は以後仕事を出さないで他の事務所と入れ替える、などと事務所を新陳代謝しているところもあります。

特に、最低ランクに入った事務所の下から2つは確実に切って、別の事務所を試す、という会社もあるようです。こうすれば、いい仕事をする事務所(弁理士)が残るので、企業知財部としてもより高度な仕事ができるようになり、社内での知財部の評価も上がっていくと思われます。

あんな(当たり前のような、または、先行例があって非常に権利化が難しい)発明が特許になったんだ、ということが続けば、研究者や開発者も知財部を見直し、信頼するようになると思います。

また、事業上も重要な特許が登録されるのと、拒絶されるのとでは、市場の独占力が全く違ってきます。その僅かな差が弁理士の力量によって変わってくる場合もあるわけです。

訴訟事件で最も重要なことの一つは、優秀な弁護士(特許訴訟に強い弁護士、法律事務所)を選ぶこと、といわれます。実際、特許訴訟に強い弁理士は限られています。意匠はさらに限られており、意匠権侵害事件の場合は、事前に訴訟に強い弁護士や弁理士に仕事を出して全部取り込むこと、という人もいます。

同様に、知財部員の最も重要な仕事の1つは優秀な弁理士を選んで確保しておくことだと思います。天才的な切れ味の弁理士もいれば特許庁の言い分を代弁したり、特許庁の案通りに補正するだけのような弁理士もいます。中には、拒絶理由の引用文献を全く読まず、発明者に読ませて反論案を作る弁理士もいたりします。同じ弁理士資格を持っていてもレベルは天と地の開きがあります。

そういう意味で、弁理士選びが企業知財部にとって最も重要な仕事と言えるでしょう。

また、特許事務所を選ぶのではなく、弁理士個人を選ぶことがポイントです(同じ事務所に所属する弁理士でもレベルは人により様々です)。

優秀な弁理士を選ぶことにより、特許になる登録率も上がってきますし、訴訟の勝訴率や、異議申立、無効審判などでも勝率が上がります。

つまり、事業戦略が実現できる権利が的確に取れるようになります。邪魔な特許を潰すこともできます。そういう意味で、弁理士選びがその後の事業や会社の命運を分ける場合もあり得ます。

非常に難しいけど、事業を守れる強くて広い特許が取れれば、その事業を独占できます。それにより高い利益率の事業が独占できれば、巨額の利益を生み、その利益の一部を新たな研究開発投資に振り向け、さらに新製品を開発し、鉄壁の特許で守ることで会社はどんどん大きくなっていくと思います。

また、海外での市場独占も可能になりますし、生産国で適切に特許を取得することで、製造方法も独占できます。

そのスパイラルができれば、知財部の活躍できる範囲も広がり、海外出願も増え、海外で訴訟をしたり、海外の面接審査や口頭審理などに出張したりもできるようになると思われます。そうなれば、知財部員の給料も増えるのではないでしょうか?

現在の代理人を出願後に変更したい場合は、手続的には、新しい代理人弁理士が委任状を提出すれば、代理人の順位の1番上に来るので、それだけで変更した弁理士による手続きが可能です。

なので、代理人辞任届の提出を依頼しなくても、新しい代理人で手続き可能です。

ただ、特許事務所によっては、特許出願を途中から引き継ぐ場合、中途受任の手数料をとるところもあるようです。

これは以前にも書きましたが、期限管理ソフトのデータベースへの登録料という名目ではありますが、中間処理(拒絶理由対応)からやると、最初から技術を理解しなければならず負担が大きいわりには、もらえる手数料が10万円程度と安く、特許出願から受任した場合に比べてそれだけだと事務所の経営が成り立たないからと思われます。

そういう意味でも、中途受任の場合は、登録された際に登録謝金(成功謝金)も取らないと事務所がやっていけないと思われます。

特許出願を最初から担当すれば技術も深く理解でき、20~40万円またはそれ以上の特許出願手数料をもらえます。そして、意見書・補正書提出の中間処理も最初に技術内容を理解しているので、0から技術を理解する必要もありません。なので、この場合は登録成功謝金をもらわなくても事務所経営上何とかやっていけるともいえます。

ところが、中途受任の場合は、この20~40(時には80、100)万円が0円で、中間費用だけなので、約10万円程度の報酬のみになり、これだけでは実質赤字です。技術を0から理解して拒絶理由に反論するには、簡単な場合は半日程度で終わりますが、難しい場合は1週間位知恵を絞る必要がある場合もありますから。

1週間かけて10万円もらった場合、特許事務所の勤務弁理士はその3分の1程度をもらうのが普通で、1週間で3~4万円、こういうのばかり担当すると、月収で、12~16万円、年収で150~200万円とコンビニ店員やフリーター並になってしまいます。これでは1人暮らしならともかく、家族がいたり子供の学費を払ったりする必要があれば生活できません。

そういう意味で、特許出願の中途受任には、移管手数料を取るところがあるのだと思います。ですから、代理人変更の際には移管手数料の有無、登録時の成功報酬額を確認した上で代理人を変更されることをお勧めいたします。

なお、大平国際特許事務所では現状、移管手数料をいただいておりません。その代わりに登録謝金(成功報酬)は、10万円+(請求項数-1)×1万円をいただきます。請求項数が20なら10+19×1=29万円になります。

また、中間処理の登録率については、「えっ、あれが特許になったの?」と驚かれることがよくありますから、相当高い方だと思いますので、ご興味のある方は上のお問い合わせからお気軽にご連絡下さい。大平国際特許事務所の所長弁理士は、難しい拒絶理由(異議申立、無効審判、無効の抗弁)ほどやる気と知恵が湧いてくるタイプです。

大平国際特許事務所へのお問い合わせはこちらからお気軽にどうぞ

特許取得が非常に難しい特許出願 えっ?あれが特許になったの?

特許出願をする際に、クライアント様からできる限り広く書くようにという指示があり、ぎりぎりまで広い特許請求の範囲を書くことがあります。大学の教授などの一部にそうした依頼が多い印象があります。

そういう場合は、請求項を広く書いてありますから、先行文献がたくさんひっかかることが多く、最初の拒絶理由通知で相当減縮補正する必要が出てきます。

しかし、その減縮補正がもともと想定内の範囲で補正し、それがそのまま登録される場合もあります。

そういうときは、特許出願明細書を書いた私自身驚くことがあります。「えっ、あれで特許になるの?」という感じです。もっと狭くなることを覚悟していたら、意外にあっさり特許になったりします。

あるいは、これは取れたらおかしい、という請求項でも通る場合もあります。これには審査官、審判官が深く理解していないために起こるケースもあり得ます。

また、以前も書きましたが、新規性喪失の例外手続きをミスしていて、自分の論文で拒絶理由が来た場合に、その論文を精査して微妙な違いを指摘して特許にしたこともあります。これは図面の説明文の最後の方にわずかに違いが書いてあったのを見つけて反論したらあっさり特許になりました。

どうしてこんな記載をしたのだろう?と不思議な感じがしましたが、研究者の中には自分の成果をできるだけ隠そうとする人もいて、本当のところがわからないように隠して特許出願をしていたのかも知れません。そのような場合は、自分の論文が公知になっていても特許にできる場合があり得ます。

そのときは、ある中堅程度の特許事務所に勤務していたのですが、上司の責任者(所長の次に偉い弁理士)も、「こんなの特許にできるわけないから頑張らなくていい、相手が悪いんだから」と言っていたのですが、特許査定になったら、「へぇ~、あれが特許になったんだ」と驚いていたことがあります。このときはすぐに(応答から2ヶ月位で)特許査定が来ました。

それとは対照的に、健康食品の特許出願で非常にやっかいな拒絶理由を何度も何度も出され、審査官とケンカのような議論をして5、6回補正をして通したことがあります。このときも、その研究所の知財の担当者が驚いてました。

この案件は、出願を担当した有名事務所が代理人を辞任して、どうしようもなくなって私の方に依頼してきた案件だったのでまさか特許になるとは思っていなかったのでしょう。

そうやって何度も面接して長い苦労をして特許を通すのも通った後の喜びが大きいのですが、非常に難しいと思っていた拒絶理由をあっさり解消して特許査定にできるのもとても気分がいいものです。

そういう意味では、こんなに広い権利は無理だろう、と思ってもやはり請求項に書き込んでおくのがよいと思います。最終的には最初の想定の範囲内の狭い権利しか成立しなくても、予想外に広い権利が取れる場合もあるからです。

そうしたチャレンジングな特許出願が大平国際特許事務所では得意です。これは非常に難しいけど何とか特許にしたい、という特許出願の依頼もお待ちしております。

お問い合わせはこちらからお気軽にどうぞ

拒絶理由(取消理由)への意見書の長さは短く簡潔な方がよい?

特許出願し、審査請求すると通常は拒絶理由が来ます。あるいは、特許が登録された後に異議申立がされた場合に、取消理由通知が来ることがあります。拒絶査定不服審判でも拒絶理由が出ることもあります。無効審判でも無効理由が通知されます。

そのような場合に、通常は意見書で反論します。意見書のみで反論することもあれば、必要に応じて、請求項(特許請求の範囲、クレーム)の補正(訂正)をすることもあります。補正の期間については法定期間ですから絶対に守る必要があります。意見書は必ずしもそうではありません。指定期間を過ぎても読んでくれる場合もあります。が、確実ではないので、やはり期限内に提出するのが安全です。

さて、この意見書の書き方ですが、短いのがよいか、長いのがよいか?というのは人によって意見が異なると思われます。

一般的には、報告書、提案書等の社内文書等は短かく完結にまとめるのがよい、などと言われます。ポイントを短くまとめて、箇条書きにして、できれば図表などでわかりやすくまとめてA4で1枚にまとめるのが理想、という考え方もあります。これは社内ではある程度用語の意味が決まっていて、省略しても暗黙の了解があるからでもあります。

また、文章はピラミッド構造で書けばわかりやすいなどと言われます。こちらは、法律的な文章であろうと、社内文書であろうとピラミッド型で書くのがいいのは異論はないと思われます(特殊なケースではあえてピラミッド構造を崩して主張する場合もあるかも知れませんが)。

では、法律的な文章でも社内文書と同じことが言えるでしょうか?短く簡潔にまとめるべきでしょうか?

例えば、A4で1枚にまとめた反論と、10枚の反論ではどちらが勝つと思われますか?

あるいは、ディベートで、たった1つの主張を短く言うだけであとは黙っているのと、ずーっとしゃべりっぱなしで理由(主張の根拠)を10も20も出すのとどちらが勝つでしょう?

一般には、しゃべり続ける方が勝つと思います。たった一つの主張が非常に的を得ていて、正しいものだとしても、相手がその10倍、20倍の反論をして来たら負けることの方が多いと思います。

そういう意味で、私は、意見書は長くなってもあらゆる反論を書くべき、と考えています。そして、審査の意見書よりも審判請求書の理由の方がより長いです。これはどこの事務所もそういう傾向にあると思われます。それはそれだけ多くの項目に対して厳密な議論が必要だからです。

また、審判では基本的に弁論主義ですから、こちらが主張しない事情まで審判官が勝手に推測して都合よく事実を解釈してくれることはありません。ですから、言うべきことはきちんと主張する必要があります。例えば、社内では常識だから書かなくていいだろう、と判断して書いてなくて、審判官が社内事情を知らない場合、その記載は無いのと同じことになり、そこで書いた主張は認められません。

そういう意味でも、省略して書くことは危険です。業界常識や社内常識を知らない人が読んでも誤解せず、本来の意味を正しく理解するように記載する必要があります。これはわかっているだろう、たぶんこういう意味に解釈してくれるだろう、などと主張を省略するのは危険です。

さらに、事実だけを書けば、審判官が意味を理解してくれる、ということはありません。事実しか書いてなければそれは主張ではないので、審判官としては、それは事実ですね。ではこの事実からどういう主張をされたいのかが書いてないので、この事実は意味が無いですね。で終わってしまいます。つまり、事実と主張をきちんと分けて書く必要があります。

大平国際特許事務所も上記のような方針で多くの難しい拒絶理由を解消し、特許を取得してきました。中には、なんで、これが特許になるんだ?というようなものも多数含まれています。

ですから、私は意見書で争う場合は、できる限りしっかり書く、文章が長くなっても誤解の無いように厳密に書くのがよいと思っています。特に、拒絶査定不服審判や、異議申立(取消理由通知)、無効審判での請求の理由や、意見書は徹底的に書いた方が勝ちやすいと考えています。

もっとも、面接をして結論が既に出ている場合は簡潔な意見書でいいと思います。審査官、審判官との面接で議論したことを簡潔にまとめて書けばいいだけです。

しかしながら、面接では結論が出なかった場合や、主張する論理や証拠が決定的とまでは言えず、弱いと思われる場合には、主な理由を1つだけ述べるのはリスクがあります。審査官、審判官が誤解することもあり得ますし、こちらが気づいていない問題点があるおそれもあります。

さらには、審査官毎にしっくり来る理由が違うような気もしないではありません。皆それぞれバックグラウンドが違うので、どの理由がピンと来るか微妙に違うのではないかと思います(結論に与える影響は同じだとしても)。

ですから、主な主張(理由)が、もし採用されなかったとしても、2番目、3番目の理由で補強して反論しておくべき、と考えます。弱い理由をたくさん並べて、全体として合わせ技で議論に勝つ、というような感じです。

私自身は、弱い理由を並べるのはあまり好きではなく、一刀両断的な鋭い理由1つで完璧に論破できれば理想的だと思っています。妖刀村正のような切れ味の主張で、完璧に論破できればとても気持ちがいいものです。しかし、発明の内容や、先行文献、拒絶理由の組合せによっては、いつもそれができるとは限りません。

どうしても決定的な論理が見つからず、弱い理由を主張せざるを得ないケースもあり得ます。そのような場合に、弱い理由を1つだけ提出しても通常勝ち目はありません。そのような場合は数で勝負となります。

ですから、意見書は一律短く簡潔に書くべき、というのではなく、その反論の強さ、面接審査の有無と結論が出たかどうか、審査官、審判官の性格など様々な要素を考慮して必要な場合は長く書く方が有効な場合もあると思われます。

このあたりは、弁理士の経験と勘で判断するところだと思います。大平国際特許事務所では、研究者歴20年以上、弁理士歴15年以上の科学者としても、法律職としてもベテランの弁理士が対応しますので、どんなに難しい拒絶理由が来ても対応可能です。お気軽にご相談下さい。

お問い合わせはこちらからお気軽にどうぞ

ただし、非常に単純な発明でズバリ同じか非常に近い先行技術があった場合は難しいこともあります。その場合はその旨ご回答いたします。ご了承ください。

特許出願の拒絶理由通知に対する応答期限

特許出願をして審査請求をすると、拒絶理由通知か、登録査定通知が来ます。

拒絶理由が来ないで、登録査定が一発で出ることも時々あります(一発登録)。その場合は、登録査定通知から30日間以内に1~3年分の登録料を納付すれば登録されます。その際、事務所によっては登録謝金(成功報酬)を取るところもあります。

これは通常は、10万円+1万円×(請求項数ー1)が正規の料金です。

例えば、請求項が5であれば、14万円、10であれば19万円、30であれば、39万円となります(消費税別)。

ですので、請求項数に応じて成功報酬を取られる事務所の場合はかなり高額を請求されることになるので注意が必要です。

最近では成功報酬を取らない事務所も出てきていますから節約を考えれば成功報酬の無い事務所を選択するのも一つの考え方でしょう。

ただ、どうしても高品質な特許出願明細書を希望される場合は成功報酬を払ってでもより質の高い明細書を書く弁理士に依頼するという考えもあります。それは特許の重要性にもよります。

特許が命のベンチャー企業であれば安いからと言って質の低い事務所に依頼するのは考え物です。いい事務所なら特許にできたものを、レベルの低い事務所では特許にできないこともよくあります。さらに、特許になったとしても、使える権利もあれば、エスケープし放題で使えない権利もあります。高いお金を払って使えない権利を取る意味はありません。

つまり、安くて質の低い特許事務所に依頼するのはそれなりのリスクを考えておいた方がよいでしょう(もちろん、値段はリーゾナブルだけど高品質、という特許事務所に依頼するのは全く問題ありません)。

ベンチャー企業などは特許が命ですから、むしろ、いくらお金がかかっても極めて質の高い明細書を書く事務所に依頼することで数百億円のファンドの出資を獲得したり、市場を独占して、巨額の売上や利益を生むことが可能になります。

また、中途受任と言って、出願は別の事務所がやって、拒絶理由通知からを他の事務所が受任するケースもあります。この場合は通常は成功謝金か、事務所移転手数料を取るのが一般的です。

事務所移転手数料は18万円等、出願料と同じ位請求する事務所もあります。

これは、中途受任でゼロから明細書を読んで理解して、意見書、補正書を作成して10万円程度では到底事務所の経営が成り立たないので、成功報酬を取るか、事務所を変える際の手数料、またはその両方を取るのが通常です。

ところで、拒絶理由の応答期限ですが、これは期限日が特許庁の休日の場合はその翌日になります。期限が土日なら月曜日、祝日ならその翌日に提出すればよいです。

2013年で言えば、12月29日から特許庁は休日で、1月3日までが休日ですので、応答期限が12月29日から1月3日までが指定期間であれば、1月4日に意見書、手続補正書を提出すればよいことになります。

また、2016年4月1日から、拒絶理由に対する応答期間が理由の有無にかかわらず2ヶ月間延長可能になりました。この場合は、2ヶ月の起算点は休日であってもそこから始まります。

従来は、新規性、進歩性に関する実験をするため、といった理由が必要で、かつ1ヶ月しか認められませんでしたが、それがなくなり、単に申請すれば2ヶ月間延長されます。延長費用は従来同様、2100円です。

この法改正は特許法条約によるものだそうです。この延長制度導入により、拒絶理由通知への応答はかなり楽になった実感があります。合計4ヶ月ありますから。それでもアメリカのように半年とかではないですが。

しかしながら、拒絶査定不服審判、無効審判、異議申立の拒絶理由通知に対する応答期間は従来どおり延長が認められませんから、2ヶ月以内に応答する必要があります。

審査の拒絶理由に応答期間の延長が認められて、より高度な応答を必要とする拒絶査定不服審判や異議申立の応答期間が延長できない、というのは矛盾と思います。審判や異議申立の拒絶理由応答期間もぜひ2ヶ月以上の延長が可能にして欲しいものです。

そうすれば、その間に面接審査なども活用して、より審査の質やスピードがアップするような気がしています。

出願審査(拒絶理由通知)への対応時の面接審査

特許出願して、3年以内に審査請求すると、いきなり登録査定になることもあれば、拒絶理由通知が来ることもあります。

拒絶理由が来た際、拒絶理由の意味がわかりにくい場合もあります。審査官の文章が抽象的で非常に短く書かれている場合などは、出願人や代理人も特に誤解しやすいと思われます。

誤解に基づいて反論を書いても拒絶理由は解消しませんから、その場合は、次の段階で拒絶査定が出る可能性もあります。拒絶理由なら普通に意見書、補正書で対応できますが、拒絶査定が来れば、審判で争うことになり、費用も余計にかかります。審査では審査官1人ですが、拒絶査定不服審判では審判官3人が相手となり合議で判定されます。

拒絶理由を誤解する可能性がある場合は、当所では特許庁審査官に問い合わせることにしています。簡単なことであれば、電話インタビューで聞けば教えてもらえます。複雑な事情があれば面接やインターネット面接で技術説明をしながら、拒絶理由の意味を聞くことも可能です。

拒絶理由が非常に明確で、こう反論すれば確実に特許査定が出る、とわかる場合や、審査官から補正の示唆があり、このように補正すれば拒絶理由は解消する、と書かれている場合は、わざわざ審査官に面接する必要がない場合が多いです。

しかし、それでも、補正の意味がよくわからなかったり、具体的に書かれてなくて、どう補正したらいいかわからない場合は、審査官に電話インタビューして聞くのがよいです。あるいは、補正案をFAXして事前に確認をもらっておけば確実に特許になります。

拒絶理由通知が来た場合、意見書、補正書を提出して完全に自信を持って反論できる場合はよいですが、複雑な理論を説明する必要があったり、審査官の誤解を解くために文書で説明するのが煩雑なときは、面接審査をする方が早いです。

審査官も発明者との面接を好む場合も多いです。特に発明者が大学の先生や企業のベテラン研究員であれば、審査官の有益な情報が得られる面もあるでしょう。

それに、直接話を聞けば、わからない部分があっても、すぐ聞けるので疑問が即座に氷解し、どういう補正をすれば特許査定が出るか、もわかるので、書面で何回もやり取りをするよりも、迅速な処理が可能です。

もっとも、東京近郊の特許事務所ではなく、北海道とか、九州の事務所、あるいは関西の事務所などに依頼している場合は、東京まで面接に行くと1日仕事になりますし、旅費や日当も必要になりますから、下手すると、意見書、補正書提出の2倍位の費用がかかります。(と言っても1回できれいに片付くのでその方が結局は安いと個人的には思いますが)

そういう場合は、審査官が地方に来る巡回審査というのがありますから、それを利用するとよいです。京都とか、関西に来てまとめて面接審査をしてくれる場合もあります。

もっと簡単には、電話インタビューで相談すればそれで結論が出る場合もあります。

そういう意味では、書面だけでなく、電話インタビューを活用して審査の対応をするのがよいと思われます。電話インタビューであれば、直接特許庁に出張する必要もなく、時間もあまりかかりません。

ただ、将来の訴訟対応を考えると、本当は何も提出せず、包袋にはできるだけ何もないのが理想ではあります。そのためにも特許庁に行って面接し、その場だけで審査官に見せるデータを出し、それにより特許査定をもらい、包袋にはそのデータは残さない、というようなことができると理想的です。

そういう意味でも、将来の訴訟を考えても、特許庁での面接審査がお勧めです。

2016年8月23日追記

その後、特許庁は新しいTV会議システムを導入し、インターネット回線とウェブカメラなどがあれば、最大10台を接続してTV会議形式で面接審査ができるようになりました。これにより、地方の企業や発明者もわざわざ東京に出張しなくても、自分の会社や研究所、自宅から特許庁のTV会議システムに連結し、面接審査を受けられるようになりました。

これにより、例えば、出願人が九州で、特許事務所が大阪のケースでもそれぞれが自分の会社や事務所からインターネット回線を通じてTV会議システムにアクセスし、特許庁と3者間で直接顔を見ながらディスカッションできることになりました。ぜひこれを活用されることをお勧めします。

 

平成25年4月に、特許庁は、特許庁と各特許室をISDN回線で結ぶ従来のテレビ会議システムを廃止し、インターネット回線を利用した新たなテレビ会議システムを導入しました。これにより、特許出願人等が自身のPCから面接審査に参加して、審査官とコミュニケーションを図ることが可能となりました。
http://www.jpo.go.jp/torikumi/t_torikumi/telesys_mensetu.htm

 

神谷明日香さん(小学校6年生)が空き缶分別箱の特許取得 TEDで講演

愛知県安城市の丈山小学校6年神谷明日香さん(12)が、夏休みの宿題として、磁石の力を利用してスチール缶とアルミ缶を自動的に分別するごみ箱を開発し、特許を取得したそうです。

TEDの動画がyoutubeにアップされていたのでシェアします。こちらの方が文章で読むよりも実物の空き缶の動きが見えるので発明がわかりやすいです。

上の動画では、神谷明日香さんは、「発明はとにかくやってみる、諦めかけたときにうまく行く」などと言っていますが、まさにそのとおりで、とにかくまずはやってみて、失敗しても改良して試作を繰り返して成功するまでやり続けることでしょう。

よく言われる話ですが、エジソンは7000回の失敗をして白熱電球に使える京都の孟宗竹に行き着きました。エジソンは、これらは失敗ではなく、うまく行かない方法を7000見つけただけだ、と言ったそうですが。つまり、発明は1回目からうまく行くことは滅多になく、何度も失敗して改良を繰り返すことで素晴らしい発明ができるということでしょう。

小学生の特許取得の例としては、他に、犬の糞取り器の発明で年商1000万位になり会社を作った子供がいました。また、有名なドクター中松(中松義郎氏)は、5歳のときにしょうゆチュルチュルという灯油ポンプのような発明をしています。

こうした例はありますが、小学校で特許出願して特許を取得するのはかなり珍しいでしょう。まず、誰か特許をある程度わかっていて、特許出願の経験のある人が周りにいる必要があります。

さらに、本格的に特許出願する場合は、弁理士に依頼する必要があるので、出願費用だけでも30万円程度、その後の審査請求、拒絶理由対応、成功報酬まで考えれば、70万円~100万円程度かかる可能性もありますから、それだけの費用を出せる必要があります。

この点、神谷明日香さんの場合は、お父様がシニアソムリエで会社経営者で、料理に合うワインを判定するプログラムの特許を取得した直後だったのが幸いしたのでしょう。また、神谷さんの祖父はスーパーを経営しているようですから、孫娘が発明で新聞に載るなどして有名になれば地元でも話題になり、スーパーの売上げもあがるでしょうから、特許取得に費用をかけても父親や祖父の事業に対する宣伝効果を考えれば十分ペイすると思われます。

そういう意味では、通常のサラリーマンや公務員の家庭に比べれば特許出願に対するハードルは低かったのかも知れません。

研究が専門で雇われている会社の研究員でもほとんど特許を出さない研究者もいたりしますから、小学生のうちに特許出願と審査を経験しておくのはとてもいいことだと思います。

その小学生の神谷明日香さんの特許ですが、以下のとおりです。

【特許番号】特許第5792881号(P5792881)
【登録日】平成27年8月14日(2015.8.14)
【発行日】平成27年10月14日(2015.10.14)
【発明の名称】空き缶分別箱
【出願日】平成26年12月8日(2014.12.8)
【審査請求日】平成26年12月19日(2014.12.19)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用  平成26年9月8日~9日に安城市立丈山小学校の体育館において開催された、平成26年度安城市立丈山小学校夏休み作品展で発表

これは夏休み作品展で公開してしまったので、新規性を喪失しています。そこで、特許法第30条第2項で新規性喪失の例外規定の適用をして出願しています。これにより発表から半年以内であれば新規性を喪失しなかったものとして扱われます。

次にこの出願は早期審査対象です。通常は特許出願から3年以内に審査請求するので、多くの場合は、出願公開される、出願から1年半後位か、またはぎりぎりの3年の直前位に審査請求するのですが、この出願は出願後すぐに早期審査をかけているようです。

早期審査をかけると、大体2カ月で最初の拒絶理由か特許査定が来ますから、早期に権利化することができます。ちなみにスーパー早期審査の場合は1カ月でアクションが来ます。

この出願では、6月に拒絶理由通知が来ていますが、新規性、進歩性がない、という拒絶理由ではなく、36条6項1号の記載要件違反(サポート要件違反)のみでした。そういう意味から言えばもっと広い請求項を書いても良かったかも知れません。

【早期審査対象出願】
【特許権者】
【識別番号】514312527
【氏名又は名称】神谷  明日香
【代理人】
【識別番号】100087778
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山  明夫

ここを見ると弁理士に依頼していますから本格的な明細書を専門家が書いていることが分かります。

【法定代理人】
【識別番号】514312516
【氏名又は名称】神谷  豊明
【法定代理人】
【識別番号】315002128
【氏名又は名称】神谷  文香
【発明者】
【氏名】神谷  明日香

法定代理人がいるのは、独立して法律行為をできる年齢でないため、父母が法定代理人となっています。ライセンス契約等は法定代理人が契約主体になって交渉、締結をすることになります。

特許請求の範囲は以下の通りです。かなり詳細に要素(構成要件)を書き込んでいるので、アイデアのみをパクって、この特許に抵触しない分別箱を作れる可能性もあるように思います。

例えば、縦方向に空き缶を投入しそれが途中で横になって転がる構成にすれば、略長方形状を成す開口がありませんから、形式的には非侵害になります。ただし均等論の適用の余地が全くないかは断言はできません(発明の主要部なのでおそらくないと思いますが)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板部と、該天板部の下方側の周壁部と、該周壁部の下方側の底板部と、を有する箱体形状を成し、
前記天板部に設けられ、横向きの空き缶を投入可能な略長方形状を成す開口と、投入される空き缶を前記開口の一方の長辺側から他方の長辺側へ案内して該他方の長辺の下方に連なる他方側の壁部に当接させる案内板とを有する投入部と、
前記他方側の壁部の下端付近に設けられた磁石と、
前記他方側の壁部から下垂された下垂シート片と、
鉛直に下垂されている前記下垂シート片の鉛直下方位置に設けられ、前記下垂シート片の下方の箱体内を2室に分割する分離壁と、
を有する空き缶分別箱。
【請求項2】
請求項1に於いて、
前記下垂シート片の上下方向の長さは20mm~40mmの範囲である、
ことを特徴とする空き缶分別箱。

JPB_005792881_000002

 

 

関連記事
特許収入だけで生活できる人
子供が特許出願する場合

 

長い拒絶理由通知への応答

最近、長い拒絶理由通知を受けることが増えてきた気がします。日本では、引用文献も4~5件程度が多かったのが、最近では7~8件位のが増えた印象です。さらに技術水準を示す文献が5件位付いている場合もあります。

これは、研究者の数が増え、科学雑誌も細分化して種類が増え、論文が多くなったことも一因でしょう。一説には1年間に出る情報量が、その1年前より以前の有史以来の情報全てを合わせたものよりも多くなっているとも言われます。それほどの情報量が毎年新たに発生しているわけですから、拒絶理由の根拠が多くなるのも当然でしょう。

日本の拒絶理由通知で10ページ以上、米国の拒絶理由(オフィス・アクション、office action)では30ページ位のものもあります。引用文献の数も、通常は5~6程度ですが、8とか、10以上文献やホームページが引用されるケースもあります。項目数が20位あることもあります。

日本の拒絶理由通知は、日本の実務を熟知しているので、私にとっては長くても引用文献が多くても何も問題ありません。

問題は、海外の長い拒絶理由通知で、反復が多い拒絶理由通知です。例えば、5種類の中から任意の2種類を選んで使用するような発明の場合、組合せは5×4で20種類できます。審査官の中には、この20種類を網羅的に各組合せ毎に拒絶理由を打ってきたりします。もちろん、引用文献は構成に応じて組み合わせを微妙に変えています。

すると、項目数で20項目となり、引用文献もかなり重複しますが、項目ごとに微妙に変えてきて、何がポイントなのかよくわからず、なぜ、このような形で拒絶理由を打つのだろう?と考え込むときもあります。

それに、各組合せ毎に拒絶理由を打たれると、その組み合わせ毎に反論をする必要があり、各組合せ毎に、構成の容易性、効果の顕著性、商業的成功、long felt needsなどを検討する必要が生じ、非常に大変な作業になります。

もちろん、それらを一刀両断できるような要素がある発明であればいいのですが、非常に技術水準に近い発明の場合は、あらゆる組合せに先行技術があったりして、とても一発で特許になるような限定もできません。(追記:その後、このような非常に長いオフィス・アクションに応答したところ、一回の応答で特許になりそうです。拒絶理由が長いからと言って必ずしも特許にするのが難しいわけではない、と気づきました。)

そのような場合でも、発明者に聞くと、先行文献との違いがクリアになり、意外に簡単に特許になる場合もありました。

ただ、一番苦労するのが、特許査定率の低い審査官に当たって、しかも、審査官の言っていることが分かりにくい場合です。

アメリカの審査官は審査官毎に特許査定率が出ていて、平均より低い特許査定率の審査官に当たると拒絶される確率が通常よりも高くなります。

そういう審査官の拒絶理由はやはり、あまりクリアではなく、頭が十分整理されていないような印象を受ける場合もあります。クリアカットであれば、完全に論理で真っ向から論破できるのですが、あいまいな議論で拒絶査定を出されるのが一番困ります。

そういう場合は、RCE(再審査請求)ではなく、アピール(審判)に持って行けば、審査官が変わるので、特許査定率が飛躍的に上がったりします。

実際、拒絶査定率が9割の審査官の場合に、アピールに持ち込み、審査官が変わるだけで、特許査定率80%に跳ね上がったりします。

アピールする場合は、最終拒絶理由通知(final office action)の応答期間内に、特許公判審判部(PTAB : Patent Trial and Appeal Board)に、審判請求書(notice of appeal)を提出し、審判請求料を支払う必要があります。以前は審判請求料は630ドルでしたが、料金改定で800ドルになりました。

審判請求中にもRCE(再審査請求)ができるので、アピールの中で補正が必要になれば、RCEをかけて、補正して、再度審判請求する、ということも可能です。その場合に最初の審査官がまた審査するかはわかりません。同じ審査官だと、RCEしても拒絶され、再度アピールするしかなくなる可能性もあり得ます。

特に米国の場合は、審査基準を正確に適用せず、ディベート的に自分の説に固執する審査官もいるようです。そういう場合は、RCEを繰り返しても特許にならない可能性が高いですから補正や継続出願で普通の審査官なら特許になるレベルにした上でアピールに持ち込むのがよいと思います。

日本でも、審査官毎に特許査定率を出してくれればいいのですが、日本では、拒絶査定が来たら一律審判一択しかないので、米国のように再審査を請求して同じ審査官が延々と審査する制度はありません。その意味では日本の方がいい制度とも言えます。

ただ、個人的には、日本でも再審査制度があれば、無駄な分割出願をしなくていいので、制度的にはあった方がよいと思います。ただ、その際、再審査では最初の審査官以外の審査官を希望すれば、別の審査官に担当してもらえる制度にできれば非常に使いやすい制度になる気がします。

審査官の人によるバラツキは欧州でも大きいそうです。無審査国のフランスの審査官や、特許出願の非常に少ない国(たとえばリトアニアなど)から欧州特許庁European Patent Office: EPO)に審査官が来るので、出身国によって審査官のレベルに大きな差があります。

逆に言えば、甘い審査官に当たることもあるので、特許になりやすい面もあります。実際、日米欧の三極に同じ特許を出願した場合、欧州が一番広い権利が取れるケースも多いです。

審査官によってかなり違いがあることを理解して、どのように反論すれば特許になるか?は審査官により違うと思われますので、どうしても特許にしたい案件は審査官と面接して、審査官の拒絶理由の本当の意味を十分理解した上で、反論するのがお勧めです。

大平国際特許事務所でも、難しい拒絶理由の場合は、審査官と面接することをお勧めする場合が多いです。そうすることにより1回の意見書、補正書で特許化できる場合が多いです。

拒絶理由なしで一発で特許査定になった特許の価値と成功報酬

比較的稀ですが、特許出願して審査請求をすると、拒絶理由が来ないでいきなり登録査定(特許査定)が来ることがあります。

それはある意味交通事故みたいなもので、弁理士としても予想外のことの場合が多いと思います。

それというのも、通常は第1請求項は拒絶理由が来るようにできるだけ広い請求項を書く場合が多いからです。

もしそういう方針で第一請求項を広く書いたにも関わらず、いきなり特許査定が出たとすれば、最初の第一請求項が狭すぎた、とも言えます(単に先行技術が無かっただけなので、狭すぎるとまでは言えないかも知れませんが)。

また、会社によってはあまり広い請求項の特許を取らず、狭い請求項で書くように、出願毎に請求項を指定してくる会社もあるので、そういう場合もいきなり特許になる場合もあります。数千件、数万件特許出願する会社の場合は、あまり広い請求項を書かないように言って来たり、請求項を指定してくることもあります。

そういう場合はいきなり特許査定が来ても何の問題もありません。最初から狭い権利を取る特許戦略を採用しているわけですから。実際、あまり広く何でも詰め込むとその後にした発明について進歩性が否定される場合もあるので、書きすぎないことも継続的に発明が出て、順次特許出願する会社や研究所の場合は、特許戦略としては重要です。

つまり、後の出願のことも考えてあえて、余計なことは書かずに出願する、という特許戦略も重要です。

しかし、前者のように、第一請求項は極力広く書いて、拒絶理由を出させ、ぎりぎりまで広い権利を取得する、という戦略だった場合に、拒絶理由が来ず、いきなり特許査定が出るとすれば、最初の請求項の書き方に問題がある、と言えなくもありません。しかし、そうなるのは極めて稀だと思います。

また、誤記などがあって、拒絶理由がきたときに一緒に補正しようと思っていると、いきなり特許査定が来て、誤記を補正できなくなる場合もあります。

すると、その誤記はずっと残り、将来的に無効理由になってしまうおそれや、権利行使ができない部分がでてくるおそれもあり得ます。例えば、化学式に誤記があったりすると重大な問題になり得ます。もちろん、明らかな誤記であれば、訂正審判で誤記の訂正は可能ですが。

その場合、どうしても特許になる前に修正したければ、特許査定後30日以内に分割出願し、必要であれば、特許査定された出願の登録料を支払わなければ補正可能ではあります。

とはいえ、費用もかかりますし、同じ広さの特許が取れる保証もないのであまりお勧めする方法ではありません。

ですので、もし誤記などがわかっている場合は、審査請求時に補正するのがよいと思われます。審査請求後に分かった場合も、拒絶理由を待たずに自発補正で修正するのがよいと思います。

また、拒絶理由が来ず、いきなり特許になった場合に成功報酬(登録謝金)を払うか、払うとしても通常の料金を支払うべきか(請求すべきか)?という問題もあります。

何の苦労もなく特許になったのだから、成功報酬は不要だろう、という考えもあるかも知れません。

しかし、成功報酬は、出願時にもらうべき報酬を後でもらっているという考えで成功報酬を設定している場合には、出願料の後払いということで、いきなり特許査定になっても全額請求する、という事務所もあります。

日本の場合は、明細書作成料がアメリカなどに比べて非常に安いので、成功報酬を取らないと経営が成り立たない、または、従業員が悲惨な生活を強いられる、という問題が起こりえます。

そういう意味では、明細書作成料の後払い分として成功報酬を請求することは、特許事務所の経営上止むを得ないと思われます。

しかし、何の拒絶理由対応もしていないのに、高額な成功報酬を取られた、というような場合はお気軽にご相談下さい。

大平国際特許事務所へのご相談フォーム

 

弁理士の仕事の醍醐味

情報量の増加は加速度的で、1年間に公表される情報が、その前年から人類史上全部を合わせた情報量を上回る、とも言われて久しいです。

そこまで情報量が多くなると、特許の審査においても、多数の先行文献が引用され、特許にできる隙間が非常に狭くなります。

つまり、先行技術の雨、あられをうまくかわしながら、特許にできる穴を見つけ、その穴を拡げて特許にします。常に広げられるとは限りませんが。

しかし、進歩性の拒絶理由に対して、その文献のみに限れば、拒絶理由は意外と解消できる場合もあります。やり方は文献と拒絶理由の内容ごとにケースバイケースですが、例えば、マイクロアレイ(金属やガラスが材料)とマクロアレイ(ニトロセルロース膜やナイロン膜系)の違いがあれば、うまく反論すれば特許になることもあり得ます。

こういう穴を的確に見つけるのが得意な人が科学者の中には一定数います。論理の穴をパッと見つけて鋭く指摘する人です。

そういう能力があれば、拒絶理由の穴も瞬時に見つけられると思います。大平国際特許事務所所長の大平和幸弁理士もそれが得意です。

例えば、図の脚注の1行だけで、拒絶理由をひっくり返したりもできる場合があります。

あるいは、要約ではこう書いてあるけど、本文やグラフを見たら、そうは言えない、というようなケースもよくあります。こういう場合は比較的簡単に拒絶理由を解消できます。

と、いうのも、日本の審査官も要約しか読まないと決めている審査官がいます。こういう審査官は本文を精読していないので、本文中に特許にできるヒントが見つかったりします。アメリカでも原則は拒絶理由の文献を全文は読まないようです(人にもよるでしょうが)。

だとすれば、審査官が読んでない部分に拒絶理由を解消できるヒントが見つかる可能性はかなり高いです。あるいは、その論文が根本的に間違っていることがわかる場合もあります。それは、その後のレビュー等にその方法は使えない、と書いてある文献を見つけることなどで立証できます。

そうした穴が見つかったら、それを突破口にして、反論の文章を作ります。このとき、審査官にもわかりやすいようにあまり複雑な論理にしない方がよいと思います。審査官がよくわからない、ということで、拒絶理由が解消していない、と判断されては元も子もありませんから。

このように、論文の穴を見つけ、それを適切に表現することで、非常に難しい拒絶理由に見えても、意外にあっさりと特許査定が出る場合もあり得ます。

それが正に弁理士の仕事の醍醐味です。それにより、クライアント様に非常に喜んでいただけるとこちらも頑張ってよかった、と思います。

大平国際特許事務所では、難しい拒絶理由に対応するのが得意です。どうしても特許にしたいけど、非常に難しい拒絶理由が来た、というような場合にセカンドオピニオンを出すことも可能ですので、お気軽にご相談下さい。他の弁理士の先生が匙を投げた案件でも大平国際特許事務所なら特許にできる場合もあり得ます。

以下のページから、ぜひお気軽にご相談下さい。

大平国際特許事務所へのご相談フォームはこちら

 

東南アジアの修正審査

東南アジアの多くの国では、修正実態審査を採用しており、先進国で特許になっている情報を提供すれば、その特許と同じ請求項になるように補正する指令が出され、その通りに補正することで特許査定がなされる。

しかしながら、この修正実態審査は今後無くなり、各国が独自で審査をするようになるとも言われている。

現在では、例えば、タイでは、上記の修正実体審査が不可能な場合はオーストラリア特許庁に審査を外注するが、その審査費用が30万円位とかなり高額になっている。

しかし、自国で審査できる人材を揃えれば、他の国に外注する必要もなく、審査手数料も入るので、国自体にもメリットが大きい。

審査請求して、自国で審査し、査定まで出すとすれば、それだけの雇用や、弁理士等の収入を得る機会も増えるだろう。

あるいは、もし賄賂が普通の国であれば、審査官に賄賂を送って、何度も拒絶理由を出させ、それにより、弁理士が儲け、その一部を審査官に賄賂として渡すような国もあり得ないとも言えない。

いずれにしても、各国が独自で審査を開始するのは悪いことではないだろう。世界標準とそれほど差異がないのであれば。

とはいえ、審査官のレベルにはかなり差があり、非常によくわかっている審査官もいれば、なんだかよくわからない拒絶理由を出してくる審査官もいる。

欧州で特に顕著だが、最近はアメリカの審査官もかなりバラツキがあるように感じている。実際、特許査定率が審査官によってものすごく違うので、当たる審査官によって特許になる率が大きく異なるだろう。

東南アジアなどの発展途上国では、さらに審査官のレベルに差があり、均質な審査ができるかどうかには不安はあるが、経験を積めばうまくなっていくと思われる。

それまでは、こちらから意見をいう形で反論し、ある意味、審査官に理解してもらうことでこちらの言い分を通してもらうようにする必要があるだろう。